事業の成長や新型コロナウイルスの影響での在宅勤務の拡大に伴い、既存のオフィスから新しい場所への移転を考える企業が急増していますですが、これまでにオフィスの移転経験がない企業にとっては、どのような手順や準備をすればいいのか戸惑うことがあるでしょう。
ここでは、オフィスを移転する前の準備や手順について詳しく説明します。移転の際に参照できるポイントも共有しますので、移転の責任者の方はぜひとも参考にしてみてください。
新しいオフィスへの移転を検討する際、最初に行うべきは、現在のオフィスの以下の3項目の確認と検証です。
一つ一つ具体的にご紹介します。
まず、現行のオフィスが直面している問題を明確にしましょう。新しいオフィスのイメージがハッキリとし、適切な物件選びやレイアウトの計画がスムーズに行えます。例えば、「現在のスペースが狭く、社員がリラックスしたり、急な会議の場所がない」といった問題が考えられます。このような状況では、適切な休憩スペースの確保ができる場所を選ぶといいでしょう。
その他にも、「在宅勤務の導入により、オフィスが過大」「新しい年度で新しい社員が増加するが、現状のスペースにはキャパオーバー」といった問題が考えられます。現状のオフィスが直面している問題を全て洗い出し、それを解決するための方法を模索することで、新しいオフィス選びの方向性が定まります。
続いて、現行のオフィスの契約を解除するにあたり、契約内容の確認が必要です。以下の2つのポイントが考慮点となります。
通常、契約の解除通知は、退去予定日の半年前までにする必要があります。しかし、物件によっては3ヶ月前で良い場合も。契約内容を見て判断しましょう。
通知が遅れると、希望の退去日に合わせられない上、余計な家賃を払う羽目になりかねません。さらに、解約に際して返却される保証金のタイミングもチェックが必要です。この保証金は、賃料の保証として預ける金額のこと。物件によっては「敷金」という名前で取り扱われることも。
通常は退去後3ヶ月から半年程度で返却されますが、使用目的が決まっている場合は、返却時期をしっかり確認してください。
最後に、現行のオフィスの原状回復に関する点を調べます。オフィスの引き渡し時には、テナント側は物件を元の状態に戻す義務があります。適切な原状回復を行わないと、貸主とのトラブルが生じる可能性があるので注意が必要です。
原状回復に関しては、以下の3つの観点で確認しましょう。
貸主指定の業者では高額な請求がある場合があるので、テナント側の選んだ業者での対応が可能なら、初めからの打ち合わせで予期せぬ費用を抑えられます。
物件や契約内容により、原状回復の要件が変わることがあるため、早めに貸主と確認することが大切です。
原状回復にはそれなりの費用がかかることが多いので、事前にどれくらいの費用がかかるのか、見積もりを取っておくと良いでしょう。
オフィスの現状の確認が完了したなら、次のステップは新たな移転先の検討です。
オフィスの場所は、企業や製品のブランドイメージと直接関連しています。例として、主に若い女性層を対象としている製品やサービスを取り扱っている場合、流行に敏感な地域が最適だと考えられます。高所得者向けの商品を手がけているなら、高級なイメージの地域を選ぶことで、企業や製品のポジショニングも高められるでしょう。
適切なオフィススペースを見つけるためには、最適な場所やスペース、ワークスタイルをデータ分析して、その結果を元に判断することが推奨されます。
築年数は、建造物の耐震能力の判断のためのキーとなります。既存の建物には新旧の耐震基準が存在します。地震が起きた際、ダメージを少なくするために、新耐震基準を満たしているビルを選ぶことが重要です。
特に営業スタッフや顧客が車を頻繁に使うビジネスの場合、駐車場の確認が必須です。いくつかの物件は駐車場の使用に制限があるので、その条件も見ておくべきです。
近くに銀行、郵便局、市役所等があれば、そのような場所への移動が効率化されます。さらに、近隣にレストランやコンビニがあると、社員の食事も容易になります。近隣の施設も検討の要素として考慮しましょう。
新しい場所のコストについて、契約する前に検証します。業務用の不動産の契約では、以下のようなコストが発生します。
加えて、契約や支払いに関する詳細も調査しておくことが必要です。
物件ごとに家賃や管理費以外にも月々の経費があることも。こうしたコストの確認は必ず行いましょう。
ビルの入口や共有スペースは、企業の第一印象を左右します。テナントとしての入居を検討する際、ロビーやエレベーター、トイレなどの公共の部分の清潔さや機能性を見ておくことが大事です。多くの訪問者があるビジネスでは、お茶室や水道の確認も必要です。
スペースの大きさは判断の要点のひとつです。適切なスペースがないと、書類の収納や作業エリアの確保などが難しくなり、作業の効率が低下する可能性があります。
物件選びと同時に、オフィスのデザインや内装のアイデアを具体化しましょう。新しいオフィスのコンセプトを確立し、それを中心に計画を進めることが重要です。
新しいオフィスの配置は、デザイン会社のアドバイスを受けつつ、自社の特徴に合ったデザインを目指します。新しいデスクや家具を購入する場合、メーカーにより異なりますが、移転の4ヶ月前までにレイアウトを計画しておくと、手配がスムーズに行えます。
オフィスの配置には、従来の島型以外にも、スクール型や背面型などさまざまなタイプがあります。現在のオフィスの課題や社員の働き方に合わせて、適切な配置を選びましょう。この際、社員の意見を考慮し、最適なレイアウトを検討しましょう。アンケートを実施して、動線や希望する設備などについて社員の声を取り入れると、社員が満足できるオフィスのイメージを具現化しやすくなります。さらに、オフィスレイアウトを計画する際には、用途ごとにスペースを区切り、全体のスペース配分を考慮するゾーニングが重要です。必要なスペースをリストアップし、動線やセキュリティを考慮して、具体的な配置を検討します。
オフィスの内装は企業理念や理想的な働き方を考慮して選びましょう。床、壁、照明の選択に関するポイントは以下の通りです。
床の色は、オフィスの印象に大きな影響を与えます。社員の心理状態にも影響を及ぼすため、使用用途に合った色を選びましょう。床の色を変えることで、スペースを分ける役割も果たします。たとえば、青系の色は落ち着きをもたらし、執務スペースに適しています。一方、緑や木目のカラーはリフレッシュスペースに適しています。床材も音の反響や掃除のしやすさなどに影響を与えます。足音を静かにするためにはカーペット系が適しており、人通りの多い場所では耐久性に優れたフロアタイルが一般的です。
壁も床同様に広い面積を占め、スペースの印象に影響します。通常、オフィスでは明るく清潔感のある白が一般的ですが、最近ではスペースのコンセプトに合わせて選ぶことも増えています。白をベースにして壁の一部にコーポレートカラーや異なる素材のアクセントクロスを取り入れることもおすすめです。
照明のタイプと明るさは、各スペースの目的に応じて選びましょう。執務スペースでは、効率的な作業をサポートするために明るい昼白色や昼光色の照明が最適です。逆に、リフレッシュスペースでは適度な温白色や電球色の照明がおすすめです。さらに、最近では調光機能も注目されています。長時間明るい光を浴びることは不快感を引き起こすことがあるため、時間帯に応じて明るさや色温度を調整できる照明の導入も効果的です。
新しいオフィスに移転するにあたり、施設やインテリアに関する工事が不可欠です。
入居工事には、「分離発注型」と「ワンストップ型」の2つの方法が存在します。分離発注型では、それぞれのタスクを専門の業者に依頼する方法です。対照的に、ワンストップ型は、すべての移転に関する業務や工事を一つの専門業者に一任する手法です。ワンストップ型は費用面では高額ですが、煩雑なプロセスや業者間のコミュニケーションを省略できるので、時間に余裕がない企業や多忙なビジネスには最適です。
ビル内で、防災対策や空調・電源の追加などの大規模な工事については、通常、ビルの管理団体が指定する業者の利用が契約上求められています。どのタイプの工事が指定業者に要求されるのかを、予めオフィスのオーナーと打ち合わせておくことが大切です。
入居工事に関する主要な確認点は、以下になります。
これらの点をオーナーと共に検討し、工事の計画を立てていきます。
オフィスの移転日が確定したら、移転に伴う手続きや届け出、関連する取引先への通知が求められます。そして、社員との情報の共有も進めていく必要があります。
オフィスの移転時、取引先には事前に情報を伝えることが欠かせません。
移転先の住所など詳細情報が確定したら、取引先に向けた案内文を整えます。この案内は、取引先やクライアントへ最低でも2週間前に届くよう配慮すべきです。新たなオフィスへの移転に伴い、関連する手続きを忘れずに。
移転の工程を円滑に進めるため、「オフィス移転説明セッション」を開催しましょう。予定される移転日程や工程を前もって共有することで、当日の混乱を最小限に抑えることが期待できます。さらに、次のポイントを含んだ「新オフィス活用ガイド」等を作成し、シェアします。
新オフィスへの移転は、かなりの時間や労力を必要とする大規模な取り組みとなります。その規模ゆえ、通常業務と併せて移転の手続きを進める際、チームだけで上手く進行させるのは難しいことも考えられます。万が一、計画通りに進行しないと感じたら、前に触れたワンストップ方式のサービスを採用することを検討してみてはいかがでしょうか。
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