ビジネスの成熟や組織の進展に合わせ、オフィス環境を整える必要がある企業は増えてきています。オフィスのリニューアルは、働く環境の質を向上させるだけでなく、多くのメリットが得られます。オフィスリニューアルの手法やその際のポイントをここで解説いたします。
まず、オフィスのリニューアルの価値を深く理解するため、4つの主なメリットを確認しましょう。
従業員が働きやすい環境を提供すると、作業効率は格段に向上します。例として、他者の目を気にすることなくタスクに没頭できるエリアが存在すれば、仕事の進行がスムーズになり、落ち着いてアイディア交換ができるオフィス配置であれば、革新的な考えが湧きやすくなります。
オフィスの改装は、社員の流れを再検討する良いチャンスでもあります。スタッフが増える中、無計画に設備を追加すると、少しの移動でも不都合が生じることがあります。しかし、適切に動線を計画することで、そのようなストレスを避けられるでしょう。
改装時には、目的に応じてスペースを定義したり、フリーアドレススタイルを採用して柔軟に作業を行えるようにする等のアプローチが考えられます。フリーアドレスは、特定の席に固定されないワークスタイルを指します。これにより、個人の物を机上に放置することが少なくなり、オフィスの見た目も整います。さらに、最新のトレンドとして、「バイオフィリック(BIOPHILIC)」デザインも注目されています。これは植物や日光、人工芝やアウトドア関連アイテムを取り入れ、リラックスできる空間を作る手法です。このような環境は、ストレスの軽減や生産性の向上に寄与します。
心地よいオフィス環境は、従業員の満足度を向上させる効果があります。高い満足度は、作業への意欲や、エンゲージメント(組織への献身や意欲)の向上をもたらします。その結果、このオフィスでの長期勤務を希望する気持ちが強まるでしょう。
エンゲージメントが高まることで、企業の定着率が向上し、有能なスタッフの流出を阻止することが期待できます。従業員が積極的に活動することで、ビジネスの成果も上がる可能性があります。
オフィスの改装により、配置の見直しを通じて、コミュニケーションの促進が期待できます。例として、フリーアドレスを採用すれば空間が開放的になり、異なる部署のメンバーや普段接触が少ない同僚とのコミュニケーションがしやすくなります。
席の割り当てを固定する場合でも、共用スペースの設置や、特定のイベントを行うためのエリアの利用などが推奨されます。食事スペースをカフェのような雰囲気にすることで、食事や休憩以外にも、仕事や打ち合わせの場として使用されるケースも増えています。
オフィスの改装は、会社のブランドイメージを向上させ、ブランディングに貢献します。お客様や取引先からの第一印象を良くするだけでなく、新卒採用の際のアピールポイントともなります。
ただ、改装のみでは十分ではなく、移転や改装後には、ブランディング戦略として写真や動画の撮影が推奨されます。企業のウェブサイトや広告、パンフレットなどにオフィスの画像を載せることで、その魅力を最大限に伝えることができます。
オフィスを改装する際の方法とそれぞれの費用を概観してみましょう。
オフィスの全体的なリニューアル手法です。デザインや配置を一から再設計できるため、カスタマイズの自由度が高いのが特徴です。しかし、大規模な作業となるため、コストは高めです。特に、オフィスの雰囲気を一新したい、あるいは老朽化が顕著な場合には、この方法がおすすめです。
デザインや施工のパートナー、ビルのランクなどによって、坪あたりのコストは20~40万円が一般的です。工事中の利用制限も考慮して、テレワークやレンタルオフィスの導入も考える必要があります。
要点として、工事の規模や期間、材料のクオリティにより、コストにはばらつきが出ること、そして、オフィス家具のコストは含まれていないため、別途の購入が必要です。
オフィスの一部のエリアを改装するアプローチです。予算や目的に応じて、特定のエリアだけをリニューアルする場合に適しています。
たとえば、顧客やビジネスパートナーのための受付や接客エリアを刷新したり、会議室をモダンなデザインに変更するなどのケースが考えられます。
坪あたりのコストはおおよそ10万円と、全体リノベーションに比べてリーズナブルです。ただし、コストの変動があり、オフィス家具の追加購入が必要な点は、トータルリノベーションと変わりません。
オフィスのリノベーションを検討する際の進行手順として、以下の5つのステップを順を追って解説します。
オフィスリノベーションの第一歩として、何を目指して改装するのか、その目標をしっかりと設定します。先に触れた通り、効率的な業務遂行を意識したものや、企業文化を体現するデザイン、採用活動を強化するためのスペースなど、多岐にわたる目的が存在します。
実際にオフィスを日々利用するのは従業員たちですので、彼らの意見を取り入れるのも一考です。意外と気付かなかった課題点も見えてくるかもしれません。いくつかの目標がある場合は、優先度を決め、それに沿って改装を進めていきます。
目標がはっきりとすると、全面的なリノベーションを行うか、あるいは部分的に手を加えるかの選択、そして予算の策定もスムーズに行えることでしょう。
続いて、どのエリアをリノベーションするのかを決定します。オフィスの雰囲気は、床や天井、壁のマテリアルやデザインによって、大きく変わることがあります。例えば、コストを抑えたい場合、塩化ビニールフローリングなどで、希望するデザインを実現することができます。色合いやデザイン、そしてレイアウトの方向性を早めに決定しておくと良いでしょう。
リノベーションの概要が固まったら、次はデザイン専門の会社に見積もりを依頼します。既に予算の枠組みが確定している場合は、その情報を最初に伝えておくと良いでしょう。そうすることで、予算内で最適なプランの提案を受ける可能性が高まります。
工事の予算や期間が明確になったら、具体的な工事スケジュールの調整を行います。業務の邪魔にならないよう、休日や長期休暇中の工事を検討することが多いですが、施工会社の予定が集まりやすい時期もあるため、早めのスケジュール調整が望ましいです。
さらに、オフィス内での機密情報の取り扱いや高価な機器へのアクセスが必要な場合、社内の担当者が立ち会うことが求められることも。そのため、事前に改装工事の担当者を指定しておくことを推奨します。
デザインの詳細を考慮することが大切です。プロの視点から、目標を達成するために、どんな色彩、模様やレイアウトが最適かを提案してもらえます。サンプルを使って素材を確認し、完成形を具体的に頭に描くことができます。
前述したように、オフィス改装後のインテリアや機材に関しては、新たに購入する必要があるでしょう。デザインに合致させつつ、動線が妨げられない配置を心掛けましょう。
デザイン会社にはインテリアや設備の提案まで一括で依頼することで、スムーズに作業を進めることができます。問い合わせの際に、どの範囲のサービスを受けられるかを確かめておくことが大切です。
続きまして、オフィスを改装する際に注意すべきポイントについて説明します。
オフィスが賃貸の場合、契約終了時には原状回復が求められることが多いです。リノベーションを行ったとしても、最初の状態に復元する義務があります。できない場合には、補償が必要となる場合も考えられます。
改装を始める前に、デザイン会社や施工会社と原状回復の可能性を検討しましょう。また、物件のオーナーや管理組合にリノベーションの許可範囲や工事の可能な時間帯(週末だけ、夜間のみなど)を確認することも大切です。
オフィスの改装時には、消防法の基準を順守する必要があります。例として、仕切りの高さなどが挙げられます。天井に達する仕切りは、独立の部屋として扱われ、火災報知機やスプリンクラーの設置が義務づけられています。また、避難経路も適切に設定する必要があります。
多くのデザイン会社は、防火対策の施工や、消防署への申請もサポートしてくれますが、安心のために事前に確認することをおすすめします。
賃貸の物件では、改装が許されるのは専有部のみとなり、共用部への介入は認められません。専有部がどこまでか、オーナーや管理組合に先に問い合わせることが大切です。
加えて、改装が建築基準法や労働衛生法を違反する可能性も考慮する必要があります。これらの法律を独自にチェックして改装を実施するのは大変です。UNION TECでは、数多くのオフィスのリノベーション実績があるため、各種法令を順守しつつ、クライアントのニーズに合わせたデザインのご提供が可能です。
以下で、リノベーションの事例をご紹介します。
産業用太陽光発電システムの設計、各種申請、施工、施工管理、販売並びにコンサルタント業務や小型風力発電システムの設計、施工、販売並びにコンサルタント業務、そして、自社発電システムによる売電事業を行う企業である株式会社WIND-SMILE様。
倉庫として使われていた3階建てのビルをリノベーションしました。余分なものを削ぎ落とした洗練された空間に、コーポレートカラーの「赤」をポイントカラーとして採用したミーティングルーム。来客時にも使用するスペースなので、会社の先進的な技術をイメージしたデザインにしました。
オフィスのリノベーションを行うことで、作業の効率アップ、コミュニケーションの活発化、エンゲージメントの強化、ブランディングの向上などのメリットが期待できます。
改装を進める前には、その目的を明瞭にしておくことで、デザイン会社も適切な提案がしやすくなります。工事を行う際は、オーナーからの許諾や法律の確認が必要です。
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