厨房機器の選び方完全ガイド:種類と減価償却、耐用年数の最適管理
ノウハウ 2023.10.19

厨房設備の取り揃え方には、必要な機器の数やコスト削減のアイデアなど、便利なポイントが多くあります。今回の記事では、厨房機器の基本について解説します。ぜひ、厨房機器選びの参考にしていただきたいです。

 

厨房機器とは?

厨房機器とは、その名の通り厨房で使用される機器のことを指します。具体的な厨房は、レストラン、カフェ、スーパーマーケット、テイクアウト店、弁当屋、精肉店、ホテル、病院、工場など、食品調理や加工の施設全般を含みます。厨房機器は飲食店だけでなく、食品提供施設や食品製造工場でも広く活用されています。さらに、移動販売のキッチンカーなどでも、必要に応じて厨房機器を備えることがあります。

 

代表的な厨房機器の種類

厨房機器について、具体的に代表的なものをいくつか紹介します。

 

調理用冷蔵庫(Commercial Refrigerator)

調理用冷蔵庫は食材や調理済みの料理を新鮮な状態で保管するために使用されます。庫内の温度と湿度を制御し、食材の品質を保ちます。これにより、飲食店や料理施設は食材のロット管理を容易に行い、食材の無駄を減少させ、食品の鮮度を維持します。また、調理用冷蔵庫は食材の安全性を確保し、食中毒や食品の腐敗を防ぐ役割を果たし、お客様に安心で美味しい料理を提供するのに欠かせない装置です。

 

フライヤー(Deep Fryer)

フライヤーは食材を揚げるための装置で、揚げ物料理を作る際に重要です。揚げたてのサクサクした食材を提供できます。また、温度設定が楽で、異なる種類の食材を調理する際にも適しています。そのため、揚げ物メニューの多様化や料理のオーダーに応じた迅速な調理が可能となり、飲食店の運営効率を向上させます。揚げ物料理は多くのお客様に愛されており、フライヤーはそのニーズに応えるための不可欠な厨房機器です。

 

コンベクションオーブン(Convection Oven)

コンベクションオーブンは空気を循環させることで食材を均等に加熱し、焼き上げるのに適したオーブンです。パンや焼き菓子、肉料理、野菜などの調理に広く使用されます。さらに、調理時間を短縮し、食材の外側はサクサク、内側はしっとりとした仕上がりを実珸。そのため、飲食店やパン屋などの食品業界で幅広い料理の調理に活用され、高品質な料理の提供に貢献します。

 

シンク(Sink)

シンクは厨房や調理環境で欠かせない設備で、食器、調理器具、食材の洗浄に使用されます。業務用のシンクには、通常、1槽、2槽、3槽といった槽数で分類されます。しかし、中には浅めの前縁を持つ横長の舟形シンクも存在し、これは特に魚介類の調理に非常に便利です。なぜなら、魚介類を調理する際には大きな作業スペースが必要で、その点で舟形シンクは非常に効果的です。また、食材の洗浄と調理器具の洗浄にも使用されるため、食品の安全性と品質を保つ上で重要です。また、手洗いのためにも利用され、衛生的な調理環境を維持します。シンクは飲食店や食品加工施設で広く使用され、食品調理プロセスにおいて不可欠な役割を果たします。

 

調理台・作業台(Preparation Table / Work Table)

調理台または作業台は、食材の調理や調理器具の準備を行うための作業スペースです。これらの台は通常、食材を切ったり、調理したりする際に使用され、料理の準備段階において不可欠な役割を果たします。調理台や作業台は頑丈で清潔な作業スペースを提供し、食材の加工や調理を効率的に行えるよう設計されています。飲食店、レストラン、パン屋、食品工場など、調理環境において作業の中心となる存在です。

 

ガステーブル・ガスレンジ (Gas Stove / Gas Range)

ガステーブルまたはガスレンジは、飲食店や調理施設で広く使用される調理用具です。これらの調理器具はガスを燃料として使用し、調理用のバーナーやオーブンを備えています。ガステーブルは多くの調理作業に適しており、鍋、フライパン、鉄板などを使用して調理できます。一方、ガスレンジにはオーブンが組み込まれており、パンや焼き菓子、ロースト料理を調理するのに適しています。ガステーブルやガスレンジは効率的な調理をサポートし、多彩なメニューの提供が可能になります。

 

食器棚 (Cabinet)

食器棚は飲食店やキッチンで食器、調理器具、食材などを保管するための収納スペースです。多種多様なサイズとデザインがあり、キッチンのスペースに合わせて選ぶことができます。食器棚の収納ユニットは調理環境を整理し、必要なアイテムを手の届く場所に保管します。

 

製氷機 (Ice Maker)

製氷機は飲食店やバーで氷を製造するための装置です。氷は冷たい飲み物を提供するために不可欠であり、製氷機は大量の氷を効率的に製造できるよう設計されています。異なるサイズや形状の氷を製造できるタイプのものもあり、さまざまな飲み物に適した氷を提供します。製氷機があれば氷の在庫が確保されるので、お客様に常に冷たいお飲み物を提供できたり、調理で必要な時にすぐに使用できます。

 

厨房機器の減価償却とは?

厨房機器は飲食店や調理施設における重要な資産の一部です。これらの機器は時間とともに価値が減少するため、その価値の減少を会計上で考慮する必要があります。このプロセスは「減価償却」として知られており、厨房機器の耐用年数と使用方法に基づいて行われます。

減価償却は、厨房機器の購入価格を資産帳簿に記録し、その価値を長期間にわたって均等に分割して償却する方法です。通常、厨房機器は数年から数十年にわたる耐用年数を持ち、その期間内で均等に償却されます。このプロセスにより、毎年の収益計算において、減価償却費用が考慮され、事業の収益と費用を適切に評価できます。

減価償却は厨房機器の価値を正確に反映し、事業における資産の評価と経営の計画に役立ちます。また、税務上でも減価償却費用は経費として控除され、課税所得を削減するのに寄与します。したがって、厨房機器の適切な減価償却は、効率的な資産管理と経済的な運営に不可欠です。

会計上では、形があるものは有形固定資産、形のないものは無形固定資産として扱われます。例えば、有形固定資産には飲食店で使用される厨房機器、家具および備品、食器、内装、エアコン、POSレジなどが該当し、無形固定資産には店舗のブランド資産(店名、ロゴなど)、特定の料理やメニューアイテム、レシピ、顧客リストなどが挙げられます。

 

減価償却対象資産とその耐用年数

以下は飲食店における有形固定資産および無形固定資産の一般的な減価償却対象資産とその耐用年数の一例です。

 

有形固定資産

  • 建物: 20年以上
  • 車両: 3〜5年
  • 調理器具および厨房機器: 3〜10年
  • 家具および備品: 5〜10年
  • コンピューターおよびソフトウェア: 3〜5年

 

無形固定資産

  • 商標・ブランド価値: 10年以上
  • 特許権: 20年以上
  • 著作権: 3〜20年
  • 顧客リスト: 3〜10年

 

耐用年数は基本的に主観的な要素が強いため、減価償却を行う際には、この基準に基づいたコストの計上が実施されます。減価償却の計算については、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

 

減価償却の対象から除外される一般的な資産

高額な購入価格があっても、経年劣化が適用されない資産は、通常、減価償却の対象外とされ、それらを店舗の資産として記録する代わりに、売却処分されることが一般的です。このような資産の例には、土地、車両、在庫・消耗品・食材などの一時的な資産、株式や債券などの金融資産などが含まれます。

  • 減価償却のメリット:飲食店ビジネスにおける減価償却のメリットは以下のようなものが挙げられます。
  • 税金の削減:減価償却を適用することで、事業の課税対象所得を減らすことができます。その結果、所得税や法人税を削減する効果があります。減価償却は、事業の収益を調整し、事業の収益に対する課税を軽減します。
  • 資産の実質的なコスト分散:飲食店には設備や厨房機器などの高額な固定資産が必要です。これらの資産を減価償却することにより、資産の実質的なコストを時間と共に均等に分散することができます。これは、資本費用を事業の長期的な収益に合わせて計上することを意味し、財務面での適切な計画を支援します。
  • 新しい設備への更新:減価償却により、資産の価値が減少し、将来的には更新や交換が必要となります。これは、新しい設備や施設の導入を促進する助けになります。新しい設備やテクノロジーの導入は、効率性やサービス品質の向上につながり、競争力を維持するのに役立ちます。
  • 資産の価値の正確な評価:減価償却は、資産の価値が時間と共にどのように変化するかを正確に評価するための方法です。これは、資産の実際の価値や使用可能期間をより効果的に理解し、資産の適切な管理と保守に役立ちます。
  • 投資家や財務機関への報告:減価償却は、企業の財務報告において資産の評価と説明を提供するための一般的な要素です。これにより、投資家や財務機関に対して企業の資産とリスクの透明性を提供し、信頼性の高い情報を提供します。

減価償却は、飲食店ビジネスにおいて長期的な財務計画と資産管理の重要なポイントです。適切な方法で減価償却を活用することで、効果的な資本運用と競争力の強化が必要です。

 

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法は、資産の取得価格と耐用年数に基づいて行われます。主な減価償却計算方法には、

  1. 直線法
  2. 定率法

があります。以下にそれぞれの方法を説明します。

 

1. 直線法 

直線法は、最も一般的な減価償却方法であり、資産の価値が均等に減少すると仮定します。この方法では、毎年同じ金額を償却費として計上します。

減価償却費 = (資産の取得価格 - 耐用年数の終了時の残存価値) / 耐用年数

直線法は税務上一般的に許容され、経費として毎年控除できるため、課税所得を減少させます。そのため、所得税負担を軽減できます。飲食店で一般的な設備や備品、家具、コンピューターなどの耐用年数が比較的一定である場合に適しています。

 

2. 定率法

定率法は、資産の価値が年々減少することを前提としています。初期の償却費は高く、後の年に減少します。

通常、定率法では固定の償却率を使用します。一般的な償却率は20%または25%です。

減価償却費 = 残存価値前年の残存価値 × 償却率

定率法は特定の資産に対して一般的に適用されます。例えば、土地や特定の建物に使用される場合があります。飲食店でよく使用される調理設備や厨房機器には通常直線法が適用されますが、土地の価値はほぼ変わらないため、定率法が適用されることがあります。特定の資産に対してのみ適用されるため、直線法と比べて柔軟性に制約があります。

どちらの方法を使用するかは、具体的な資産の種類、法的要件、会計基準、および税務法によります。

 

厨房機器の買い替えのタイミング

厨房機器の買い替えのタイミングの一般的なガイドラインについて解説します。

 

耐用年数の終了

厨房機器は通常、耐用年数が設定されており、それに応じて減価償却されます。耐用年数が終了する前に、機器が劣化や故障を起こす可能性が高まります。このタイミングで新しい機器に交換することが適しています。

飲食店における厨房機器の耐用年数は、具体的な機器やメーカーによって異なりますが、一般的な目安を以下に示します。耐用年数はあくまで目安であり、適切な保守とメンテナンスによって延ばすことができます。

 

1. 冷蔵庫・冷凍庫

  • 目安の耐用年数: 10年以上
  • 冷蔵庫や冷凍庫は頻繁に使用され、長期間の安定した動作が期待されます。適切な保守と清掃を行い、内部の衛生状態を保つことが重要です。

 

2. 調理器具

  • 目安の耐用年数: 10年以上
  • 調理器具には調理台、ガスレンジ、フライヤー、オーブンなどが含まれます。正しい使用と定期的なクリーニングにより、長寿命を実現できます。

 

3. 食器洗浄機

  • 目安の耐用年数: 8~12年
  • 食器洗浄機は頻繁に使用されるため、保守と定期的な清掃が必要です。適切な使い方とメンテナンスにより、寿命を延ばすことができます。

 

4. シンク

  • 目安の耐用年数: 10年以上
  • シンクは頻繁に水と食器を扱うため、頑丈な作りが求められます。定期的な清掃と保守によって長寿命を実現できます。

実際の耐用年数は使用頻度、メンテナンス、メーカーによって異なる場合があります。飲食店オーナーは、機器の状態を定期的に点検し、適切な保守とメンテナンスを行うことで、耐用年数を延ばし、コストを削減できます。

 

技術の進歩

新しい厨房機器は、効率性や省エネ性が向上しています。古い機器は新しい技術に比べてコストがかかり、エネルギー効率が低いことがあります。技術の進歩に合わせて更新することで、コスト削減と効率向上が期待できます。

 

メニューの変更

メニューの変更や拡張に伴い、新しい調理方法や料理の提供方法が必要になる場合があります。新しい厨房機器が必要な場合、メニューの変更に合わせて投資を検討することが重要です。

 

事業拡大や変更

事業拡大に伴い、新たなエリアで店舗を展開する際、効率的な事業運営を実現するために、これまでの厨房機器よりも高性能な機器が必要になることがあります。新店舗でメニューの拡充を検討する場合、それに対応した厨房機器を導入する必要が生じます。また、事業内容の変更に伴う厨房機器の更新も考えられます。例えば、同じ飲食店であっても、業態の変更が検討される場合、新たな厨房機器の導入を検討する時点となります。例えば、これまでカフェで提供していた軽食メニューを拡充し、多彩な料理を提供するレストランに業態変更する場合が考えられます。このような場合、冷蔵庫の収納容量を拡大したり、製氷機のスケールアップを検討し、大型のガスコンロを導入する必要が出てくるでしょう。

 

まとめ

厨房機器は飲食業において不可欠な要素であり、適切な選択が重要です。故障時に買い替えることも選択肢の一つですが、最適なタイミングでの買い替えはさらなるメリットを提供します。高く売却できるタイミングで新たな機器を導入することで、コスト削減につながります。

特に飲食店などでは、古い機器の使用による高い消費電力が経費に影響を及ぼすことがあります。経営効率を向上させるため、電気代を削減し、収益を最適化するためにも、定期的な厨房機器の更新が重要です。

 

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