職場雰囲気改善のメリットと効果的な5つのステップ
ノウハウ 2023.10.11

「働き心地の良い職場環境」を追求する際、スタッフ間やオフィスの雰囲気がキーファクターとなるのは明らかです。オープンで、コミュニケーションを円滑に進められる職場の構築は、多くの事業者が直面する問題点の一つです。職場のムードの良し悪しは極めて大切で、ポジティブでない状態をそのままにしておくと、作業の効率が疎かになり、多くの問題が生じる可能性が高まります。「社員たちの顔つきが気になる」「下の立場の者の成果が出ていない」「退社を希望する人が増加している」などの懸念材料がある場合、速やかにアクションを起こすべきです。

ここでは、雰囲気が悪化しやすい職場の傾向や、不良な雰囲気を長期間看過する危険性、そして5つの具体的な改良策を提供します。健全な団体を目指す際の行動指針として、参考にして頂ければと思います。

 

雰囲気が下降しやすい職場の傾向

競争意識が過剰

業績主導の評価を導入している競争が強まる職場では、スタッフ同士が敵対的な態度を取りがちで、協力的な関係が築きにくくなります。適切な競争は、スタッフの意欲を引き出し、全体としての活性化に貢献することも期待できます。しかしながら、強過ぎる競争を推進することにはリスクが伴います。これは、スタッフたちが他者を「協力者」としてではなく、「競合」として見る可能性があるからです。

更に、競争が原因で社内のスタッフが小さなグループに分かれて対立する場面も存在します。例えばM&Aを経て複数の会社が合併した際、既存のスタッフと新入社員が部署ごとや派閥ごとに分かれて対立するケースも想定されます。

ムードが良くないと感じたら、個人やチーム間での競争心が過剰ではないか、見極めることが大切です。

 

コミュニケーションが欠如

スタッフ間でのコミュニケーションが不十分だと、情報の伝達や共有がスムーズに行われず、結果として誤解や間違いが増えるリスクが高まります。加えて、意見やフィードバックのやり取りが少なければ、革新的な提案やアイディアの創出も制限されるかもしれません。

コミュニケーションが取りにくい原因には様々なものが考えられます。多忙な業務環境や席配置の問題、会議室の使い勝手などが、スタッフの対話を妨げる要因となることがあります。スタッフからのフィードバックを取ることで、コミュニケーションの障壁を特定し、それを基に改善策を検討するのは良いアプローチと言えます。

 

部門間のコラボレーションが制約されている

他の部署との接点が少ないと、職場の雰囲気は負の方向に傾きやすいです。独立して動く特定のリーダーやチームが、業務を独占してしまうと、それは組織全体の動きを停滞させ、場合によってはハラスメントの原因となる恐れがあります。さらに、新しい視点やアイディアが取り入れられにくくなります。部門を跨いだコラボレーションが活発になると、組織内の問題点や課題が明確になりやすく、解決への一歩を踏み出しやすくなるでしょう。異なる背景や専門知識を持つスタッフとのディスカッションは、業務の効率化や質の向上につながります。

しかし、異なる部門のスタッフ同士のコミュニケーションは容易ではありません。部門ごとの文化や環境の違い、それぞれの課題や価値観の違いが原因となることが多いです。部門間の共通理解を深めるために、社内ツールやイベントの活用、交流の場の提供など、さまざまな取り組みが考えられます。

 

雰囲気の悪さを放置することのリスク3点

良くない職場の雰囲気をそのまま放置すると、いくつかの潜在的なリスクが考えられます。これらのリスクと対処法について考察してみましょう。

 

01. 離職および休職の可能性

不快な雰囲気や職場の居心地の悪さは、社員が休職したり、退職を考える要因となります。事実、厚生労働省「ー令和2年雇用動向調査結果の要点ー」によれば、人間関係に起因する問題は離職の主要な理由として上位に位置しています。具体的に男性の場合、1位は「定年契約期間の終了」(16.0%)、2位は「給与や収入が不足」(9.4%)、3位は「人間関係のトラブル」(8.8%)とされています。女性に目を向けると、「職場の人間関係に不満」が13.3%で、非常に高い割合を示しており、離職の主要な理由としてトップを占めています。

このように、職場の環境が不快であると、それが社員のストレスとなり、休職や離職の原因となるのです。これは人材の安定性や組織の健全性にとって大きな問題であることが伺えます。

 

02. 効率と生産性の低下

十分なコミュニケーションが取れない職場では、業務の負担が偏る傾向があり、能力がある社員が余計な仕事を持ち込むことが増えます。長時間の労働や疲れからくる心のストレスは、たとえ優秀な社員であっても、作業の効率や生産性に悪影響を及ぼします。もし、不満や批判の声が増えれば、職場の環境は更に悪化する可能性があります。

業務の負荷が極端に増すと、それは身体的・精神的な健康問題を引き起こすリスクが高まります。抑うつのような症状を避けるためにも、過度な業務の負荷に気付いたら、業務の再分配やサポート体制の整備などの改善策を速やかに取ることが必要です。

健全な職場環境を維持することが、企業の発展や成長の鍵であると認識し、適切な対応策を実施することが求められます。

 

03. 事故や問題の高まる危険性

コミュニケーションの欠如がある職場では、問題が発生する可能性が高まります。ヒヤリハットとは、事故になる寸前の出来事を指します。ヒヤリハットが頻発する企業は、監視やサポートの体制に欠けていることがよくあり、いつ何時大きなトラブルが生じても驚かない状態です。特に、所要の業務量に対し適切な人員が配置されていない場合、ヒヤリハットの発生リスクは増します。

問題が多発する企業では、社員間のコミュニケーションが不足している、または共有される情報が少ないといった特徴が見受けられます。情報伝達がスムーズでなく、結果としてトラブルを未然に防ぐ対応が遅れることが考えられます。内部での問題解決は重要ですが、問題が外部に露出すると、企業の信用が失われるリスクが生じます。未来の事故や問題を防ぐため、職場の環境を向上させ、効率的な情報共有の体制を築くことが必要です。

 

5つの手法で考える職場の環境改善

職場の環境を改善するための取り組みは多岐にわたります。以下では、より良い職場環境を実現するための5つの手法をご案内します。

 

01. 業務の最適化と均衡化

仕事が特定の社員やチームに偏っていないかを再評価することが大切です。残業が多いということは、必ずしも「その社員が優秀だから」というわけではありません。業務の進め方に課題がある可能性が考えられます。業務の流れや分担を再考し、効率的な取り組みと均衡の取れた業務配分を目指しましょう。また、職場の環境がコミュニケーションに不足している場合、社員間での情報共有の場を整えることが必要となります。ビジネス用のチャットツールや社内SNSの導入を検討し、日々のコミュニケーションを活性化させる取り組みを進めましょう。

 

02. メンタリングの導入と直接の対話機会

社員の継続勤務率に課題があり、新卒や経験者の退職が増えている場合、メンタリング制度の採用を検討するのが適しています。メンターは「助言者」や「教育者」の役割を持ち、サポートする側をメンター、サポートを受ける側をメンティと称します。現場の実際の指導やOJTとは一線を画し、典型的には他の部署のメンバーがメンターとなり、精神的なサポートやキャリアの形成に助言します。これは、部活やサークルでの先輩後輩のような関係に似ています。メンタリングには様々なメリットがあり、気軽に相談できる場を提供するだけでなく、指導者としての成長や部署間の連携の強化にも寄与します。別の部署からメンターを招くのが難しい場合、1対1の定期的な面談も効果的です。重要なのは、気軽に相談できる場を作ることです。面談は、他の人からの傍聴を避けるための個別の部屋で実施するのが良いでしょう。

 

03. 人事の評価方法の改革

「公正な評価を受けていないことが社員の不満の原因」「業務の偏りが存在する」「競争心が強すぎる職場環境」と感じる場合、人事の評価方法を再検討する価値があります。

例えば、多角的な観点からの評価として、360度評価が挙げられます。この評価方法では、一人の社員を多くの同僚から評価することになるため、部下も上司の行動を評価します。その結果、公平で広範囲な評価が可能となり、単なる成果だけでなく、プロセスや人間関係も評価の対象となります。この方式を採用することで、評価される側もフィードバックを理解しやすくなります。人事の評価方法は多岐にわたるため、自社の状況に適した評価方法を探求しましょう。結果的には、高い評価を受けた社員への適切な給与や昇進の機会を提供することが肝心です。

 

04. 落ち着ける空間の確保

職場環境を和らげるため、心地よい空間の確保を推進することを考えてみましょう。ストレスや不安を感じると、人は他者への気配りが欠けがちになります。リラックスできる場所を作るためのアイディアとして、オフィス内に小さなカフェエリアを作る、植物BGMを取り入れるなどが考えられます。

 

05. 交流を促すオフィスレイアウトの導入

社員間のコミュニケーションを高めるため、オフィスの配置変更は重要な施策の一つとなります。交流が自然に生まれやすい環境をつくることで、コミュニケーションの質も向上します。オフィスをフリーアドレス制にすることも考えられます。この方式では、特定の席に縛られず、出勤ごとに自由に席を選べます。これにより、通常接点のない部署や人との交流が促進されます。加えて、業務の都合やニーズに合わせて席を選べるため、業務の柔軟性や効率性が上がると言われています。多くのテレワークや出張を行う社員にとっても、席を最大限に活用できるのが魅力です。良いコミュニケーションが生まれない環境では、新しいアイディアも育ちにくい。オフィスの配置を見直すことで、人々の動きやコミュニケーションの質にも変化がもたらされることでしょう。

 

成功のための職場雰囲気改善の鍵

職場の環境を向上させる努力は経営者や人事部からの取り組みが欠かせませんが、実際の現場に合わない取り組みをしてしまっては効果が半減します。効果的な改善策を進めるための要点を以下にご紹介します。

 

スタッフのフィードバックを重視する

施策策定の段階で、現場の声や意見を真摯に受け入れることが必要です。経営陣だけの判断で進めると、現場のニーズとはかけ離れた取り組みとなり、結果として効果が出ないことも。突然の変更よりも、「何が問題と感じるか」「どんな改善策が良いと思うか」など、様々な視点からの意見を集めることをおすすめします。意見収集の手法として、直接の面談だけでなく、コンピューターやスマホを使用したアンケート方式が考えられます。特に匿名での回答を求めることで、率直な意見を収集しやすくなります。

 

社内イベントの任意参加を尊重する

社員同士の交流を深めるための社内イベントや交流会の実施は良い取り組みであるものの、その参加を無理やり求めるのは適切ではありません。業務時間内でも、参加や余興などを無理に求めると、それがハラスメントと解釈されるリスクが考えられます。さらに、業務時間内で報酬が支払われる場合は、参加を促すことも検討されるかもしれませんが、業務時間外や休憩中の無報酬の参加を強要する行為は法的な問題を引き起こす可能性があります。

雰囲気の悪化した職場環境は、一時的なイベントだけでは修復は難しいです。実際のところ、業務内容の再評価や、コミュニケーションを高めるためのオフィス配置変更、フリーアドレス方式の採用、評価体系の再検討など、基本的な側面に焦点を当てた対策が求められます。

 

フィードバックと施策の持続が鍵

職場環境の改善策は一度実施しただけで終わりとせず、PDCAサイクルのごとく持続的に取り組むことが求められます。初めての取り組みがすぐに効果を上げるとは限りませんし、一つの方法で全てが改善するわけではありません。更に、いったん好転したと感じても、放置してしまうと状況が再び下降するリスクがあります。定期的な意見収集と、それに基づく施策の再検討・継続が大切です。何よりも、社員の声に耳を傾ける姿勢を持ち続けることが必要です。

 

​​職場環境の改善に関するよくある質問

このセクションでは、特にハラスメントやオフィス配置の変更に関する疑問に答えていきます。改善策を考案する際の参考にどうぞ。

 

Q.ハラスメントを予防するための具体的な策は?

2020年6月1日から大手企業、2022年4月1日から中小企業において、パワハラ対策の策定が法律により義務付けられています。具体的にパワハラとされる行動には以下のような例が考えられます。

  • 罵声や身体的な暴力
  • 繰り返しの反省文要求
  • 机を足で蹴る行動
  • 能力に即した業務を与えない
  • 部下への上司からの嫌がらせ 等

ハラスメントへの企業の考えやアプローチは明確に示すべきです。そして、その方針を社員全員に伝え、理解してもらうことが、職場環境をより良くする方法として効果的です。さらに、パワハラ被害を受けた社員が声を上げやすいよう、相談窓口の設置は必須となっています。これを怠り、問題が起こった場合、企業が賠償責任を問われるリスクも存在します。適切な対策を施すことで、ハラスメントのリスクを低減させることができます。

 

Q.良い雰囲気を生むオフィスのインテリアや配置はどのように選ぶべきか?

オフィスのデザインや配置の専門家に助言を求めるのは良い選択です。オフィスの内装や配置は、企業の特定の課題に応じてカスタマイズすることが要求されます。成功例を参照するのも役立ちますが、それが自社にピッタリとは限りません。

 

まとめ

優れた社員でも、プレッシャーが多い環境ではフルパワーで働くのは難しいです。効果的に彼らの能力を最大限に引き出すには、快適な職場の環境整備が不可欠です。職場の環境を良くする方法としては、効率的な仕事の進め方、タスクの分散、メンター制度の実施、人事評価の再考、そしてオフィスのレイアウトやデザインの変更などが考えられます。もしオフィスの配置を見直しを検討しているなら、専門の業者に相談するのも一つの選択肢です。

現代では、テレワークの導入や働き方の革新など、社員の求める条件や企業への期待が進化しています。実際の声を重視しながら、従業員の満足度を高める取り組みを進めましょう。社員が「この企業での仕事が充実している」と感じれば、心の中での余裕が生まれ、人との交流にも前向きになるでしょう。良い職場の雰囲気は、社員同士のコミュニケーションを刺激し、新しいアイディアや提案が増える可能性もあります。

まずは、職場の雰囲気や環境の調査からスタートしてみませんか。

 

 

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