店舗の完全個室ガイド|半個室との違いやメリットを解説
ノウハウ 2023.10.24

この記事では、「店舗内の完全個室とは何か?」という疑問にお答えし、半個室との違い、完全個室の利点、デザイン、そして施工事例についてもご紹介いたします。店舗の開業、移転、リニューアルなどを検討中の方々に、ぜひご覧ください。

 

完全個室とは?

店舗内の完全個室は、まずどのような部屋なのかを考えましょう。店舗における完全個室の条件や半個室との違い、完全個室を求める需要がある業種や業態についてご紹介します。理想的な店舗をデザインするために、完全個室の基本情報を把握しておきましょう。

 

完全個室の条件

店舗内の完全個室に求められる条件の一つは、部屋が扉や造作壁、施工型パーテーションなどでしっかりと仕切られていることです。店舗内の完全個室は、室外からの視線、騒音、悪臭などを軽減できるため、プライバシーの確保やプライベート感を演出するのに適しています。

 

半個室との違い

店舗内の完全個室と半個室の違いは、視認性、防音性、通気性などにあります。完全個室は壁や扉、施工型パーテーションでしっかりと仕切られているため、半個室と比べて室外からの視線、騒音、悪臭などを効果的に軽減できます。そのため、プライバシーの保護やプライベート感の演出が得意です。

一方、半個室は壁や建具で完全に仕切られていない個人用スペースです。カーテンやすだれなどで簡易的に仕切られているため、完全個室に比べて視認性、遮音性、通気性が劣ります。ただし、半個室は導入コストが比較的低く、仕切りを柔軟に活用できるメリットがあります。

 

完全個室が必要とされる業種・業態

完全個室が必要とされる業種や業態では、顧客のプライバシーや健康・安全への配慮が重要です。以下のような業種や業態の店舗には、完全個室が要求されるでしょう。

 

飲食業のレストランや居酒屋

食事を楽しむ際に、顧客同士が落ち着いて食事を楽しめる完全個室が求められます。特別な日のディナーやビジネスミーティングなどで利用されることが一般的です。

 

サービス業のサロンやジム

エステやフィットネス施設などで、顧客が施術やトレーニングを受ける際にプライバシーを守るために完全個室が利用されます。騒音や他の顧客の視線を気にせず、リラックスした雰囲気でサービスを受けることができます。

 

小売業

一部の小売業では、商品の選択・試着などを完全個室で行えるようにし、顧客に快適な買い物環境を提供します。プライバシーを重視する消費者にアピールします。

 

医療・介護業のクリニックや老人ホーム

医療機関や介護施設では、感染症対策や患者のプライバシー保護のために診察室や治療室、検査室などに完全個室が不可欠です。特にコロナ禍においては、感染拡大を防ぐための重要な要素となっています。たとえば、エステサロンの施術室を完全個室にすることで、施術を受ける顧客のプライバシーを確保できます。騒音や他の顧客の視線を気にせず、リラックスしながら施術を受けることが可能です。また、クリニックにおいては、顧客同士の不要な接触を避けるために、完全個室が必要です。特にコロナ禍においては、感染症対策として診察室や治療室、検査室などに完全個室が要求されます。

 

完全個室のメリットとデメリット

店舗における完全個室の基本情報を把握したら、メリットとデメリットを確認しましょう。これにより、完全個室のメリットを活かしながら、デメリットに対処し、集客と売上を伸ばす戦略を立てることができます。

 

完全個室のメリット

1. プライベート空間を提供できる

店舗内の完全個室の主要なメリットは、プライベートな空間を提供できることです。例えば、飲食店がテーブル席やカウンター席だけでなく完全個室を設けると、家族のイベントや商談などに適した場所を提供できます。同様に、ネットカフェやサウナに完全個室を配置することで、個人利用のニーズに対応できます。一つは大きなグループ向けで、もう一つは個人向けの完全個室が需要があります。

 

2. 個室ごとに雰囲気を変えられる

完全個室のもう一つのメリットは、各個室ごとに異なる雰囲気を演出できることです。異なる雰囲気の完全個室を提供することで、子供から大人までさまざまな顧客を魅了できる店舗運営が可能です。内装の素材、配色、照明などを個室ごとにカスタマイズすることで、シンプル、和モダン、レトロなどの異なるテイストを表現できます。店舗内装デザインのテイスト事例を含む次の記事もぜひご覧ください。

 

3. 幅広いシーンに対応できる

店舗に完全個室を設けることで、幅広いシーンに対応できるメリットもあります。飲食店が例として挙げられ、完全個室を提供することで、家族の食事から友人との女子会、取引先との商談、接待など多くのシーンに利用してもらえます。その結果、集客数が増加します。したがって、個室のデザインに加え、異なるサイズの個室を提供することで、幅広いシーンに対応できます。店舗の商品やサービスに合わせて、グループ向けだけでなく、1人で利用できる小さな個室も提供することが重要です。

 

完全個室のデメリット

1. 内装工事費がかかる

一方、店舗における完全個室のデメリットとして、内装工事費が発生する点が挙げられます。カーテンや簡易なパーテーションで仕切られる半個室とは異なり、完全個室には壁や扉などの内装工事が必要です。

 

2. 接客コストがかかる

接客コストが発生する点も、店舗における完全個室のデメリットです。完全に仕切られた個室では、従業員が扉を開けて接客する必要があります。このような接客に時間がかかると、回転率の低下や人件費の増加を招く可能性があります。

完全個室に関する接客の課題に対処するために、接客マニュアルの作成や従業員の協力強化が必要です。さらに、売上や回転率の目標に基づいて、店内のテーブル席、カウンター席、個室の比率を検討することが大切です。

 

店舗に完全個室をデザイン・工事する際のポイント

店舗における完全個室のメリットとデメリットを考慮した上で、デザインと工事のポイントを確認しましょう。内装工事費、空調・換気、法令遵守、圧迫感と高級感、パーテーションについて、以下の点に注目しましょう。

 

1. 内装工事費を把握する

店舗に完全個室をデザイン・工事する際のポイントとして、まず内装工事費を把握することが重要です。店舗内装工事費用は、通常、スケルトン物件で坪単価30万円から50万円程度、居抜き物件では坪単価15万円から30万円程度がかかります。ただし、物件の立地や規模、店舗の業種や業態、内訳(天井、壁、床、設備など)によって内装工事費は変動します。

 

2. 空調や換気の効率を高める

次に、店舗に完全個室をデザイン・工事する際のポイントとして、空調や換気の効率向上が挙げられます。完全個室は温度を一定に保ちやすい特性がありますが、一方で半個室に比べて空気や臭いがこもりやすい傾向があります。顧客の健康と安全を考慮して、適切な空調と換気の設備をデザインしましょう。店舗に施工される空調設備には、天井埋め込みカセット型、ダクト型、露出型などがあります。また、換気設備には、標準型、パイプ型、天井埋め込み型、レンジフード型などの種類があります。

 

3. 法令を遵守する

さらに、店舗に完全個室をデザイン・工事する際のポイントとして、法令遵守が重要です。たとえば、バーや喫茶店が外から見えづらい5㎡以下の区画席を設ける場合、風俗営業(3号営業)に該当し、区画席飲食店の営業許可が必要です。また、ネットカフェや居酒屋が深夜に個室を提供する際には、9.5㎡以上の個室を設ける必要があります。

 

4. 圧迫感を軽減する

店舗に完全個室をデザイン・工事する際のポイントとして、圧迫感の軽減が挙げられます。たとえ店舗内の個室が広くない場合でも、天井から吊るされた照明(ペンダントライトなど)は天井を低く感じさせてしまうことがあります。個室の壁に白色やストライプ柄を取り入れ、配色を明るくして、下から上へ明るさが増すように調整すると、開放感を演出できます。背の低いテーブルや椅子を配置することで、狭い個室でも圧迫感を軽減できます。天井の形状によっても、圧迫感と開放感を調整できるでしょう。

これらのポイントを押さえて、店舗内の完全個室のデザインと工事を計画しましょう。完全個室は顧客に快適なプライベート空間を提供でき、ビジネスにおいて競争力を高める要素となります。

 

5. 高級感とおしゃれさを演出する

さらに、店舗に完全個室を導入する際の重要なポイントは、高級感とおしゃれさを演出することです。ホテルの客室やレストランの個室などでは、間接照明が非常に効果的です。光を直接当てる照明とは異なり、柔らかな雰囲気を醸し出すことができます。また、個室の壁材や床材には、深みのある無垢材や大理石などを使用することで、高級感とおしゃれさを引き立てることができます。ただし、店舗の業種や業態を考慮し、顧客の安全と健康に気を配るために内装材を選定してください。店舗に適した床材の選択と費用についての詳細は、次の記事も併せてご覧いただけます。

 

6. 可動式パーテーションの活用

店舗に完全個室を導入する際に、可動式パーテーションを活用することも重要です。可動式パーテーションを使用することで、部屋を柔軟に分割でき、多様なシーンに対応できます。また、カーテンや簡易なパーテーションとは異なり、防音性やプライバシーを高めることが可能です。

 

まとめ

この記事では、飲食店における個室の導入に関するメリットとデメリットを詳しく解説してきました。個室はお客様に快適な空間を提供するための理想的な選択肢ですが、その導入には検討すべきポイントが存在します。上記の情報を参考にし、個室の導入によって集客や売上向上を目指しましょう。

 

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