皮ふとこどものあざクリニック茗荷谷 様 | クリニックデザインインタビュー

子どものストレスを和らげる温かい医療空間づくり。

子どものあざ治療をメインに、さまざまな方の皮膚の悩みに応える「皮ふとこどものあざクリニック茗荷谷」様。 
クリニックを開院するにあたり、病院特有の緊張感を和らげる空間づくりにこだわりました。ブックシェルフ、キッズスペース、モビールなど一般的な病院のイメージとは異なる、皮ふとこどものあざクリニック茗荷谷の医療空間について、杉本貴子院長にお話を伺います。 
子どもにストレスのない雰囲気を目指した空間づくりとは?というテーマに向き合ったユニオンテックとの製作プロセスのほか、あざや皮膚全般の治療のことについてもお聞きしました。 

皮ふとこどものあざクリニック 茗荷谷
杉本 貴子 院長

活気がある素敵な街を見渡せるクリニックを開院 

窓から見える景色がとても気持ちいいんです。ほんの少しですが、富士山も見えます。 
じつは、この物件に初めて見学に来た時にピンときたんですよ。当初は他の階の物件を見に来たのですが、偶然11階も空いているということで、見せていただくことに。とにかく窓が多くて明るくて、一目見て気に入りました。眺望だけで決めたわけではないんですけど、おおよそ8割は決め手になっていますね(笑)。


ただ、開院したクリニックは、子どものあざ治療をメインとしていますので、来院される子どもさんたちに緊張感やストレスを与えたくないという思いを強く持っていました。ですので、クリニックを作る上でこの明るくて眺望のよい物件はまさにピッタリだなと思いましたし、おかげさまで温かみのあるクリニックができたなと思っています。 
私が開院した「皮ふとこどものあざクリニック茗荷谷」は、子どもさんをメインとしながら幅広い年代の方の皮膚全般の治療を行うクリニックです。あわせて皮膚に関するお悩み相談なども伺っています。診療内容としては、子どものあざ治療と美容皮膚科が柱になっています。

私は大学病院の形成外科で十数年、そして美容クリニックで数年の経験を積んできました。勤務医のころからいずれは独立したいと思っていましたが、その頃は漠然と都心で美容皮膚科をやろうと考えていたんです。しかし、出産をして子育てをするようになると、自然と子どもを対象にしたクリニックにしたいという思いに変化していきました。

今回クリニックを開院した場所は、子育て世代がたくさん暮らす文京区の茗荷谷。私自身もこの地域の小学校に通っていたんです。また、周辺には大学が5校あり、若い方もたくさんいらっしゃいます。そんなこともあってとても活気がある街。活気があるけど、ごちゃごちゃしていない品の良さがある。そんな素敵な街だから、開院したいと思ったと言ってもいいかもしれませんね。 

 

窓を生かした明るい院内、印象的なブックシェルフ 

クリニックを作るにあたって、内装に関しては具体的なイメージがまったくなかったんですよ。依頼としては、まずは窓が多いのでそこを最大限生かして欲しいということと、子どもが過ごしやすい空間であること、この二点をリクエストしました。そしてユニオンテックさんから提案をいただいたのですが、立地環境や対象とする患者層を明確にした提案で、とても感激しました。


私自身、恥ずかしながらセンスというものに乏しくデザインなどの知識も全然ないのですが、そんな私にもわかりやすい企画書であったり、具体的にイメージできるCGパースなどをお見せいただいてクリニックの空間がリアルに浮かび上がってきたんですよね。ご提案はユニオンテックさんを含め、4社にお願いしましたが、他社は図面とお見積もり、そして施工事例などの添付だったでしょうか。決して悪い内容ではなかったのですが、具体的なイメージを持てなかったこともあり、ユニオンテックさんに正式にご依頼することは自然な流れだったかと思います。
また、デザイナーの方が3児のお母さんだったことも大きいですね。訪れるであろう患者さんのことをしっかり考えた提案は、まさに利用者目線。さすがだなと思いました。そんなこともあって、ほとんどお任せって感じになりました。コストダウンの話だけは何度も言ってしまい恐縮ではありましたが(苦笑)。 

レイアウト的には、窓が生かされた配置になっていて、患者さんが利用する部屋ができる限り窓側に配置してあります。また、部屋それぞれが完全な個室のように壁で塞がず、天井がつながっていますので、窓から入ってくる自然光が院内全体にまわるような感じがして、とても明るい室内になりました。一番印象深いのは、院内の壁の多くがシェルフになっていることですね。


まるでライブラリーのようです。エリアによって配置している書籍に変化をつけています。キッズスペースには絵本や児童書、その他のシェルフにはデザインやアート系の洋書などを設置し、場所によってまったく異なる雰囲気になっていますね。デザイナーさん曰く、書籍も内装の一部という考え方とのことで、これにはとても感心させられました。 

 

病院特有の緊張感を和らげ、子どもにとってストレスのない配慮を 

当院が入居するビルはオフィス仕様ですので、エントランス部にどうしてもビジネスっぽさがあったりします。とくに、出入り口の扉は鉄製なのでとても堅い印象があるんですよね。そんなこともあって、入り口にはガラスの内扉をつけ、診療時間中はビルの鉄製の扉は開放することにしました。エレベーターを降りた時に少しでも柔らかい印象になればいいなと。ガラスを通して温かみのある院内が見えますので、こういったことも安心できる材料になりますよね。 

院内全体としては、木質の部分が多く温かみを感じる雰囲気です。壁面のブックシェルフもそうですが、受付カウンターや床など、さまざまな箇所に木を使ったデザインになっています。また、キッズスペースや診察室は一部、マグネットがつく壁になっています。

いろんなマグネットがついていると、子どもが退屈しないですし、病院独特の緊張感を与えないことへの配慮にもなっています。さらに診察室の壁がマグネットだと、医療機器などを壁付けにできますので、利便性を考えた仕様でもありますね。 

子どもが過ごせるキッズスペースは、特に私のお気に入りです。マグネットのおもちゃがあって、うさぎ耳の椅子があったりインテリアもいい感じです。また、各部屋の天井にはモビールも吊るしています。部屋によってデザインが違うのが楽しいポイントですね。これらも緊張感を和らげる工夫の一部です。



とにかく、子どもにとってストレスにならないことが何より優先と考えていましたので、とても満足しています。  
バックヤードに関してもとても使いやすい動線になっています。当初、診察室とバックヤードを間仕切る壁を作る予定で工事を進めていましたが、いざ壁が出来上がったのを見ると圧迫感があってとても狭く感じてしまって。なので、急遽壁を取り外し、カーテンで仕切ることにしました。

図面で確認してOKとしていたんですが、実際に見てみないとわからないものですね。しかし、せっかく作っていただいたのに取り外すことをお伝えするのは、心苦しいかぎりでした。こんなわがままなことを飲んでくださったユニオンテックさんにはとても感謝しています。 

 

自分の家族を治療するように、患者様をケアしていきたい 

生まれながらに、あざのある方が一定数いらっしゃいます。あざの中で誰もが知っているものでいえば蒙古斑でしょうか。あざは全身にあったり、背中全部を覆っている場合もあります。種類でいうと蒙古斑以外には、苺みたいに赤いもの、茶色いシミのようなものもあります。あざの多くは成長とともに薄くなり、目立たなくなることが多いですが、残るケースも少なくありません。


医学的には気にしなくていいものではあるんですが、あざがあることをコンプレックスに感じる人がたくさんいます。外見に関することなので、メンタル面が大きいといえますね。また、あざは生まれつきのものが多いので、子ども本人が気にする以上に親御さん自身が責任を感じてしまってるケースも多いかなと思います。そんなこともあって、クリニックが少しでも気持ちが和らぐ存在であることが大切だなと思うんです。
今回ユニオンテックさんに作っていただいた空間によるところも大きいですが、私たちのひとつひとつの対応も含めてがこの分野の医療だと思うんです。子どものあざの悩みも、アンチエイジングを目的とされる大人の方も、本人にとってはデリケートな悩みなんですよね。ですから、本当に寄り添った医療を提供をしていきたいと思っています。

以前に、顔にあざがある老婦人の方を担当したことがあります。実はその方、末期ガンを患っていたんですが、あざ取りを希望されていたんです。失礼ながら驚いたんですが「綺麗な顔になって、天国に行きたい」とのことでした。こういった思いって、本当に大切なことだと教えられた瞬間でしたし、忘れられない患者さんとの出会いでした。 

当院は美容皮膚科でもあるので、子どものあざ以外にも、親御さんのアンチエイジングや若い方のニキビ治療など、さまざまな皮膚の悩みに対応させていただいています。あらゆる世代の方にしっかり応えていくために「自分の家族を治療するようにケアしていく」。このマインドを大切に地域の皆様に医療を届けていきたいと思っています。 

 

この記事のプロジェクト

Hihu to kodomo no aza clinic Myogadani

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