「ウェルビーイング経営」社員の心と体をケアする新しい経営スタイル
ノウハウ 2023.10.12

コロナの影響が長く続き、テレワークや家での仕事が一般的になる中、多くの方が心や体の不調を感じている時代となりました。そのような背景から、企業が社員の心と体の健康を重視する「ウェルビーイング経営」が、今、非常に関心を集めているのをご存知でしょうか?

健康で満足して働く社員は、その結果として生産性も向上させることができます。近年、このウェルビーイングの概念を大切にし、取り入れる動きが広がっている企業も増えてきました。

さて、ウェルビーイングとは具体的にどのようなものでしょう?この概念を理解するため、実際にウェルビーイング経営を実践している企業の取り組みをいくつかご紹介します。さらに、ウェルビーイングを具体的に実現するためのオフィスのつくり方や工夫の3つのポイントについてもお話ししましょう。

 

ウェルビーイング経営:「心の満足」を追求する新しい経営の形

ウェルビーイング経営は、社員の心の満足や働く意欲を引き出すことを中心に据えた経営アプローチです。この経営手法の核心は、企業が関わるすべてのステークホルダーの「心の満足」を最優先とすることにあります。

「ウェルビーイング」という言葉自体は、心と体がともに安定して、満たされている状態を示すものです。これは単に「幸せ」を指すのではなく、深い充実感や満足感を意味しています。このウェルビーイングを追求する上で、健康や安全だけを重視するのでは足りません。社会的な健康、つまり人間関係やキャリアの発展、経済的安定といった要素も大切に考慮しなければなりません。これらの要素を全て含んだ「心の満足」を追い求めることが、ウェルビーイング経営の特色です。

 

オフィスにおけるウェルビーイングの導入の必要性

ウェルビーイングがオフィスに求められる背景にはいくつかの理由が挙げられます。それぞれの背景を探ることで、現代の経営の方向性を理解する手助けとなるでしょう。

 

人手不足と生産性への影響

多くの企業が直面する問題のひとつが、労働人口の減少とそれに伴う人材確保の困難さです。人手不足が、企業の生産性を直接的に低下させる要因となっています。この問題を克服するため、企業がスタッフの働きやすさやモチベーションの向上を重視するウェルビーイングの取り入れが急募されているのです。

 

ワークスタイルの進化

働き方の多様性を尊重し、それぞれの状況に合わせて柔軟に働ける環境を提供する動きが強いです。これには、時短勤務や遠隔勤務の推進、雇用の公平性の確保など、多岐にわたる取り組みが含まれています。ウェルビーイングの理念は、このような働き方改革の背後にある考え方と深く関わりあいがあるのです。

 

心と体の健康への注目

「健康経営」という言葉が企業の経営戦略の中で重要な位置を占めるようになってきました。このアプローチは、社員の健康を最優先することで、結果的に生産性や業績の向上を目指しています。ウェルビーイングの考え方は、健康経営とはまた異なる角度から、人々の心と体の両方の健康を追求しているのです。

 

コロナ禍の影響

新型コロナウイルスの影響で働く環境が一変しました。これにより、メンタルのケアの重要性が一層強調されるようになったのです。社員の心の健康を保護するための取り組みは、今や経営課題の一部と言えるでしょう。

 

多様性の尊重

ダイバーシティ&インクルージョンが採用の際の重要なキーワードとなってきました。さまざまな背景を持つ人々がそれぞれの能力を発揮できる環境を整えることが、企業にとっての新たな課題となっています。ウェルビーイングの取り入れは、その一助となることでしょう。

 

ウェルビーイング経営の実践、企業にもたらす3つのメリット

ウェルビーイング経営は、どのような良い影響を企業に与えるのでしょうか。ここで、その主要な3つのメリットを詳しく見てみましょう。

 

01. 人材獲得とその定着の促進

ウェルビーイング経営が推進されることで、より健全な労働環境や人間関係の構築が進行します。これが結果として、社員たちのストレスを軽減させる要因となり、職場離れの削減が期待できるのです。人材の流出を抑制することは、新規採用のための費用削減や企業の専門的ノウハウの保持に繋がるでしょう。さらに、企業が社員の心の満足度を重視する姿勢は、外部にも良いイメージを持ってもらう要因となります。これは、新たな人材の獲得にもポジティブに働くでしょう。

 

02. 高い生産性を実現

ウェルビーイング経営を取り入れることで、社員たちはその働く環境において心地よさを感じるようになります。心と体の両方が安定していれば、その結果として自身の最大の能力を発揮することが可能となるのです。これが、企業全体の生産性の上昇という形で現れます。特に、人手が不足している現状においては、この生産性の向上は非常に価値が高いと言えるでしょう。

 

03. 医療関連コストの節約

ウェルビーイング経営を導入することで、社員の心身の健康が向上します。これが、予期せぬ医療費の発生リスクを低減させる要因ともなるのです。社員が健康であれば、病気や怪我による医療費の発生も少なくなるでしょう。これは、企業としての医療費負担の削減、また社員としての自己負担の軽減という形で具体的な経済的メリットとなります。

 

ウェルビーイング経営を進める際の5つのキー:PERMAモデルの理解

ウェルビーイング経営を考慮する際に、知っておきたいのが「ポジティブ心理学」の概念であるPERMAモデルです。このモデルは、ポジティブ心理学の権威、マーティン・セリグマン博士によって提案されました。

ウェルビーイングの実現を目指す際の5つの基盤として、以下の要素が挙げられます。

 

Positivity(ポジティビティ): ポジティブ感情の促進

この要素は、日常の中で経験するさまざまなポジティブな感情、例えば喜びや愛、楽しみ、感謝などを指します。ポジティブな感情を増やすためには、自分の心に喜びや感謝の瞬間を増やすことが大切です。これには、自分の中で感じる「充実感」や「自由」が深く関わっています。

 

Engagement(エンゲージメント): 没頭の重要性

仕事や趣味に深く没頭し、時間を忘れるほどに集中することは、幸福感や充実感を感じるための鍵となります。この「没頭」は、仕事の効率や生産性の向上にも直結する要素です。

 

Relationships(リレーションシップ): 他者との関係の深化

人は「社会的な生き物」として、他者との関係を築くことで心の安定や喜びを感じるものです。家族、友人、同僚など、良好な関係を築き上げることで、心の豊かさや安定感を得られます。

 

Meaning(ミーニング): 人生の意義を見つける

何のために生きるのか、何のために働くのか?それぞれの人にとっての「意義」を見つけ出すことは、幸福感や充実感を感じるための大きな要素です。特に仕事においては、日常の雑事や問題に疲れ果てることもありますが、長期的な視点での「意義」を持っていると、それを乗り越える力となります。

 

Accomplishment(アコンプリッシュメント): 達成感の大切さ

目標を設定し、その達成を目指す過程は、人が活力を感じる原動力となります。特に仕事においては、目標の達成は自己成長や自信の向上に繋がり、更なるチャレンジへの意欲を湧かせる要因となるでしょう。

 

オフィスにおけるウェルビーイングを進める3つのアプローチ

オフィス内でのウェルビーイングの促進は、社員の健康や生産性、そして幸福感に直結しています。以下、オフィスでのウェルビーイングの実現に向けた、実践的な3つのアプローチをご紹介しましょう。

 

01. 健康と心のサポートを提供

まず、社員が自分の身体や心の状態をきちんと理解し、それを向上させる手助けが必要です。具体的には、定期的な健康診断や接種の促進、そしてそれらの一部費用のサポートを行うことが考えられます。また、フィットネスクラブの利用割引などの福利厚生の提供も、身体の健康をサポートする手段となるでしょう。心のサポートとして、産業医やカウンセラーとのカウンセリングを設けることは、心の不調やストレスを早期に発見し、対処する上で非常に有効です。特にテレワークが主流となる中で、リモートでのカウンセリングが可能な環境の整備も考えるべきだと思われます。

 

02. 労働環境の最適化

社員が心地よく働ける労働環境の整備は、ウェルビーイング実現の鍵となるでしょう。これには、適正な労働時間の確保や、柔軟な勤務体制の導入が含まれます。具体的には、労働時間の適切な管理や、フレックスタイムの採用、短時間勤務の推進などです。さらに、有給休暇の積極的な取得を奨励することで、社員のリフレッシュや心身の回復をサポートすることができます。

 

03. オフィス空間のリニューアル

働く環境そのものも、社員のウェルビーイングに大きく影響します。たとえば、集中したいときに静かに作業ができるスペースや、休憩やカジュアルな会話ができるリラックススペースの確保は、社員の気分転換やストレス軽減に繋がります。さらに、オープンなカフェスペースや共用スペースの設置により、チーム内のコミュニケーションが活発になるとともに、新しいアイディアや意見交換の場としても活用することができるでしょう。

 

まとめ

ウェルビーイングは、言い換えると「心地よい幸福感」です。昨今、このウェルビーイングを追い求め、具体的な手段を取り入れる企業が増えています。その背景には、従業員のロイヤリティ向上、変わりゆく労働価値観への対応、そして何よりも社員の健康を守るという思いがあります。

心地よく、健やかに働ける環境を作り上げ、ウェルビーイングを実感できる職場を目指していきましょう。

 

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