オフィスレイアウト変更に使える! 各種寸法まとめ
ノウハウ 2023.11.13

オフィスレイアウトを行う際、ただ机やオフィス家具を並べるだけでなく、人が通れるように、また扉を開閉ができるように余白も考慮して行わなくてはいけません。

快適なオフィス空間をつくるためのオフィスレイアウト寸法について紹介します。

 

オフィスレイアウトの基準寸法とは?

オフィスの構築に際しては、法律で定められた基準があります。代表的な法律には、建築基準法労働安全衛生法消防法があります。これらの法律には、私たちの生命の安全と心身の健康を守るための「基準」が明記されています。オフィスの配置は、これらの法律に基づき、デスク間や通路の幅などが定められています。これが「基準寸法」です。

通路の適切な幅が確保されていないと、火災や地震などの災害時において、適切な避難が難しくなり、混乱の原因となります。したがって、これらの基準に従ってオフィスを構築することは、安全性を確保する重要な措置です。

また、狭いオフィスレイアウトは、社員のストレスの原因となります。通路が狭く、社員同士がすれ違う際に不便が生じると、業務効率や集中力が低下する可能性があります。快適なオフィス環境は、社員の業務パフォーマンス向上に寄与しますので、十分な通路幅を確保することが重要です。

以下では、基本的な通路幅と、ワーク(執務)スペースおよび会議室の通路幅に関する基準寸法を解説します。

 

まずは標準的な人と通路の寸法を抑えよう!

デスクやオフィス家具の多さに反し狭い部屋のオフィスの場合は、人が通るデスクとデスクの間の通路などを考慮してレイアウトをしなくてはいけません。そこで重要なのが、人間の標準的な幅と人が通れる通路の寸法を理解することです。

標準的な大人の人間の横幅は450mm、そしてオフィスにおける最小の通路の幅が600mmとなります。

600mmの幅は人と人のすれ違いが困難なため、配置するデスクやオフィス家具の間の600mmの通路は、なるべく人が通らない通路として家具などを配置する必要があります。

人が1人通れる最小の通路以外にも、人と人のすれ違いが可能な、メイン通路と標準的な通路があります。メイン通路の幅は1600mm以上、標準的な通路は1200mm以上と設定されています。1600mmの場合は、普通に人間同士のすれ違いが可能、1200mmの場合は、通常の、または体の大きい人同士のすれ違いの場合、横歩行でのすれ違いが可能となっています。

また、ユニバーサルデザインのオフィスの場合、車椅子の利用を考慮すると、標準的な寸法(幅)は60cm(※)とされています。

※)車椅子の寸法は、JIS規格では70cm以下とされています。また、車椅子を利用する場合は、設計者に相談するとよいでしょう。

 

オフィスにおける通路幅の基準寸法

JOIFA(日本オフィス家具協会)では、日本人成人の標準的な寸法(肩幅)は46〜50cmとされています。同様に、ユニバーサルデザインのオフィスでは、車椅子の利用を考慮した設計が求められます。車椅子の標準的な寸法(幅)は60cm(※1)で、JIS規格では70cm以下とされています。車椅子の利用を考慮する場合は、設計者に相談することがおすすめです。

これらの基準を踏まえ、通路幅の目安は以下の通りです。

 

《通路幅の目安》

A. ひとりが通行する通路幅:60cm〜

B. ふたりがすれ違う通路幅:120cm〜

C. ひとりが横向きになった時の通路幅:45cm〜

D. 着座時の通路幅:50cm〜

(※車椅子の幅:60cm + ハンドリムを操作するゆとり:15cm)

 

通路幅の確保は重要で、大人が一人通れる通路幅は60cm以上、二人がすれ違う場合には120cm以上が必要です。JOIFAでは避難経路の通路幅を120cm以上にすることを推奨しています。オフィスフロアを区切る場合、居室の面積が200m²(地下の場合100m²)を超える場合は、通路幅を120cm以上確保することが建築基準法施行令第119条で規定されています(※2)。

※2)通路が片側が壁で、片側のみが居室の場合、通路の幅は120cm以上。通路が両側が壁で、両側が居室の場合、通路の幅は160cm以上と定められています。

 

ワークスペースにおけるデスク間の通路幅の基準寸法

人が頻繁に移動し、出入りするワークスペースや会議室は、作業効率と安全性を考慮したレイアウト設計が必要です。デスクの背後が壁の場合と収納庫の場合では必要な通路幅が異なります。収納庫の場合は、扉を開閉するための動作スペースが必要です。ここでは、ワークスペースでのデスク間の通路幅について解説します。

 

デスク間の通路幅

デスクとデスクの間の通路には2つのパターンがあります。デスク同士を横並びに配置するパターン(上図/左)とデスク同士を背中合わせに配置するパターン(上図/右)です。

デスク同士を横並びに配置する場合、通路はメインの動線となります。通常、90cm以上あれば問題ありませんが、JOIFAで推奨されている通路幅である120cm以上を確保できるとより快適です。

デスク同士を背中合わせに配置する場合、通路幅は180cm以上を確保します。椅子の前後の可動域は75〜90cmと想定されています。通路が狭いとだけでなく、背面の椅子同士がぶつかる可能性もあるため、通路幅を十分に確保しましょう。

 

デスクと壁の通路幅

壁面をサイドにデスクを配置するパターン(上図/左)と壁面を背後にデスクを配置するパターン(上図/右)の2つのパターンが考えられます。

壁面をサイドにデスクを配置する場合、通路幅は大人二人がすれ違える幅である120cm以上を確保します。

壁面を背後にデスクを配置する場合も、通路幅は120cm以上確保できていれば十分ですが、椅子の可動域や人が頻繁に往来する状況を想定して140cm以上あるとより快適な環境を築けます。ただし、機密性の高い業務従事者の場合、通路幅を故意に90cm程度に狭くすることもあります。

 

デスクと収納庫の通路幅

収納庫をサイドにデスクを配置するパターン(上図/左)と収納庫を背後にデスクを配置するパターン(上図/右)の2つのパターンが考えられます。収納庫は引き出しや開き扉のような開閉スペースを必要とするタイプがあります。扉サイズ(約45〜50cm)と、扉を開けたり、しゃがんで作業するためのスペースを考慮して通路幅は135cm以上を確保します(※3)。

収納庫を背後にデスクを配置する場合、着座スペースも考慮する必要がありますので、180cm以上の通路幅を確保したいところです(※4)。

※3)扉:45cm + 横向き(作業)スペース:45cm + 通行人スペース(横向き):45cm

※4)扉:45cm + 横向き(作業)スペース:45cm + 着座スペース:50cm

 

デスクとコピー機の通路幅

デスクとコピー機の配置には、サイドに設置するパターン(上図/左)と背後に設置するパターン(上図/右)の2つの選択肢があります。サイドに設置する場合、通路幅を105〜120cm確保すれば、作業スペースを考慮した上で十分です(※5)。一方、背後にコピー機を設置する場合は、作業スペース、着座時のスペース、そして通行人の往来を考慮して140cm以上の通路幅が理想的です(※6)。

※5)横向き(作業)スペース:45cm + 通行人スペース:60cm

※6)着座スペース:50cm + 横向き(作業)スペース:45cm + 通行人スペース(横向き):45cm

 

オフィスにおける会議室・スペースの基準寸法

会議室の配置には、向かい合わせの「対向式」(上図/左)と同じ方向を向いて座る「同向式(セミナールームタイプ)」(上図/右)の2つの主要なタイプがあります。主要な通路は以下の3つです。

 

《 会議室の主要な通路 》

  1. 座席と壁の間の通路

  2. 会議テーブルとホワイトボードの間の通路

  3. 前列との間の通路(同向式・セミナールームタイプ)

 

まず、座席と壁の間の通路(1)は、人の往来が少ないため、一人が通れるスペースがあれば十分です。おおよそ100cm程度が適切です。次に、会議テーブルとホワイトボードの間の通路幅(2)は、ホワイトボードを使用する人と通行するために120cm程度のスペースを確保するのが良いでしょう。

セミナールームタイプの場合、前列とホワイトボードの間(3)は、前列の通行人を考慮して約95cm程度(※7)のスペースを確保すると良いです。

※7)着座スペース:50cm + 通行人スペース(横向き):45cm

 

社員一人当たりの必要デスクスペース(ワークスペース)

一人当たりのデスクスペース(ワークスペース)にはどれくらいのスペースが必要でしょうか。通常、オフィスデスクの標準サイズは幅120cm × 奥行70cmです。このサイズに椅子の前後の可動域である75〜90cmを加算すると、面積は約2m²になります。一人当たりのデスクスペースはこのくらいの面積を確保することが一般的です。

しかし、オフィスフロア全体の面積における社員一人当たりの必要面積は、これだけでは足りません。厚生労働省の規定によれば、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積は、労働者一人について十立方メートル以上でなければなりません。したがって、一人当たりの気積が10m³以上必要です。

通常のオフィスの天井高は2.5〜2.6mくらいであり、これを考慮すると、面積にして4m²以上が必要となります(※8)。この法令は、社員の安全と健康、そして快適な職場環境を確保するために定められています。

「増員により段々とオフィススペースが狭くなってしまった」という問題が発生することがありますが、これらの法令や基準に基づいて、新しく開設するオフィスや移転先のオフィスの広さを検討する際の目安としてください。

※8)10m³ ÷ 2.5m = 4m²

 

快適さを生むには余白の寸法が左右する

オフィスレイアウトはデスクオフィス家具、オフィス機器の配置を考えることですが、物を置かない余白部分である「間」もレイアウトを作るうえで重要な要素となっています。部屋内に物が密集するとそれだけで息苦しくなり、そんな圧迫感を感じる職場では生産的な作業をすることはできません。

空間に余白を導入することで開放的な雰囲気が演出でき、快適な職場であれば仕事もよりはかどることができるのです。よって機能的に物を配置することも大事ですが、余白スペースを生み出すことも配慮してレイアウトに取り組むことも大切なことです。

部屋内の余白スペース部分が70%という割合が標準的な数字となっており、70%以下になってしまうとその空間にいる人間は「狭い」と感じる傾向になっています。狭い空間ではとても良い気分で仕事をすることはできません。いかにレイアウトを工夫して余白部分を作り快適なオフィス空間を演出するかが、オフィスレイアウトの鍵なのです。

 

思いのままのレイアウトはNG!消防法への適合も考えて!

オフィスレイアウトはただ自分の好みでデスクなどを配置するだけでなく、「消防法」にそったレイアウトをしなくてはいけません。消防法とは地震や火事などの被害の防止、軽減するための法律です。例えばパーテーションを使用している部屋の場合、パーテーションは部屋の天井まで届く高さのものですが、その場合、消防署へ届けを提出しなくてはいけません。

また火災が起きた際の逃走を配慮して、パーテーション外のスペースを1200〜1600mm確保しなくてはいけません。そしてパーテーションを設置して部屋を区切ると、部屋内ながら別の部屋としてみなされるので、火災感知器、スプリンクラーなどの消防設備を設置する必要があります。天井まであるパーテーションは火災が起きた際、十分な消火、排煙活動ができるか疑問視されているので、このような消防設備を整えなくてはいけません。部屋を区切るのに便利なパーテーションですが、使用するだけで、消防法にそったさまざま届け、準備が必要となるのです。

 

 

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