オフィス通路幅のベストプラクティス:法規準拠から最適レイアウトまでのガイド
ノウハウ 2023.10.10

オフィスのレイアウトを考えるとき、家具の配置以外にも通路幅を適切に設計することが欠かせません。狭い通路幅では、従業員同士の移動が困難になり、また、広過ぎると効率的なスペース利用が難しくなります。「狭い」や「広い」の基準は主観的に変わることが多いので、オフィスの改修やレイアウト変更を行う前には、適切な通路幅の基準をしっかりと把握しておくべきです。

この記事では、通路幅の適正な設定や法的な制約、さらには効率的なオフィスレイアウトについてのヒントを紹介していきます。快適で機能的なオフィスを目指す方は、以下の情報を参考にしてください。

 

オフィスで考慮すべき通路幅の基準とは?

事例:キャシュモグループ 様

オフィスの通路幅を決定する際、人々の動きやオフィス用品の寸法などを考慮に入れることが重要です。このセクションでは、具体的な通路幅の目安について触れていきます。

 

主要な通路の幅

  • 単独で通行する通路幅…60〜80cm
  • 2人が並行して通行する通路幅…120〜160cm
  • 車椅子での通行を考慮した通路幅…90cm以上

主要な通路は、多くの人々が利用し、また緊急時の避難路としても機能するため、十分な幅を持たせることが求められます。一人で歩行する場合の最低限の幅としては60cmが目安ですが、余裕を持って80cm確保するのが理想です。また、2人がすれ違うシチュエーションを考慮し、最低120cm、さらに余裕を持たせて140〜160cmの確保を心がけたいです。車椅子の通行を考慮する場合、車椅子の幅を加味して90cm以上、他の従業員とのすれ違いを考慮して150cm以上の確保が適切です。

 

デスク間の通路幅

  • デスク間の通路幅の基準…160〜210cm

通常、作業中のデスクの座席幅は約40cmとなります。通常の通行のための80cmの通路幅を確保することを考えると、デスク間は最低でも160cmの幅が望ましいです。さらに効率的な動線を確保するためには、180〜210cmの範囲での確保が望ましいとされます。これにより、他の座席の方々との干渉を避けつつ、自由に移動することが可能となります。

 

デスク間の推奨通路幅

  • デスク間推奨の通路幅…160〜210cm

デスクとデスクの間に確保すべき通路幅は、少なくとも80cmは必要とされます。この幅ならば、スムーズに人が通ることが可能です。デスクのタイプやサイズによっては、その寸法も重要となります。配置する際には、デスクの大きさを考慮した上で通路幅を確定することが大切です。通常のデスクの奥行きは、大体70cm、小型なものは60〜65cm、大型のものは約75cm程度となります。使用目的や業務内容に応じて、適切なデスクを選びましょう。多くの文書や書類を扱う作業ならば、広めのデスクが推奨されます。一般的なデスクの幅は120cmを基準としていますが、外部への業務が主の営業員向けのコンパクトなデスクは約100cm、ワゴン付きのデスクは約140cm、上層部や経営層が使用するデスクは150cm以上が適しています。

 

デスク背後の壁際の推奨通路幅

  • 壁際のデスク背面の通路幅…85cm
  • デスク背面を動線として使う場合…120cm

壁に面したデスク背後の通路幅としては、人が横向きに通れる45cmと、デスクの40cmを足した、合計85cmを考慮すると良いでしょう。また、デスク背後が他者の移動のための通路として機能する場合、少なくとも80cmの幅とデスクの幅を考慮して、合計120cmが望ましいとされます。特に出入口付近や通行量が多い区域では、160cm程度の確保が推奨されます。

 

壁面収納とデスク間の通路幅

  • デスクが座席側で壁に面しているケース…145cm
  • デスクのサイドが壁に面しているケース…105cm

オフィスでは壁面に収納棚や書棚を配置するケースがよくあります。通常、人が通行するための最低幅として60cm、そして収納の開閉のために45cmの幅が求められます。デスクが座席側で壁に面している場合、収納の開閉や人の通行、さらにデスクの座席部分の幅を合わせると、おおよそ145cmの幅が適切と言えます。デスクが横側で壁に接しているケースでは、座席部分の幅を除外して考えると、合計で約105cmの幅が推奨されます。

 

オフィスデザインと法的な通路幅の制約

事例:サンブロードバンド株式会社 様

このセクションでは、建築基準法消防法労働安全衛生規則を踏まえ、法的規定と通路幅のコンテキストを明らかにします。

 

建築基準法について

建築基準法は、建物の建設時に遵守すべき基本的な規範を明記している法律です。通路における居室の配置や廊下の幅についての基準は設けられていますが、オフィス内部の具体的な通路幅を指定する条文は存在しません。先に触れたように、個人の通行を考慮した場合、80cm程度の幅が適しています。また、2人が同時に通行することを前提とした場合、最低でも120cmの幅を持つことが推奨されます。

 

消防法の視点

消防法は、火災時の事態を考慮した法律となっています。オフィスにおける通路幅に明確な規定は設けられていません。しかしながら、消防法の観点からは避難通路の確保が重要視されています。火災が発生した場合には、オフィスの主要な通路は避難のための経路として機能しなければなりません。そのため、家具や大型の物品で通路を遮らないよう、スタッフへの指導や教育が必要です。また、消防隊の進入を示す赤い逆三角マークがある窓周辺には、家具や物品を配置しないようにすることが大切です。このマークが示す場所は、緊急時に消防隊が利用する入口となるので、その周辺は常に確保しておく必要があります。

 

労働安全衛生規則とは

労働安全衛生規則は、職場の安全と衛生を保障するための基準を設ける厚生労働省の指示に基づいています。しかしこの規則の中で、通路幅の最低限の要件を明示している項目は特にありません。とはいえ、適切な照明に関する基準は存在します。職場内での安全確保のため、適切な照明を施すことが求められています。さらに、通路上での障害物の配置にも制約があるため、これらの項目も確認してオフィスの設計やレイアウトを行う際には注意が必要です。

 

通路幅を中心にしたレイアウトの種類

オフィスのデザインにおいて、通路幅は重要な要素の一つです。このセクションでは、通路幅の考慮を基点にしたオフィスレイアウトのバリエーションを詳しく紹介し、それぞれの特性や適用シーンについても触れていきます。

 

01. 対向型レイアウト

対向型レイアウトは、お互いのデスクが向かい合う形で配置される島型レイアウトです。直接の対話がしやすく、さまざまな業種での利用が見られます。このタイプは、デスクの集約配置により、空間を効率よく利用できるメリットがあります。特にスペース制限のある場所での採用が考えられます。フリーアドレス制度を取り入れる際には、この配置が選ばれることが多いです。ただし、視線の問題で集中が難しくなる場合もあるため、集中力が求められる業務の際には他のレイアウトを選択することも考慮されます。

事例:アイグッズ株式会社 様

 

02. 背面型レイアウト

背面型レイアウトは、デスクが背中合わせになる形で整えられます。相隣や背後の席の人とのコミュニケーションが取りやすく、協調性が求められる部署、例えば企画や開発などでよく採用されています。このレイアウトは、空間の最大化と通路の確保がしやすいのが強みです。特に人数が増える予定のあるオフィスや、限られたスペースを有効活用したい場合に向いています。

事例:合同会社バイブリーアニメーションスタジオ 様

 

03. 同向型(並列型)レイアウト

同向型レイアウトは、全ての席が同じ方向を向くようにデスクが一列に並べられる形態を指します。会議室や研修室でよく見られ、特に個別作業がメインの職種、例えば電話対応職などで好まれます。このレイアウトは、多くの通路が必要となるため、広めのスペースを必要とします。

事例:株式会社カオナビ 様

 

04. クロス型レイアウト

クロス型レイアウトでは、デスクが異なる方向を向くように、交互に配置されます。このレイアウトの間に収納やパーテーションを設置することで、個別のプライバシーを高めることができます。集中して作業することが多い設計やデザイン職などでの利用が考えられます。外資系企業のオフィスでよく見られるレイアウトでもあります。しかし、デスクの側面が通路となるため、全体のスペース効率は必ずしも高くありません。クラスター配置を採用する際には、各デスクのスペースの広さが鍵となります。十分な作業スペースを確保しつつ、通路幅も適切に取ることが大切です。

 

05. ベンゼン型レイアウト

ベンゼン型レイアウトは、120度の角度でデスクを配置してYの形に整えるデザインとなります。コミュニケーションが活発にとれる点が強みで、資料や設計図を大量に展開する業務にもフィットします。一方で、全体のスペース使用効率としては最高とは言えず、配置するデスク数に制限が生じることも。この形状では、一般的にデスクを壁に向かせる配置が一般的です。そのおかげで、オフィス中央部分は自由に動きやすい空間として利用できます。特に非常時の避難を考慮した場合、入口近くの通路幅は、少なくとも120cm以上は確保したいものです。

 

余裕を持ったレイアウトのコツ

効果的なオフィスレイアウトのための鉄則として、通路幅の確保は欠かせません。以下では、スペースに余裕を持たせた通路の確保テクニックを詳しく解説します。

 

家具はまとめてレイアウト

オフィスに置くデスクやチェア、棚などの家具は、まとめて設置することで動線をシンプルに保つことができます。しかし、通路幅確保のための配置に偏るあまり、作業効率を犠牲にしてはいけません。最優先事項は、快適な作業環境の実現です。家具をグループで配置する際は、同じ業務内容や部門、あるいは機能毎に配置することをオススメします。

 

フリーアドレス制度の導入

デスクの量を制限することで、通路幅の確保がより容易になります。そのための一つの手段として、現代の働き方として注目されているフリーアドレス制度を採用するのが効果的です。フリーアドレスは、固定された席を持たない、デスクや椅子を共用するスタイルの働き方を指します。これにより、常時オフィスにいる人数分の席を確保すれば良いため、家具を減らし、広い通路を得ることが可能になります。

 

デジタル化で保管スペースを削減

デジタル化を推進することで、紙の保管場所の必要性が減少し、収納棚の量を削減できます。特に、多量の紙ベースの資料が存在するオフィスでは、この方法が大きな変革をもたらすことが期待されます。ただ、特定商取引法宅建業法のような、書面での保存が求められる書類が一部存在するため、実践する際の注意が欠かせません。保存が必要な書類と、デジタル化して良い書類の区分けを行い、適切に取り組むことが重要です。

 

オフィスレイアウト時の重要ポイント

オフィスのレイアウト、特に通路幅を確保する上で重要となるポイントを以下で紹介します。このポイントを踏まえて、効果的なレイアウトを心がけましょう。

 

大きなオフィス家具は固定化

地震の際、安全な避難路を確保することを考え、大きなオフィス家具はしっかりと固定することが推奨されます。通路の広さだけでなく、地震による揺れで家具が動いてしまうと、危険が増します。使っているデスクは、設置時に固定可能なものを選択することがベストです。キャスター付きのデスクも、固定機能が付いていれば適しています。また、棚や書庫は特に転倒のリスクがあるため、安全に固定する装置を取り付けることが求められます。そのための具体的な装置は、家電量販店や通販サイトでも手に入れられます。

 

作業効率を重視

オフィスのデザインや統一感を保つことも大切ですが、その中で作業のしやすさを確保することも必要です。効率的に仕事ができないオフィスは、コミュニケーションや生産性にも影響します。それが会社の業績にも関連してくるので、作業のしやすさは最優先事項として考慮しましょう。オフィスのレイアウトを考える際、現場の声を取り入れるヒアリングも重要です。社員との共通認識を持ちながら、最適な配置に取り組むことが推奨されます。

 

専門業者への依頼時は複数の見積もりを取る

小規模なオフィスや家具の簡易な配置変更は、自社の社員だけで実施可能です。しかし、大きなスケールでの変更や、電気や内装の工事が伴う場合、プロの業者に頼むのが賢明です。依頼する際、複数の業者から見積もりを取得することで、コストやサービスを比較することができます。

 

まとめ

快適なオフィスを実現するために、通路の幅を適切に考慮することが重要です。必要な通路の幅は、その位置や周囲に配置されている家具などに依存します。

オフィスの広さに余裕がない場合や、室内に多くの設備が配置されている場合など、通路幅を確保するのが難しい場合には、オフィス家具を集約配置したり、ペーパーレス化を推進して収納スペースを減らすなどの対策が効果的です。また、フリーアドレス制度を導入して、オフィスのレイアウトを大幅に見直すことも考慮できます。

ぜひこの記事を参考にし、適切な通路幅を確保し、快適な働きやすいオフィスを実現してください。

 

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