新しいオフィスへの移転は社員のモチベーションを高める効果的な方法のひとつです。しかし移転をマネジメントする立場にとしては、これほど悩ましい作業もありません。現状のオフィスに存在する全資産と全人員を移転の翌日から滞りなく業務に就かせる責任があるからです。そんな状態においても成功する方法は存在します。ひとことで言えば、「しっかりと管理すればよい」のです。では「何を」「どのように」管理すればよいでしょうか。
規模にもよりますがオフィスの移転は長期プロジェクトとなるのが一般的です。
移転の検討が始まってから新オフィスでの稼働までクリアすべきステップが多数存在します。その各段階に効果的なリソースの投入が必須です。大まかなクリティカル・ポイントを時系列で見てみましょう。
ある経営上の問題を解決する手段としてオフィス移転が議題にあがります。次にその原因を除去するための条件を整理し自社物件の新築も視野に入れつつ最適な環境を備えた新オフィスの選定が始まります。諸条件の検討を経て移転先および移転時期が決定されます。ここまではトップ・マネジメントの案件です。以降は実際に移転をマネジメントするチーム(主に総務部など)が指揮を取ります。内外の移転作業のキーパーソンとのコミュニケーションを取りながら移転当日を迎えます。このとき、このプロジェクトの成否は移転に伴い発生する作業について、もれのない全体のバランスを考慮したスケジューリングができるかどうかにかかっています。
オフィス移転の「準備作業」とは、このスケジューリングにつきます。移転準備が成功すれば移転日当日にはすべての作業が完了しており「あとは運送会社に移動してもらうだけ」という状態になります。
計画というのは立案した時点での情勢と情報に基づいて策定されます。
いかに周到に練られた計画であっても、その実行中に新しい事象や問題点が発生すれば計画の修正・変更または中止を余儀なくされることでしょう。
つまり計画というのは原理的に「計画通りにはいかない」ものなのです。さらにオフィスの移転はそれほど頻繁に繰り返される案件ではありません。そのためオフィス移転をマネジメントする会社以外は経験の蓄積が十分ではなくノウハウのない未知の領域の作業といえます。またオフィスの移転は重要なプロジェクトであるにも関わらずそれ自体で収益を生むものではありません。
長期的には社内にも、また社外に向けても、さまざまな点で活性化作用をもつはずですが明確に定量化できるものでもありません。そうなると移転マネジメントチームが立案した計画について、他の部門からの積極性な協力が得られないこともあります。特に組織が大きくなればなるほど、理解を得ることが難しくなる傾向があります。
このようにオフィス移転に関しての経験値が低いことや他の部門の移転への当事者意識の欠如などにより計画が遅延する可能性は否定できません。
それでは移転スケジュールの進捗をある範囲内の遅延に収めて当初予定された移転当日にすべての作業を間に合わせるにはどうすればよいでしょうか。
デッドラインが決まっているわけですから移転準備開始日からその日までしか時間はありません。移転当日から「逆算」してスケジューリングするのがポイントです。まず移転作業フローを考えてクリティカル・タスクを抽出します。これは、その作業が完了しないと他の作業に進めない作業をさします。すべてのプロジェクトには複数のクリティカル・タスクがありますので、ここを重点的に管理します。
最もデッドラインに近いクリティカル・タスクからはじめて直近のものにいたるまでの必要な作業と所要時間を割り出しましょう。この逆算法では、ひとまずは作業に必要な時間を積み上げてみます。
最初はすべての時間を足すと全日程数を超えてしまい「日数不足」との結論が出るのが一般的です。そこで次に時間内に収まるよう作業の効率的な配置を考えます。時間的にどうしても予定通りの作業完了が厳しい場合は人材リソースの大量投入で時間短縮を図る方法もあります。
このように非常に重要なスケジューリングですがプロジェクトが大きくかつ長期にわたる場合はそれに比例して管理も難しくなります。
オフィス移転は複数のベンダーとの共同作業なのでスケジュール管理の基本は密なコミュニケーションに尽きます。最も悪影響を与えるのは最新のタスクが共有されていない場合です。例えば、オフィスレイアウト図面のバージョン管理の問題があります。什器や書類の移転先として新オフィスのレイアウトは全作業員が共有すべき最も基本的な情報です。これは建築図面(簡易なものも含みます)で提供されますが、準備段階で各ベンダーの作業が集中する時期には部分的な変更が伝わらないことが発生する傾向にあります。よく見られるのは古いバージョンの図面で作業してしまい手戻りとなる場合です。この解決策はバージョン管理用のアプリケーションなどを用います。
現時点での最新の情報は何かを明確にして、古い情報へのアクセスを制限するのです。この例に限らずスケジュール管理の基本はタスクの進捗管理ですが、変更された情報をどれだけ迅速に全関係者に伝達するかという点がロスを最小化するポイントとなります。
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