ここ数年で、働き方が急速に変化し、働き方の多様化やテレワークの普及など、さまざまな理由からオフィスの再配置や改装に興味をお持ちの方が増えているかもしれません。ウェブ会議の増加に伴い、個人用のブースやくつろげるカフェやリビングのような空間を導入するオフィスが注目を浴びています。新しいオフィス環境を検討しているなら、魅力的で実用的なオフィスを実現したいと思うでしょう。
今回は、そのようなオフィスレイアウトを作成する際のポイントを詳しく紹介します。
オフィスのレイアウトには、「ゾーニング計画」、「動線計画」、そして「基準寸法計画」という3つのプランがあります。
ゾーニング計画は、オフィスで必要な各機能をどの位置に配置するかを大まかに決定する手続きです。例として、ワークエリア、応接空間、会議室、経営者の部屋、ミーティングスペース、収納エリアなど、オフィスと言っても多岐にわたる役割や機能のエリアが考えられます。ビジネスの性質や業界によって、これら以外の特定の機能エリアも必要となる場合があるので、業務の内容や特色を加味して計画を立てることが大切です。
さらに、ゾーニングの際に「セキュリティのレベル分け」も欠かせません。多くの人が、オフィスのセキュリティと言えば外部の防犯をイメージするかもしれませんが、情報の不正持ち出しや情報流出といった内部のリスクにも気を付ける必要があります。これらを考慮して、オフィス内の各エリアの機能や目的に応じて、重要性を基にセキュリティのレベルを設けることが大切です。
セキュリティが高い場所は、エントランスや共有スペースなど人の動きが多いエリアから遠ざけ、業務の効率を意識しながら、境界をはっきりさせて、安全性を確保することを重視すると良いでしょう。適切なゾーニングは、アクセス管理や入室の履歴管理のようなセキュリティ対策のコストを削減する手助けとなります。
動線計画は、建物内で人々が移動するためのルートを最適にすることを指します。この設計を適切に行わないと、移転後に主要な通路が狭くなったり、不必要に迂回することになり、スタッフのストレスや作業効率の低下が生じてしまいます。
近年、日本での長時間座るという課題に対応し、オフィス内を歩かせるような動線計画も取り入れられています。企業として何を優先したいかを明確にし、それに基づいた設計を進めることが大切です。
基準寸法とは、オフィスのデスクや通路の間隔を、人々の動きや空間が持つ心理的効果を踏まえて一定の標準に基づき計画することです。
一般的な基準寸法は以下のようになっています。
オフィスの配置は、働くスタイルやチームのコミュニケーションに影響する大切な要素となります。配置を検討する際、どのような機能や要素がオフィスに求められるかを明確にした上で、それらを効果的に配置することが必要です。
以下では、配置の種類によって、どんな場面や状況で有効か、その利点や注意点を交えて詳しく解説します。
対向型レイアウト、または島型レイアウトとも呼ばれるこのレイアウトは、同じ部門のスタッフが向き合って座る形式を取ります。この配置では、向かい合っているため集中作業には向かない可能性がありますが、コミュニケーションが取りやすいため、チームワークが中心の業務には適しています。
背面型配置は、デスクを背中同士で配置し、チームを形成するレイアウトのことを指します。他のチームとのやり取りは少し難しい部分も見受けられますが、メンバー同士が直接向かい合っていないため、個人の作業に集中しやすい環境が作れます。また、コミュニケーションを取りたいときは簡単に振り返ることで対応が可能で、効率的に業務を進めることができます。
同向型配置は、全てのデスクが一定の方向を向く配置方法です。まるで学校の教室のような形です。この方式も並列配置と呼ばれることがあります。チーム間の協力が要される場面では少ないですが、隣同士のコミュニケーションは取りやすいため、顧客応対が主となる不動産会社や銀行などで採用されています。また、個人用のブースを設ける際にもこの方式を採用するケースが増えています。
ブース型配置では、パーティションや壁でデスク周りを囲うことで、一人一人のプライベートな作業スペースを確保します。外部の騒音や視線の影響を受けにくく、集中して作業を進めることが可能です。デザインやクリエイティブ系の業種でよく見られる配置ですが、WEB会議の普及などで幅広い業種での導入が増えてきています。
クロス型レイアウトとは、デスクを縦と横に交互に配置するレイアウト方法です。この配置により、ジグザグとした動線が生まれ、決まった動き方をしないように工夫されています。そうすることで、人々の出会いやコミュニケーションの機会が増えるのです。
ブーメラン型レイアウトは、120°のデスク配置を活用したレイアウト手法です。この方法で、1人あたりのデスクスペースが広く取れ、多くのモニターや文書を広げる作業に適しています。個人作業とチームでのコミュニケーションのバランスも良好に保たれる配置です。
オフィスの空間計画において、デスクエリアの活用方法は非常に大切です。一つの方法に絞るのではなく、複数の方法を組み合わせて、より機能的なオフィス空間を構築することが求められます。以下に、デスクの活用方法を詳しく展開します。
固定席は、一人に一つのデスクを提供する方法です。対面型、背面型、同行型などのレイアウトに合わせて配置し、個々に収納スペースを持つことができます。主に常駐する部署や、高スペックのデスクトップが要る業務、また多くの書類を取り扱う部署などで多く採用されています。ただし、スタッフの増減に応じて配置の変更や追加が必要になることもあるため、その点は注意が必要です。
フリーアドレスでは、各従業員が指定された席に固定されず、自由に座る場所を選べるスタイルです。オフィスで初めてこの方式を採用する際、よく外部へ出る営業部署などから試すのが理想的です。全員分の席を用意する必要がないため、空間の効率化やコスト削減に繋がることも期待できます。業務内容や要件によっては、固定席やグループエリア方式での運用が適している場面もあることを理解してください。
グループアドレスは、特定のチーム毎に区画を確保し、その範囲内で自由席のように利用する方法です。固定された席ではないので、所属するメンバーは自分の荷物や資料をパーソナルロッカーなどに保管します。
ABWとは、タスクや作業内容に合わせて、最適な場所や方法を選択して作業するアプローチです。コミュニケーションを重視する時は自由席エリアやリラックスできるソファエリアを利用し、個人での集中が必要な場合は個人ブースでの作業がおすすめ。さまざまな機能を持ったエリアを設けることで、作業内容や目的に応じて最適な場所を「選択」することが可能となります。
管理職の座席配置は、部下に過度なプレッシャーや遠慮を感じさせないよう、適切な距離感が重要です。しかし、同時にチームとのコミュニケーションを円滑にするための配置も考慮する必要があります。適切な位置は選択するレイアウトのタイプによって異なります。フリーアドレスを採用する場合、適切な座席管理システムを設けることで、固定の配置を避けても問題は生じません。管理職の座席位置で入り口や通路を選ぶことは、他のスタッフとの自然なコミュニケーションを促進する考え方もあります。
小規模オフィスにおいては、これまで紹介した配置の中で、対向型やフリーアドレスが最適です。対向型はスペースを有効に活用してコンパクトに配置できます。また、リモートワークを活用している場合、フリーアドレス方式はオフィスのスペースを節約する助けとなります。選ぶオフィス家具も、空間の感じ方に影響を与えます。低い家具を選べば、視線が遮られずに開放感を出せます。収納用の棚をパーテーション代わりに使用すると、家具の数を減らすことが可能です。移動しやすいキャスター付きのデスクを選べば、会議やセミナーなど、さまざまな用途にフレキシブルに対応できます。
オフィスの配置計画を業者に任せる際、以下の3つのポイントで比較検討すると良いでしょう。
これらの選択基準がなぜ重要なのか、具体的に説明します。
多くのプロジェクトを成功させてきたことは、その業者が豊富な経験と専門知識を持っている証拠です。充実した実績は、その業者の提案スキルや技術力の高さを示すものです。「どんなオフィスにしたいか」に基づき、ユーザーの視点を大切にして最適な提案をしてくれることでしょう。
基本的には多様なデザインに対応可能ですが、業者によって得意とするスタイルがある場合があります。自社のオフィス再設計の目的と、業者の特色を持つデザインが一致するかを見極めることが重要です。そのため、オフィスの再設計や移転の際に「何を目指しているのか」を明確にすることが必須です。具体的なビジョンが持てない場合、他の基準を満たしている業者に相談を持ちかけるのが良いでしょう。
オフィスの移転や改装時には、多岐にわたるタスクが発生します。例えば「照明はこの業者」「床工事はあの業者」といったように、複数の業者を巻き込むと手続きが複雑化してしまいます。関与する人数も増加し、その結果、一部の情報が抜け落ちるリスクも上がります。そこで、全工程をサポートしてくれるワンストップの業者を選ぶことが効率的です。
オフィスレイアウトを中心に、おしゃれで実用的なオフィスを実現するポイントなどをご紹介しました。オフィスの移転やリニューアルを考えている方の中には、「せっかくならおしゃれで実用的なオフィスにしたい」「でもどのように進めればいいのか分からない...」と悩む方も多いでしょう。生産性を引き上げるオフィスレイアウトについて、UNION TECまでお気軽にご相談ください。
また、オフィスレイアウトについては、以下の記事でも事例付きで解説しております。
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