オフィス移転で初期費用削減しつつ、最大効率を引き出す方法
ノウハウ 2024.01.16

せっかく経費の効率化のためにオフィス移転をしても、移転そのものが経営を圧迫してしまっては元も子もありません。ここでは、とりわけコスト削減に焦点を当てたオフィス移転について解説します。

 

オフィス移転のコスト削減で移転を実現する

オフィス移転に関するイニシャルコストにはまず敷金や礼金、仲介手数料などの賃貸借契約に関わるコストが発生します。それに加えて、内装工事や電気工事、また引越し費用などの入居におけるコスト、さらには現オフィスを退去する際に発生する廃棄のための費用や原状回復工事費なども計上しなければなりません。

オフィス移転においても初期費用が膨らんだ結果、移転がスムーズにいかなくなってしまうことは決して珍しいことではないのです。こうしたイニシャルコストを削減するためにはどうすればよいでしょうか。

 

オフィス移転のときにかかる費用

  • 敷金や礼金、仲介手数料などの賃貸借契約に関するコスト
  • 内装工事や電気工事
  • 引越し
  • 旧オフィスの原状回復工事

 

物件に関する支出の面でコスト削減につなげる

まず賃貸借契約については、敷金が6カ月の場合もあれば、12カ月という物件もあります。複数の物件をあたってみて、なるべく敷金や礼金がかからない物件を見つけることが大切です。賃料自体が高額ですので、半年分の差は大きな金額としてのし掛かってくることは間違いありません。

ほかにも、「フリーレント」という制度を利用して賃料を抑える手段もあります。

オフィスを移転する場合、契約期間内で原状回復工事を済ませなければならず、移転日よりも前に新オフィスとの契約を完了し、内装工事や電気などの設備工事も済ませておかなければなりません。こうした場合、オフィス移転をする企業は入居中のオフィスと新オフィスの施工が完了するまでの間、賃料をそれぞれの物件に対して、二重に支払う必要に迫られます。

そんな時に、賃料の負担を削減してくれるのが、文字どおりこの「フリーレント」の制度です。3カ月、6カ月など、その無料期間が決まっており、その間は賃料の支払う必要がありません(※そのための条件はあります。後述の注意点参照)。

たとえば、6カ月前に解約予告をしなければいけないビルに入居している企業が、6カ月のフリーレント期間のある新物件に移転する場合、賃料の重複なく移転に必要な内装工事も完了できるという訳です。

ここまでメリットしかないように感じられる「フリーレント」ですが、注意点もいくつかあります。

1つ目は、フリーレント期間中の支払いが免除されるのはあくまで賃料のみです。契約金や管理費、光熱費などの支払いは必要です。

2つ目は、フリーレントを利用する場合、契約期間内に解約を行う場合は、違約金が発生することです。フリーレント期間が3カ月だった場合は、賃料3カ月分がその違約金になります。

加えて内装工事にかかる費用なども、什器を中古でそろえてみるなど、さまざまな方法で節約ができます。イニシャルコストは場合によっては1,000万円を超えてしまうこともあるだけに、小さなことでも細かくコスト削減していくことが大切です。

ここで述べたようなコスト削減で抑えることができた資金を、後述するような従業員が働きやすい職場環境づくりのための内装費充てることができれば、中長期的な視点でのコスト削減も可能となるでしょう。

 

レイアウト、ゾーニングでコスト削減につなげる

オフィス移転の大きなメリットのひとつに分散した拠点を集約化できるというところがあります。たとえば企業によっては複数のフロアを借り、それぞれのフロアにトイレ給湯室カラーコピー機や自動販売機を配置していることもあるでしょう。

ただ、こうした拠点はワンフロアの1カ所に集約することも可能です。拠点をひとまとめにすることで、ムダなスペースを削減することができればオフィスの設備面、またはスペース面でのコスト削減にもつながります。

オフィス移転はスペースのムダな利用を見直す良い機会なのです。オフィスのスペースは限られていますから有効活用することができればコスト削減にも直結します。また、カラーコピー機や自動販売機は複数台設置することでその分の電気代や維持費もかかります。拠点の集中化はこうした電気代や維持費の削減にもつながるでしょう。

オフィス移転のコスト削減を目指すなら、ぜひオフィスのスペースにも着目してみましょう。

 

中長期的な戦略から最大効率を出し、コストを削減する

移転作業には短く見積もっても半年はかかり、移転を繰り返すことはコストを増大させることにもなりかねません。新オフィスの具合が悪いからといって、すぐにまた移転するというようなことは避けたいところです。だからこそ、オフィス移転は目先の視点だけでなく将来を見越した大局的な視野が大切です。たとえば、賃料の高いオフィスでも更新時にかかる費用などが安ければ入居予定年数によってはコスト削減につながるケースもあるでしょう。

あるいは内装工事にお金をかけることは目先のコストの増加になるので後ろ向きになりがちです。しかし内装工事をおろそかにした結果、すぐに故障や劣化が生じてしまい修理のために余計な費用が発生してしまえば、中長期的に見れば損失を被ることも考えられます。

内装のデザイン、レイアウトは、働く人々の動線やコミュニケーションの取りやすさ、あるいは集中して作業に取り組みやすさなどに配慮した設計にすることで、業務効率を最大化できます。

新オフィスのコンセプト決めからしっかり行い、業種、サービス内容などからゾーニングレイアウトを考え、従業員の要望なども鑑みながら、設計事務所とつくり上げていく必要がありますが、こうした努力が会社にイノベーションを起こし、これから迎えていく厳しい企業競争を勝ち抜いていくための波を起こすきっかけとなるはずです。

特にオフィス移転は大きな出費と労力を強いられる一大事業でもあります。だからこそ目先の利益ばかりを追うのではなく中長期的に見て最大効率が出る選択をするということが肝心です。

 

ランニングコストの削減も必要不可欠

オフィス移転後の話になりますが、賃貸オフィスのランニングコストは会社の経費においてかなりのウエイトを占めるものです。

そもそもオフィスは会社の規模や事業の将来などを見越して柔軟に住み替えを行っていくのが一般的です。ただ、経費削減を目的としたオフィス移転であっても結果的に以前のオフィスよりもランニングコストが上昇してしまうということも珍しくありません。

たとえば、経費削減のために賃料の安いオフィスに移転したとします。しかし移転したことで社員の通勤時間が長くなり社員に支払う交通費が増大してしまえば、かえってオフィスのランニングコストは上昇してしまうことも考えられます。

ランニングコストの削減を見越してオフィス移転を考えるなら、さまざまな事情を総合的に判断して選択する必要があるでしょう。オフィス移転をする際は賃料の安さだけに注意を払うのではなく社員の通勤時間にも配慮やセキュリティなど社内設備の維持費なども計算に入れておく必要があります。

賃料に関しては額面のみの数字に現れない要素が発生することもあります。共有スペースの光熱費や水道代が管理費に含まれていることもあるので賃料に含まれる費用の範囲をしっかり確認しておくことがランニングコストの削減にもつながります。

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