現在、各地で保育園への入園が困難となっています。新たな保育園の開業は、多くの家庭にとって喜ばれることでしょう。これから保育園を運営したいと考えている方向けに、開業に向けた必要な7つのステップについてご紹介します。
保育園を立ち上げる際、特定の資格が求められるわけではありません。実務経験がなくても経営は可能ですが、資格に関する不安を抱く必要はないでしょう。より大切なのは、信頼される人物であることや、保育に対する熱意やビジョンを持っているかということが、親から見て大切とされます。
開業初期にかかる費用は、他の事業と比べても抑えられる部分があり、30人規模の保育園の場合、初期費用は500~700万円程度と見られます。大型の保育園で園庭を持つ場合は、それ以上の投資が必要です。限られた資金での運営を考えながら、質の高いサービスを提供し、多くの家庭に支持される保育園を目指すことが重要です。保育園には認可と非認可の2つの種類があります。
認可保育園は、国の設定した基準をクリアした児童福祉施設として認められています。その基準とは、施設の大きさやスタッフの人数、そして調理設備などの条件が含まれます。認可保育園の特徴は、多くの助成金を受け取れる点です。しかし、国の基準に加えて、各都道府県の詳細な基準も考慮する必要があります。
認可された保育園は、非認可のものよりも、経営が安定しやすいと言われています。
非認可保育園は、国の基準を満たせなかった、または満たしているにも関わらず認可が得られなかった施設を指すものです。家庭的な保育やベビーホテル、託児所などもこのカテゴリーに入ります。認可を受けている非認可保育園も存在しますが、多くは民間により運営されており、そのため保育料がやや高めに設定されていることが一般的です。非認可であっても都道府県への申告は必須で、申告をすることで助成金を受け取ることも考えられます。
保育園の設立時、個人よりも法人として運営することが一般的です。もちろん、自宅で小規模に運営する際は個人としても可能ですが、拡大すると、法人として経営するのが主流となります。その背景には、法人の方が経費の計上範囲が広く、税制上のメリットがあるからです。
法人を設立する場合、その種類には3つの選択肢があります。保育園開業時の主な法人形態を以下に示します。
株式会社はビジネスを目的として設立されるケースが多く、福祉の領域である保育園としては名前選択に迷うかもしれません。しかし、特定のこだわりがなければ、株式会社としての保育園設立も一つの方法です。特に企業向けの保育サービスを提供する場合、株式会社としての運営が適していることもあります。
合同会社もビジネスを目的とした組織形態ですが、株式会社と比べて出資の範囲が制限されます。その利点として、設立コストを低く抑えられる点が挙げられます。株式会社に比べてあまり知名度がないため、利益追求のイメージが弱いので、その点を重視する方には合うかもしれません。
社会福祉法人は公的な援助や補助を受けることが可能な法人形態で、そのため経営が安定しやすい一面があります。ただし、設立や管理に関する規定が厳しく、手続きが複雑となるケースもあります。大きな資産を持つ方や、寄付などを集めて資金調達が可能な方向けの選択と言えるでしょう。
1年の中で保育園の開業に最も良いタイミングが2回存在します。特に、子どもたちが保育園に慣れるための2~3月や、夏休み後の9月に仕事に復帰する主婦たちが子どもを預けたいと考える時期が、開業にとって理想的です。
開業直後がピークを迎える場合、スタッフのトレーニングや運営の流れを整えるのが大変だが、一方で初めから多くの子どもたちが入園するチャンスもあります。
どのようなスタイルでの保育を提供するのか、駅前のような短時間の保育も行うのか、または乳児の保育も含めるのか、これらを事前に検討することが大切です。スタッフの人数や役割もそれに応じて変わるため、事前の計画は必須です。多くの場合、開業の際には融資が必要になるため、事業計画書の作成が求められます。開業する保育園のビジョンや目指す姿を事業計画書に反映させることが大切です。
専門のコンサルタントや会社に依頼すれば、融資が受けやすい事業計画書を策定するサポートが得られます。不安を感じる方は、このような専門家の意見を取り入れることをおすすめします。
保育園を開設する場所選びは、事業成功のための重要なポイントとなります。小さなお子様たちが利用する施設なので、安全な環境を優先したいと考えるのは当然です。また、車での送迎が難しい場所は避けたいと思いますよね。成功のためには、安全を確保しつつ、アクセス面での利便性も保ちたいものです。一時保育なら、駅近が良いでしょう。月極めの場合は、車での送迎が楽な場所が適しています。保育園のスタイルによって適切な立地が異なるので、その点を踏まえて物件選びを行う必要があります。また、良い立地だと家賃が高くなることも予想されますので、そのバランスも考慮することが重要です。
最近の傾向として、不審者から子どもたちを守るために、大通りから少し離れた場所に立地するケースが増えています。このようなポイントも頭に入れておくと良いでしょう。
物件探しの際、一部の不動産業者は保育園経営に適した物件を特集して紹介することもあります。専門的に保育園用の物件を取り扱う不動産業者を選ぶと、理想とする物件が早く見つかるかもしれません。
多くの貴重な子供たちを預ける施設として、安全性は最も重視するべき点です。そう考慮すれば、保護者も安心して子供を預けることができる最良の物件を選ぶことができるはずです。
認可保育園には都道府県ごとの基準が存在するため、それに基づいての手続きが求められます。国が定める基準も存在するので、それに加えて各都道府県や市町村の関連部署で確認することが大切です。具体的な手続きや施設の情報は、全国私立保育園連盟に照会すると、各都道府県に合わせた詳しい情報を入手できます。
認可外保育園であろうと、地方自治体への届出が求められ、年1回の点検が実施されます。児童福祉法により、一時的な施設以外は届け出が必須で、保育園の種類に関わらず提出が求められます。安全性を最前面に考慮し、所定の手続きを遵守し、正しい基準で保育園を開設することは極めて重要です。
多くは公的金融機関からの融資を利用することが考えられます。十分な担保があれば、銀行融資も視野に入れることができますが、多くの方が担保の準備に困難を感じることでしょう。きちんとした事業計画を構築し、不足分を公的金融機関の融資で補完するのが一般的です。認可保育園の場合、国の助成も受けられるため、資金調達には利点があるでしょう。加えて、しっかりとした経営戦略を策定し、運営資金も考慮しておくことが必要です。
物件を確定したら、子供たちと保護者が快適に感じる内装を考えるステージに移行します。
子供の視点や身長に合わせ、最も安全を重視して内装の構想を練ります。見通しの良いレイアウトを作り、保育士が全体を確認しやすい環境を意識することがポイントです。子供たちが安定して歩き出す頃、足元が不安定なので、均一な内装が求められます。動き回る子供の安全性を確保するため、シンプルなデザインが怪我のリスクを低減します。
内装のイメージが固まったら、次は実施段階。複数の内装業者から見積もりを取得することが大切です。こだわりは重要ですが、予算とのバランスを取りながら、工事内容を決定しましょう。
内装を施す段階で、認可保育園が必要とする設備と面積は下記のようになっています。加えて、2km圏内に他の保育所が存在しないことが認可保育園の条件となっています。非認可保育園の場合、設置基準は都道府県により異なるので、関連する自治体に問い合わせる必要があるでしょう。
保育園を立ち上げる際には、当然ながら保育士の採用が必要です。人員の配置基準として、以下の規定が存在します。運営を行う上で、これだけの人数を採用することが最低要件です。
保育士は、保育園運営の要となるため、採用は慎重に行わなければならないのです。資格を有していても、経験不足や能力の不足はトラブルを引き起こす可能性があります。早期に子どもたちの変化を察知したり、子どもたちとの適切なコミュニケーション能力は、保育士にとって必要不可欠な資質です。そのため、採用する際はこれらの資質を重視したいところです。
スタッフ採用の見通しが立った段階で、保育園の宣伝活動を積極的に進めていきましょう。現在、スマホを利用する人が増えているため、ホームページやブログの作成は不可欠です。特に、スマホ対応のウェブサイトやブログは、多くの人にアクセスしてもらうために重要です。保育園の内部や設備、日々の活動、園長の紹介は、ホームページに掲載するべき基本情報です。どのような保育園で、どのような設備があるのかは、保護者が最も関心を持つ部分なので、写真と共に明解な説明を付け加えましょう。
入園にあたっての手続きと必要な費用も、理解しやすいように説明して掲載します。手続きのタイムラインを示し、何をいつ行うべきかを明記しておくと、保護者にとって入園プロセスをイメージしやすくなります。また、日頃の保育園の様子を写真付きで紹介し、保育園の温かい雰囲気を伝えることができれば、さらに魅力的な内容になるでしょう。
保育園の園長として期待される資質はいくつかあり、適任者を見つけることが不可欠です。35歳以上65歳未満で、子どもたちの福祉に対する強い情熱を持ち、施設を適切に管理できる能力が必要です。また、子どもたちの福祉に関する業務で2年以上の経験があり、保育士資格取得後、最低1年以上の実務経験が必須とされています。
多くの場合、認可外の保育園からスタートし、そこでの成功を経て、認可保育園の運営に進むというパターンが一般的です。専門のコンサルティングサービスを利用すれば、認可取得をスムーズに、かつ迅速に進めることが可能です。これらを検討するとき、保育園のサービスの拡大の是非も考慮に入れる必要があります。将来を見据え、優れたリーダーとなるためのトレーニングを受け、ビジネススキルを磨いておくことも重要です。
大切なのは、運転資金の最終確認をおろそかにしないことです。
認可保育園では、助成金を利用できるため、一定の安定した経営が見込めます。しかし、認可外保育園の場合、助成金を受けられないケースが大半です。開業後、安定した運営ができるかどうかを見極め、必要な運転資金を把握しておくことが肝要です。助成金が得られるとしても、開業直後に予想した資金がすぐには入ってこない可能性もあるので注意が必要です。安定運営に至るまでの数か月分の運転資金を準備しておくことが賢明です。
保育園というビジネスは、他の産業とは異なり、月額の保育料が安定しているため、ある程度の安定した経営が可能です。子供の数が減少している現状でも、まだ保育園の需要は拡大しています。開業前に宣伝をしっかりと行い、口コミなどを効果的に利用することで、開業直後から利用者を確保しやすくなります。
保育園の設立は、社会に貢献する意義深い行動です。様々なタイプの保育園が存在しますが、ここで挙げた9つのステップを確実に踏んで、長期にわたる安定した運営を目指すことが大切です。
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