オフィスランドスケープのメリットと考慮事項、具体的な事例解説
コラム 2023.10.04

質の高い人材の採用や、従業員の退職を予防するために、職場の環境改善が近年注目されてきました。スタッフ間の円滑なコミュニケーションを促すような空間の作り方は、効率化や定着の向上など、さまざまなメリットが見込めます。そのような中、高効率な作業環境とフレキシブルな配置が魅力のオフィススタイルとして、オフィスランドスケープが取り上げられているのはご存知でしょうか?

この記事では、オフィスランドスケープの持つ特色や、最大の利点を生かす配置のコツを、実際の事例を交えて解説します。

 

開放的な雰囲気とプライバシーを併せ持つ「オフィスランドスケープ」

事例:アイグッズ株式会社 様

事例:株式会社アソビズム 様

オフィスランドスケープは、壁のような固定式の仕切りよりも、ローパーテーション家具植物を活用して、適切なプライバシーを維持すると同時に移動の流れを確保する設計思想です。このアイディアは、ドイツのアドバイザリー企業が提案し、新しいオフィスの形として注目されるようになりました。このデザインの源泉としては、アメリカで盛んだったブルペンオフィスが存在します。デスクが整然と並べられ、マネージャーがスタッフを監視しやすい形が特徴です。それに対し、オフィスランドスケープは、一定の配置ルールに縛られず、部署やタスクの関連性に基づいてグループ化し、アレンジするのが特色で、現在ではスウェーデンやアメリカを筆頭に、欧米各国での採用が進んでいます。

オフィスランドスケープが浸透した背景として、ヨーロッパで流行っていた「コリドーオフィス」が多くの課題を抱えていたことがありました。コリドーオフィスの特徴は、複数の個室型デザインです。作業の集中はしやすいものの、他のチームや部署とのコミュニケーションが難しいという欠点があり、多くの個室を必要とするため、コストも増加する傾向にありました。現代の要請に応え、連携や費用の問題をクリアしながら、作業効率を向上させるオフィスとして、オフィスランドスケープの導入が進められているのです。

 

「経済性」と「柔軟な運用」の双方が魅力

事例:株式会社カオナビ 様

事例:合同会社バイブリーアニメーションスタジオ 様

オフィスのデザインを考える際、予算の制約に頭を悩ませている方は少なくないでしょう。オフィスランドスケープを採用することで、低コストで効果的な職場環境を実現可能です。このオフィスランドスケープの魅力として経済性と運用の柔軟さがあげられ、具体的に以下の4つのポイントがあります。

 

01. 費用削減が可能

オフィスランドスケープの利点としてあるのは、オフィスの設置やリノベーションの際のコスト軽減です。ローパーテーション等の移動が自由な仕切りを利用することで、導入や撤去のコストを低減できます。さらに、空調の費用削減のメリットもあります。専用の空調を設置する必要がなく、効果的なレイアウトでコストを削減することが可能です。

 

02. コミュニケーションが促進される

またオフィスランドスケープは開放感のあるデザインで、社員間のコミュニケーションが促されます。高い仕切りがないため、他の部門のメンバーとも簡単にコンタクトを取ることができるのです。このような環境は、部門間の協力を促進し、新しいアイディアを生み出すきっかけとなるでしょう。

 

03. レイアウトの変更が簡単

オフィスランドスケープを採用すると、組織の変動や新たなプロジェクトの開始に合わせて、レイアウトの変更が容易になります。コリドーオフィスのような固定のレイアウトよりも、自由に変更可能で柔軟性があるといえるでしょう。移動しやすいローパーテーションや植物を使用するので、変更の際の手間も最小限に留められるのです。

 

04. フリーアドレスの適応が容易

オフィスランドスケープは、レイアウトの柔軟性が高いため、フリーアドレスを導入するのにも適しています。フリーアドレスとは、指定の席がなく、日々の業務に合わせて席を選べるシステムです。部門の垣根を越えてコミュニケーションをとる機会が増え、効率的な業務が可能となります。

オフィスランドスケープでは、開放的な環境で、社員の位置を簡単に確認できるため、フリーアドレスの導入もスムーズです。必要な座席数の最適化を図れば、さらなるコストの軽減が期待できるでしょう。

 

「プライバシー確保」と「専用ブースの追加」の要求

オフィスランドスケープは数々のメリットが存在するものの、オープンスタイルの特有のデメリットもあります。デメリットを最小限にするため、すべてをオープンにせず、部分的に高壁の部屋を配置する、またはシートエリアを整えるなどのアプローチが必要です。

オフィスランドスケープの問題点や課題ですが、以下の2点を考慮しましょう。

 

01. 高機密の業務には不適切

個人データの取扱いや、経営上の要点を取り決める際など、秘密性が要求される業務には不適当です。ローパーテーションや観葉植物のような簡易な仕切りでは、音は防げません。機密保持が重要な業務内容の際は、隣接するデスクを左右交互に配置する対面式のレイアウトや、全デスクを一方向に整列させる平行式レイアウトを検討しましょう。

 

02. 作業効率の悪化

従業員の個別の条件や特性により、他人の視線や音に敏感になり、仕事の効率が悪化する可能性があります。コミュニケーションをとりながら作業を進めると生産性が向上するタスクもあれば、落ち着いた環境で集中する方が仕事が進む場合もあるのです。

オフィスランドスケープでは、秘密の維持だけでなく、従業員の快適さも確保するため、集中エリアや専用ブースの追加が推奨されます。この際に、オフィスランドスケープ固有の開放的な雰囲気やフロアの一貫性を維持するための設計や配置が肝心と言えるでしょう。

 

まとめ

オフィスランドスケープは、完全に天井までつながる仕切りが無いことから、空間を効果的に使用するデザインとなっています。ローパーテーションや家具、緑を駆使して、柔軟なレイアウト変更が可能。それにより、各部門や社員のニーズに応えることができるでしょう。ただし、プライバシーの問題といった課題も存在しますので、そのような点を踏まえた上で、導入は考えていきましょう。

 

 

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