ワークエンゲージメントは従業員の仕事に対する積極的な精神状態を指します。こちらは多くの組織で重視される要因となっていますが、では具体的な利点はどういったものかわかりますか?
この記事ではワークエンゲージメントを強化する利点や方法について詳しく説明していきます。
ワークエンゲージメントとは、オランダ・ユトレヒト大学のフランツ・B・メイヤー教授が提案した概念で、「仕事に対する継続的なポジティブな感覚や心の状態」を示しています。仕事全般に関連しており、特定の事象に対する一過性の感情や心の状態を指すものではありません。
それでは、ワークエンゲージメントを強化する4つのメリットを一緒に確認していきましょう。
ワークエンゲージメントが向上することで、各社員のやる気が高まります。
こうした変化により、組織全体のエネルギーが高まり、生産性が上がるという利点が生まれるのです。
仕事での充実感が増すのも一つのメリットになります。
仕事のやる気の源は多岐にわたりますが、給料や職場の環境のような外部要因は、従業員自身で調整できるものではありません。そのため、不満を感じやすい側面も持っています。
一方で、仕事そのものからの楽しみや充実感を得られれば、やる気が持続されるのです。「もっとスキルを伸ばしたい」、「質の高い仕事を提供したい」という欲求は、各従業員のパフォーマンス向上に寄与することでしょう。
厚生労働省のデータによれば、ワークエンゲージメントが高い場合、退職の確率が低く、長期雇用の確率が上がることが示唆されています。
参考:「労働経済の分析 ―人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について―」(厚生労働省)
また、ワークエンゲージメントの強化により、職場のストレスや疲れを緩和する効果も見られました。
従業員の仕事の充実感に注目し、働き方を最適化することで、所属意識を強化できると言えるでしょう。
先に述べたように、ワークエンゲージメントの向上により、以下のような効果が期待されます。
人材の育成には、リーダーの能力だけでなく、受ける側のやる気や主体性も重要です。育成を担当する側として、効率的に人材の育成を進めることができます。さらに、社員間の関係性が向上することで、スキルや知識の共有が促進され、シナジー効果が生まれることも考えられます。
これまでの話から、ワークエンゲージメントの向上がもたらす利点を探求してきました。しかしながら、ワークエンゲージメントの低さが持続する場合、どんな危険が待ち受けているのでしょうか?
以下で、ワークエンゲージメントの低さによる潜在的リスクに焦点を当てて説明します。
ワークエンゲージメントが減少すれば、従業員の意欲もまた衰えるでしょう。
主体的な仕事の取り組みが失われる結果、総体的な成果も劣化の方向に向かうことが予想されます。結果的に、業務の効率性が低下していき、生産力がダウンするのです。
ワークエンゲージメントの低さが継続すると、企業に対する不信感や人間関係のストレスから、メンタルの健全性が危うくなることもありえます。特に、予期せずに「バーンアウト」や、過度な献身で「ワーカホリズム」へと傾くリスクが増大し、そちらへの対策が必要でしょう。
また近頃散見される、「プレゼンティーズム」という状態も忘れてはなりません。これは精神的なトラブルを抱えつつも仕事を継続することを示しています。
メンタルの問題が生じた場合、一時的な休業を余儀なくされるケースも増加するでしょう。これが原因で人員が不足し、チームの士気やモラル低下にも繋がります。
モチベーションの低下は、業務の質にも影を落とすでしょう。集中力が欠け、業務のスムーズな進行が難しくなり、ヒューマンエラーの増加や部署間のコミュニケーションの障害など、問題が生じやすくなります。
さらに、ワークエンゲージメントの欠如と緊張感の不足は、人間関係にもネガティブな影響をもたらす可能性も大きいです。これが原因で退社を選ぶ者も増え、企業運営にとっては好ましくない状況となります。
日本の労働文化は、長い時間働くことや仕事に対する献身が美徳とされてきました。しかし、このような背景が、日本のワークエンゲージメントが低いとされる要因の一つとなっていると指摘されることが多いです。
日本の伝統的な価値観や文化は、個人よりもグループを重視する傾向があります。そのため、自己を犠牲にしてまで、組織やチームのために尽力するという姿勢が求められる場面が多いです。また、自らの感情や欲望を抑え、周囲との調和を重視する文化的背景から、自己の仕事への情熱や喜びを公然と表現することもまずありません。
このような文化的な要因が、ワークエンゲージメントの低さを生む要因となっています。
日本の労働環境においては、残業が当たり前となっているケースが多く、従業員の健康や家族との時間が犠牲となり続けています。長時間労働が続くと、従業員のモチベーションやエンゲージメントは低下しやすく、その結果として仕事への情熱や熱意が失われるでしょう。
ワークエンゲージメントを高めるためには、健全な労働時間の確保や、従業員の生活の質を重視した働き方の提案が求められます。
高いワークエンゲージメントを持つ企業では、従業員が自発的に仕事に取り組んでいます。従業員の自発性と積極性を引き出すためには、以下のような方法が効果的です。
従業員の自己効力感を向上させるための取り組みも有効です。「自己効力感」とは、個人が課題に対して抱く自信や自己への信頼感を指します。能力の向上を促す研修を行ったり、コミュニケーションの機会を増やすなどの工夫を通じて、従業員の自己効力感を高めることが望ましいです。
フィードバックには肯定的なものと否定的なものが存在します。ワークエンゲージメントの向上を目指す場合、積極的に肯定的なフィードバックを行うことが重要です。必要な場合には否定的なフィードバックを提供する際に、適切なフォローアップやサポートを行い、業務の成功に寄与するよう心がけたいものです。
ジョブ・クラフティングとは、自分の仕事のやり方や同僚とのコミュニケーションスタイルを自ら調整しながら、モチベーションを向上させる方法です。タスクの管理方法を提案したり、タスクリストの共有を奨励するのが良いとされます。各社員に、仕事の取り組み方や同僚との関わり方を再考することで、仕事の魅力を再発見することが期待されるでしょう。
動機づけとは、従業員が自身の目標に向かって主体的に取り組めるように、意識を変えることを指します。従業員の意識変革は難しい課題のように思われがちですが、仕事に集中できる職場環境を整えたり、ミーティングの機会を提供するなどの対策が十分に効果的です。また、時折、やや高難易度の仕事を割り当てて、従業員のモチベーションを刺激するようなアプローチも従業員の成長を促進する手段となります。
ワークエンゲージメントの高さを持つ企業は、どのようなアクションを取り入れているのでしょうか?
このセクションでは高いワークエンゲージメントを誇る企業の実践例を取り上げます。
人材を最大限に活用するため、役職や業務の配置を適切に見直すことがポイントです。また、業務達成への肯定的なフィードバックは、スタッフのモチベーションを高める上で不可欠でしょう。いくつかの企業では、インセンティブ制度を導入し、モチベーションの継続に努めています。
多様な働き方を受け入れることは、スタッフのさまざまなライフスタイルを尊重することと同義です。結婚や出産後の働き方をサポートするため、産業・育児休業制度の導入が進む企業が増えています。
そして、フレックスタイムやリモートワーク、サテライトオフィスなど、現代のニーズに応じた新しい働き方も出てきました。加えて、制度を整えるだけでなく、オフィスのスペース設計の再考も改善方法の一つです。ABWやフリーアドレスの導入を通じ、もっと自由度の高い働き方をサポートしましょう。
社員同士が気軽にコミュニケーションをとれるミーティングエリアやリラックススペースを確保することが必要です。例えば、リフレッシュエリアやカンパニーカフェのような休憩場所の導入です。また、数多くのミーティングスポットがある場合は、自由に集まることが可能です。
オフィスの設計は、ゾーニングからスタートし、デスクの配置やテーブルのサイズなどの細かな要素まで計画するプロセスを指します。効率的なパフォーマンスを実現するためにも、ワークエンゲージメントにフォーカスしたオフィスデザインは欠かせない要素です。
事例:ソウルドアウト株式会社 様
事例:アイグッズ株式会社 様
この記事ではワークエンゲージメントを向上させるための重要なポイントをご紹介しました。ワークエンゲージメントを高めるためにも、社内の人間関係やコミュニケーション方法の見直しだけでなく、オフィスのデザインも考慮していきましょう。
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