花屋開業ガイド|必要費用、資格、許可の全手順!
ノウハウ 2023.10.20

「花屋を立ち上げる際に必要な手続は何か」「開業の準備をどの序列で進めるべきか」に頭を悩ませていませんか?花屋を開始するには、アイデアの策定から資金の手当て、供給源の保証に至るまで、多岐にわたる準備をしなければなりません。

今回の記事では、花屋開設の手順を詳述します。経営の長所・短所や、起業に際して必要とされる予算・技能・許諾に関しても触れているので、花屋のオーナーや起業を担当する方は、是非とも目を通してください。

 

花屋開業の基本

花屋の開業準備を進めるにあたり、経営の根幹を把握することが肝心です。花屋には多くの営業スタイルがあり、個人向けの花束やフラワーアレンジメントの販売だけでなく、法人契約を結び、安定した収益を確保する道も開かれています。

 

花屋が展開する商品とサービス

花屋が展開する商品とサービスには、花束やフラワーアレンジメントの提供、種苗や鉢植えの販売、観葉植物のレンタル、生花を使ったイベントのコーディネート、またアレンジメントの教室開催といった幅広いラインナップがあります。販売から教室の運営に至るまでを手掛ける店舗もあれば、一部分のサービスのみを行う店舗も存在します。全ての店舗に共通する基本タスクは、市場での花の仕入れとその保存、そして販売です。

通常、生花の価格設定は仕入れ価格の2倍近くの値付けがされ、単純計算しても利益率は50%と高めです。ただし、仕入れた全商品を販売完了できるわけではなく、品質低下による廃棄が必要なケースも出てきます。廃棄リスクを考慮するための高い利益率になります。生花を扱う専門店では、仕入れた商品の30~40%が廃棄されても黒字になるよう価格が設計されているのです。

 

花屋経営のメリットとデメリット

花屋経営のメリット

花屋を開業することは比較的容易で、戦略に応じて高い収益を上げることが可能です。これは、特定の資格が不要で、販売方法に固定ルールがないため、創造的なアイディアでの事業展開が可能だからです。たとえば、実店舗を持たずにオンラインショップのみでの運営も選択できます。オンラインショップなら、家賃や光熱費を節約し、コストを削減できるというメリットがあります。また、注文を受けてから商品を調達するため、花を廃棄するリスクが軽減されます。さらに、葬儀場や寺院、結婚式場といった施設と提携し、定期的に冠婚葬祭のフラワーアレンジメントの注文を受けることで、月収を100万円を超えることも不可能ではありません。価格を抑えた花を大量に仕入れ、「花=特別な日」のステレオタイプをなくすことで、通常花を買わない層からの収益増加も期待できます。

他のビジネスと比較して、経営者のビジョンを事業運営に取り入れやすいのも大きなメリットです。仕入れる植物の種類やディスプレイのスタイリングに創造性を発揮しながら、独自の花屋にすることが可能です。アレンジのスタイルには経営者の個性が反映され、能力やセンスを最大限に活かして事業を展開したい人には、「やりがいが感じられる職業」と言えるでしょう。

 

花屋経営のデメリットと対策法

花屋の収益は、廃棄ロスの量に大きく左右されます。他の業種と比べて、季節による売り上げの変動が大きいため、廃棄ロスの増加は利益率を悪化させる可能性があります。生花は鮮度が極めて重要で、仕入れた花が数日以内に販売できない場合、廃棄せざるを得ないことがあります。したがって、花屋の経営において、効果的な仕入れが鍵となります。以下で詳しく説明します。

 

仕入れは季節に応じた適切な量と種類を把握する

花屋が季節に応じて適切な量と種類を仕入れることは、廃棄ロスを最小限に抑えつつ売上を増やす要因です。花屋の商品需要は「母の日」「お彼岸」「ひな祭り」「入学式」「卒業式」「ホワイトデー」などの季節イベントによって大きく変動し、それぞれのイベントに合致した花の需要が存在します。生花は時期を逃すと鮮度を保てず、売れ残った場合は廃棄せざるを得ません。また、気象条件にも影響を受けるため、適切な数量と種類の仕入れが必要です。需要の把握と廃棄ロスの最小化には、花の種類や管理方法に関する知識と経験が必要です。これらの要点を理解して、効果的な仕入れを行いましょう。

 

お店や施設との契約で売上安定をはかる

花屋がお店や施設との契約を結ぶことは、売上を安定させる手段の一つです。季節に左右されず、一度の取引で高額な売上を得る機会が増えるからです。特に、結婚式場や葬儀場など冠婚葬祭に関わる施設との契約は、通年で一定の需要があるため、安定した売上につながる傾向があります。

新規の花屋が売上を伸ばしたい場合、地元の施設に営業をかける方法があります。ただし、定期的な花の需要がある施設は特定の花屋と取引関係にあることが多いため、競合店との差別化と持続的な営業が必要です。新規施設にアプローチすると、契約の可能性が高まります。その他にも、花屋探しのマッチングサイトへの登録や花屋のネットワークに参加する方法も存在します。売上を安定させたり増加させるには、店舗での販売だけでなく、多くの方法がありますので、柔軟にアプローチしてみましょう。

 

花屋の経営に役立つスキルと資格

花屋を開業する際、特別な資格や許認可は不要です。飲食店を運営する場合、保健所に営業許可を取得する必要がありますが、花屋にはそのような要件はありません。

ただし、個人事業主として花屋を経営する場合、所轄の税務署に開業届を提出する必要があります。開業届の書式は国税庁の公式ウェブサイトから入手できますので、それをご利用ください。また、もし所得税の青色申告を希望する場合、青色申告承認申請書を提出する必要があります。青色申告を採用することで、最高で65万円の特別控除を受けることができます。このため、開業届けと同時に所得税の青色申告承認申請書も提出することをお勧めします。

競争の激しい花屋業界で、顧客から信頼を得るためには、プロフェッショナリズムと幅広いスキルが必要です。以下で、あると役立つスキルと資格について説明します。

 

フラワーアレンジメント

フラワーアレンジの分野では、「NFDフラワーデザイナー」や「フラワー装飾技能士」などの資格が存在します。「NFDフラワーデザイナー」資格は、日本フラワーデザイナー協会が認定する資格で、公認スクールでの学習と試験の合格が必要です。1級から3級があり、試験のスケジュールは地域によって異なるため、事前の確認が肝心です。

花を美しく配置し、調和の取れたアレンジメントを作成する技術です。花の形、サイズ、色、質感などを考慮して、花束や装飾をデザインします。花の選定や配置にセンスと創造力が求められます。また、花を切る、整える、束ねるなどの基本的なテクニックをマスターする必要があります。異なる花材を組み合わせて美しいアレンジメントを作成できるスキルが求められます。さらに、フラワーアレンジメントは季節やイベントに合わせて変化することがあります。特定の季節やテーマに合わせたアレンジメントを提供できると、顧客に好評です。

 

色彩知識

「色彩検定」は、色彩検定協会が行う、文部科学省後援の資格試験です。1級から3級の等級があり、特にユニバーサルデザインをテーマにしたUC級も設けられています。受験資格の制限はなく、自由にレベルを選んで受験できます。

花の色彩を理解し、異なる色を組み合わせるスキルは重要です。色彩心理を考慮して、花束やアレンジメントの色合わせを行うことが顧客に訴求力のある花を提供するために役立ちます。日本には四季があります。季節によって人々の好みが変わります。例えば、春には明るく華やかな色が人気で、秋には温かみのある色が求められます。季節に合わせた花の色選びを知識として持つことが大切です。対照的な色や調和の取れた色の組み合わせによって、花の美しさが引き立ちます。色相環や色のトーンについての基本的な知識を持つことが役立ちます。

 

顧客対応・営業スキル

「リテールマーケティング検定」は、かつて「販売士」として知られ、流通・小売業のプロフェッショナルに特化した資格です。商品の効果的な仕入れや販売、物流管理の手法についての深い理解が求められます。資格は3級から1級が設定されており、5年毎の資格更新が必須となっています。

顧客と円滑にコミュニケーションをとるためには、優れたコミュニケーションスキルが必要です。聞く力、話す力、お客様の質問に適切に答える能力が含まれます。お客様に親しみやすく、信頼感を与えられるようになることが大切です。また、花が不良品であったり、配達に問題が生じた場合、迅速かつ満足のいく対応を提供することも重要です。お客様が特別な瞬間に花を贈る理由や感情に寄り添い、適切な提案やアドバイスを提供しましょう。

さらに、効果的なマーケティング戦略を立て、競合他社から差別化できる方法を見つけることが求められます。ターゲット市場を正確に特定し、季節やイベントに合わせた販売促進活動を計画しましょう。オンライン広告、SNSマーケティング、チラシ、ポスターなど、効果的な広告キャンペーンを設計できるスキルが必要です。顧客がお店を見つけやすいような広告を展開しましょう。花屋業界では季節やイベントに関連した販売機会が多いため、それらを活用するスキルが必要です。例えば、バレンタインデー、クリスマス、母の日などに特別なアレンジメントやプロモーションを用意しましょう。

 

花卉学・植物学知識

花や植物に関する基本的な知識は、花材の選定やお手入れに役立ちます。花や植物の特性や育成方法をしっかり理解しましょう。

 

スムーズな花屋開業までのステップ

花屋を開業するまでのステップを説明します。

 

STEP01. 仕入先を検討する

花屋経営を開始する前に、花卉や植物の仕入先を検討します。これはビジネスの基盤であり、品質や価格が重要です。卸売業者、生産者、オークション市場などから仕入れる方法を検討し、信頼性とコスト効率を評価します。

 

STEP02. 店舗物件を探す

開業する場所を選びます。都市部や繁華街が一般的ですが、地域の競争状況、顧客層、賃料などを考慮して場所を選びます。物件探しには時間がかかることがあるので、余裕を持った計画が必要です。

 

STEP03. 内外装工事をする

店舗物件を確保したら、内外装工事を行います。フロアプラン、ショーウィンドウ、カウンターなどのデザインを検討し、設備を整えます。内装の魅力的なデザインと快適な空間は、顧客を引き寄せるのに役立ちます。

 

STEP04. 什器や備品を購入する

花屋の店舗運営に必要な備品や什器を購入します。これにはディスプレイラック、カウンター、レジスター、切花用の冷蔵庫などが含まれます。適切な什器と備品を備え、効率的な運営をサポートしましょう。

 

STEP05. 店舗オープン

すべての準備が整ったら、店舗をオープンします。広告宣伝活動を開始し、地域の顧客に知らせます。また、オープン時に品揃えやディスプレイに気を配り、魅力的なショッピング体験を提供します。

このプロセスは、花屋の開業をスムーズに進めるための基本的なステップです。準備が整ったら、お店をオープンし、品質の高い花やプロのアドバイスを提供して、お客様に喜ばれる花屋を運営しましょう。

 

花の仕入れルート

花屋を開業する際、花の調達先を選ぶことが重要です。調達方法は売上や利益に直結し、ビジネスの成功に影響を与えます。主な仕入れルートは、以下の3つになります。

  1. 仲卸業者
  2. 市場
  3. 生産者

花き市場内には仲卸業者が存在し、彼らは卸売業者から仕入れた花を小分けにし、各花屋に供給しています。花き市場は切花や鉢花などの観賞用植物を取り扱う市場であり、多品種を少量仕入れる際に仲卸業者の利用が適しています。

市場から直接花を調達する場合、仲卸業者を介さないためコストを削減できる傾向があります。ただし、市場でのせり(オークション)に参加するには、買出し権などの条件を満たす必要がある場合があり、新規開業時に市場からの調達が難しいこともあります。市場調達を検討する場合、開業直後でも利用可能かどうかを地元の市場に問い合わせることがおすすめです。

 

花屋の開業資金

一般的に、花屋の開業資金は約400~800万円です。開業してもすぐに経営が軌道に乗るとは限りません。安定した経営をするために運転資金は最低でも3ヶ月分以上は用意しておくと安心でしょう。

おおよその金額の内訳は、以下のとおりです。

  • 物件取得費用:家賃3〜6ヶ月分
  • 内外装工事費用:100〜300万円
  • 什器・備品費用:10万円〜100万円
  • 車両購入費用:50万円〜150万円
  • 広告宣伝費:5万円〜30万円

生花は温度管理が重要です。「電気」「水道」「空調」は優先して取り組みたい内装です。内装工事費を抑えたい場合は、居抜き物件を検討してみることをおすすめします。居抜き物件とは、一般的には、床・天井・壁・厨房・お手洗など、店舗内の主要設備が残っている状態の物件のことです。

 

開業のための資金調達方法

花屋を開業するには、資金調達が不可欠です。以下で、資金調達方法を紹介します。

 

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、開業時に最優先で検討すべき金融機関です。この金融機関は国が100%出資しており、個人事業主や中小企業を積極的に支援しています。日本政策金融公庫の融資には、低金利の特長があり、無担保・無保証での融資も実現できる利点があります。特に、経営実績がない創業時にも、日本政策金融公庫の「創業融資」制度が利用できます。ただし、この制度を利用するには、自己資金比率や面談の内容が重要視されます。審査に合格するためには、緻密な事業計画書の作成や面談に向けた準備が必要です。

 

補助金・助成金

国や地方自治体が提供している補助金や助成金を活用することも一つの方法です。これらの支援は融資とは異なり、返済の必要がないという大きなメリットがあります。地域によって提供されている補助金や助成金の種類はさまざまです。公募期間が設定されていることが一般的であるため、定期的に情報をチェックし、ご利用いただける補助金や助成金があるかどうかを確認してみることをお勧めします。

 

制度融資

制度融資は、地方自治体、民間金融機関、信用保証協会が協力して提供している融資プログラムです。この支援は、中小企業や小規模事業者の資金調達をサポートすることを目的としており、低金利で長期間の借入が可能です。開業を検討中の方や資金を効率的に調達したい方にとって、検討すべき選択肢と言えます。ただし、制度融資は金融機関だけでなく、地方自治体や信用保証協会も関与する複雑なプロセスを含みます。そのため、手続きには時間と労力がかかることがあります。制度融資を考えている場合は、開業スケジュールと照らし合わせ、資金調達のタイミングが計画通りに進むかどうかを確認しておくことが重要です。

 

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、近年注目を浴びている資金調達手法です。インターネット上で事業内容をプレゼンテーションし、資金提供を希望する支援者から資金を募ることができます。最大のメリットは、金融機関の審査に通らなくても資金調達できることです。さらに、インターネットを通じてプロジェクトを宣伝できるため、宣伝費用を抑えることも可能です。ただし、支援者の協力を得られない場合、目標の資金調達が難しい場合があるため、注意が必要です。

 

フランチャイズ

新しいビジネスを開業する際に成功した既存の事業モデルやブランドを採用する方法の一つです。時間がかかるブランディングを省略できることで、競合他社に対抗しやすく、信頼性を高める助けとなります。一方で、フランチャイズには加盟料やロイヤリティ料などの追加コストが発生する可能性がある点に留意する必要があります。また、フランチャイズ提供元の規則や制約に従う必要があることも考慮すべきです。加盟を検討する際には、フランチャイズ契約をよく理解し、提供元との関係を明確にすることが重要です。

花屋を開業する前に、事業計画をしっかりと立て、必要な資金を見積もりましょう。そして、最適な資金調達方法を選び、資金を効果的に管理することが成功の鍵です。

 

まとめ

花屋を成功させるためには、経営の基本スキルや花の知識に加え、お客様との良好なコミュニケーション能力やマーケティング戦略の構築も欠かせません。季節やイベントに合わせた商品ラインナップや、魅力的な店内デザインも顧客獲得に寄与します。

次のステップとして、効果的な広告宣伝活動、オンラインプレゼンスの確立、そして競合他社との差別化戦略を検討しましょう。これらの要素を組み合わせ、独自のブランドを築き上げることが花屋ビジネスの成功のカギです。

 

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