【オフィス移転時の14ステップ】スムーズに進めるためのヒントと補助金の詳細解説
ノウハウ 2023.10.11

オフィスの移転は一見難しそうに見えるかもしれません。

多くの企業の関係者が「どの作業から手をつけるべきか?」という疑問を持っています。手続きを見落としてしまうと、移転プロジェクトはスムーズに進行しづらくなります。そのため、事前にどのような手続きが必要なのかをしっかりと確認しておくことが、成功の鍵となります。この記事では、オフィス移転初心者の方々に向けて、移転に際しての手続きやポイントを詳しくお伝えします。

また、円滑な移転のための小ワザやヒントもしっかりとご紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。

 

オフィス移転の基本的なステップ

オフィスを別の場所へ移転する時の大枠のフローは以下の通りとなります。

  • 移転計画の策定
  • 新しいオフィスの場所の選択
  • 今のオフィスの解約手続き
  • 新しいオフィスの配置デザイン
  • 専門業者の選定と手配
  • 実際の移転作業
  • 元の状態に戻すための修繕工事
  • 移転の正式な届け出

これらのステップは通常、半年から1年の期間をかけて逐次実行されます。

次のセクションでは、それぞれの工程について詳しく解説します。

 

オフィス移転の際の14の重要な手続き項目

オフィスを移転するにあたって、行うべき手続きは様々で複雑です。手続きの忘れ物がないよう、事前にチェックリストを用意することをおすすめします。

以下に、主要な手続きとそのタイミングをリストアップしました。

  1. 解約の通知:退去予定の6ヶ月前くらい(具体的には賃貸契約書を確認してください)
  2. 新しい場所の賃貸契約:入居の審査が通った後
  3. 必要なライフラインの切替:新しいオフィスの契約成立後
  4. 移転業者への依頼:移転日のスケジュールが確定したら
  5. 元の場所の原状回復工事依頼:退去予定日前(賃貸契約書を参照)
  6. パートナー企業への移転告知:移転の日程が決まったら
  7. 消防署への通知:使用開始の7日前や工事開始の7日前
  8. 郵便局への変更通知:新しいオフィスの契約後
  9. 税務署への変更届出:移転完了後、できるだけ早く
  10. 警察署への届出:移転が完了したら速やかに
  11. 年金事務所への通知:移転後、5日以内に
  12. 労働基準監督署やハローワークの届出:移転後、10日以内に
  13. 法務局への届出:本社の場合は移転日から2週間以内、支店の場合は3週間以内
  14. 銀行やクレジットカードの住所変更:移転の完了後すぐ

 

1. オフィスの解約通知

オフィスを新しい場所へと移す場面では、現在滞在中のオフィスの管理会社に解約の意向を伝えるステップが必須となります。この手続きを適切に行わないと、追加の手数料が発生するリスクがあります。一般的には、退去予定の約6ヶ月前に解約の意向を伝えるのがベストですが、実際の通知の期間は賃貸契約書をもとに確認しましょう。一度伝えた解約の意向は、後から変更することはできませんので、新しいオフィスへの移転が確定してから手続きを進めると良いでしょう。

 

2. 新しいオフィスの賃貸契約

新しいオフィスへの移転を考える際、新しい場所の管理会社との賃貸契約を進めていくことになります。手続きの前段階として、不動産の専門家から物件に関する詳細な説明を受けることが求められます。この手続きは、宅地建物取引業法に基づき義務付けられているもので、「重説」とも称されることがあります。かつては対面での説明が主流でしたが、近年ではテクノロジーを活用したオンラインでの説明も増えてきました。わからない点や疑問点があれば、気兼ねなく質問し、理解を深めてください。契約が無事成立した後は、仲介手数料の支払いを忘れずに行いましょう。

 

3. ライフラインを整える

新しいオフィスでのスタートを迎えるためには、電気やガス、水道といったライフラインの整備や、通信環境としてのインターネットや電話の設定も必要です。快適なオフィス環境を整えるため、計画的にこれらの切り替え作業を進めることがおすすめです。特に、インターネットの工事には時間がかかることがあるので、早めの手配がポイントです。

 

4.安心・安全な移転をするための引越し業者の選び方

移転計画が固まり次第、専門の業者に引越し作業をお願いすることを考えるでしょう。小さなオフィスであれば自分たちだけでも対応可能かもしれませんが、安心と効率性を求めるなら業者の力を借りるのが賢明です。業者のサービス内容や料金は様々です。要望や予算に応じて、適切な業者を選択しましょう。

 

5. 入居前の状態への原状回復

オフィスを退去する際には、元の状態に近づけるための工事が待っています。法的にもこれは避けられないステップです。契約書にはこの工事の期限も明記されていますので、計画的に進めることが大切です。工事の期間や費用はオフィスの大きさによりますが、一般的な指標もございます。しかし、オフィスの場合、原状回復の範囲が広いことも少なくありません。適切な対応のため、契約書の内容をしっかりと確認しておきましょう。

 

6. 取引先への新住所のお知らせ

オフィスの場所が変わると、スムーズな仕事の進行のために、新しい場所の情報をビジネスパートナーにしっかりと伝えることが大切です。忘れてしまったり、伝え忘れることは信頼を揺るがす可能性もあるので、確実に伝えるためのリストを作成してみるのも一つの方法ですね。さらに、直接電話やメールでのお知らせの他、自社のウェブサイトやSNSを使った告知も考えてみましょう。新しい場所の詳しい情報を伝える時、住所や連絡先に誤りがないかどうか、社内で再確認することも大切ですよ。

 

7. 消防署の手続き

新しいオフィスでの安全を考えると、当然消防署との手続きが必要となります。オフィス内の設備や装飾に関係なく、一定の手続きが求められます。特に、オフィスの内装を変更する場合の手続きは欠かせません。手続きの期限など、きちんとしたルールがありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。そして、内装の工事をプロの業者にお願いするとき、業者が代わりに手続きをしてくれることもあるので、その点も一緒に相談すると良いでしょう。

 

8. 新旧のオフィス間での郵便の取り扱い

オフィスが変わると、最初のうちは前の場所宛ての郵便物が届くことが考えられます。そこで、新しいオフィスに郵便物をスムーズに届けてもらうため、郵便局への手続きを忘れずに行いましょう。手続きは、近くの郵便局やオンラインでも可能ですが、身分を証明する書類が必要になることもあるので、持参するものを事前にチェックしておきましょう。手続き後、一定期間は以前のオフィス宛ての郵便物が新しいオフィスに自動で届くようになります。しかし手続きが反映されるまで少し時間がかかることもあるので、計画的に行動しましょう。

 

9. 税務署への手続き

オフィスの移転に伴う法人税の手続きも忘れずに行いましょう。新しいオフィスだけでなく、前のオフィスの場所も関連する手続きが必要となります。税務署への手続きの際には、いくつかの重要な書類の提出が必要です。もちろん、オフィスによってはオンラインでの手続きも選べる場合があります。明確な提出期限は特にありませんが、早めに手を打つことで、将来的なトラブルを避けることができます。もし、オフィスが東京都内にある場合、都税の手続きも考慮する必要があります。

 

10. 社用車にかかわる手続き

もし、会社が社用車を保有している場合、それに関する手続きも欠かせません。新しいオフィスの場所に応じて、適切な警察署での手続きが必要となります。手続きに必要な書類は、公式サイトからも取得できるので、確認しておきましょう。また、オフィスの移転と同時に車のナンバープレートも変更する場合があるかもしれません。その際は、追加の手続きが求められるので、しっかりと対応しましょう。

 

11. 年金手続きの届け出

オフィスが新しい場所に移転したら、できれば移転後5日以内に健康保険や年金の手続きを進めましょう。年金事務所で行う「適用事業所所在地・名称変更届」の手続きは大切です。届け出る時には、新しいオフィスの住所がわかる法人登記簿謄本や賃貸契約のコピーなどが必要となります。忙しくて年金事務所まで行けないときは、郵便やオンラインでの手続きも可能です。

 

12. 労働関連の手続きとハローワークの届出

新しいオフィスへの移転をきっかけに、労働保険の届け出も必要となります。移転から10日以内に行ってください。具体的には、労働基準監督署ハローワークでの届出手続きを進めることになります。残念ながら郵送での手続きは選べませんが、オンライン手続きは利用できます。労災保険と雇用保険について、一緒に手続きができる場合と、別々に行う場合がありますので、確認して手続きを進めてください。そして、ハローワークでの雇用保険に関する届出も大切です。手続きをスムーズに進めるため、必要な書類はしっかり準備しておきましょう。

 

13. 法務局での手続きと届出

法務局への届出も忘れずに行いましょう。具体的には、「本店・支店移転登記申請書」の提出が求められます。本店の場合、移転してから2週間以内。支店の場合は3週間以内に手続きを完了させましょう。登記簿謄本や定款、印鑑証明書など、必要な書類を揃えて提出してください。料金については、移転先が同じ法務局の管轄内か、別の管轄かで変わります。詳しくは、事前に法務局で確認しておくと良いでしょう。

 

14. 銀行とクレジットカードの情報更新

オフィスの移転は、銀行やクレジットカードの登録情報の更新も必要となります。新しい住所にに更新しておくことで、後で困ることがなくなります。オンラインでの手続きも可能な場合が多いので、確認してみてください。特にクレジットカードに関しては、会社によって必要な書類や方法が異なることがありますので、直接問い合わせて確認すると良いですね。銀行の手続きには、通帳や届出印、身分を証明する書類が必要です。移転後すぐに手続きを済ませて、スムーズな業務を心がけましょう。

 

オフィス移転の際のポイント

オフィスの移動時に気をつけたいポイントについてご紹介いたします。

 

移転プロジェクトの責任者を明確にする

オフィスの移動は、いろいろと細かいことを考えなければならないタスクが山積みとなります。この大事なプロジェクトを円滑に進行させるため、各タスクや手続きの担当者、または担当するチームを明確に設定しましょう。この方法で、全体の計画が逐一、確実に進められるようになり、タスクの進捗状況も把握しやすくなるのです

 

計画には余裕をもつ

オフィスの移動に関しては様々な事前の手続きや調整が求められるものです。予期せぬトラブルを避けるため、ゆとりを持った計画を立てることをおすすめします。書類の不足や手続きの遅延は、全体のタイムラインに影響をもたらす可能性があります。最悪、計画していた移転日に間に合わないというリスクも考えられます。必要となる書類は早めに整えておくと、安心してプロジェクトを進めることができます。また、選んだ新しいオフィスの管理会社が行う審査の期間なども、計画の際には考慮しておきたいポイントとなります。

 

専門家のサポートを活用する

スタッフの手を煩わせたくない、または移転に関する専門的なアドバイスやサポートが欲しい場合、オフィス移転のプロフェッショナルサービスの利用を検討すると良いでしょう。コストはかかりますが、企画から実行までの多岐にわたる作業を全て委託することができます。

 

オフィスの移動時に気をつける手続きポイント

オフィスの場所を変える場面での、必須となる手続きの中での要点について、詳しくご案内いたします。

 

解約告知は戻せないことが多い

以前のオフィスの管理会社への解約の告知は、大概は取り消せません。もし新しいオフィスの準備が順調に進まなくても、告知した日には退去の手続きが求められるので、十分に注意が求められます。もちろん、次に入る予定の方がまだ決まっていない時などは、告知後でも再交渉が可能な場合があります。ですが、基本的には解約を告知した後の取り消しは難しい、という認識を持って進めていくことが大切です。

 

入居の承認は必ずしも保証されているわけではない

新しいオフィスを選んだ後、その場所の管理会社から入居の審査が行われるわけですが、資本金や事業内容を基準に審査されます。たとえ資本金がしっかりしていたとしても、必ずしも承認を得られるとは限りません。審査を無事通過するためには、経験豊富で、該当するオフィスの特性に詳しい仲介業者を選ぶことが鍵となります。各オフィスの審査基準はそれぞれ異なるので、仲介業者の助言を受けながら、審査に有利な情報や対策を予め知っておくと良いでしょう。

 

本店の場所変更の登記はかなりの手間が伴う

会社の正式な登録地を変更する場合、その手続きは非常に複雑で時間も要します。さまざまな手続きや書類の準備が求められるので、前もってその手間を意識しておくことが重要です。特に、自ら全ての手続きを行う場合には、忘れ物やミスがないよう慎重に進める必要があります。

本店移転の際に必要とされる主な書類は以下の通りです。

  • 本店移転の申請書
  • 株主の総会に関する議事録
  • 株主の名簿
  • 取締役の会議に関する議事録
  • 印鑑の届出書
  • 印鑑の届出書

取締役会が設けられている場合は、その会議の議事録が必要ですが、取締役会がない場合は、取締役の決定に関する文書が要ります。

 

オフィス移転時に利用できる補助金や優遇措置

オフィスの移転計画を立てている方に、役立つであろう補助金や特典についてお伝えします。これらのサポートを受けるためには、いくつかの基準や条件が存在します。移転計画を進める前に、詳しく調査して、自社が適応できるかを確かめることが大切です。

 

ものづくり補助金

製造業のサポート金は、主に中小規模の事業者をサポートし、商品の開発や効率的な設備導入を奨励するための制度です。オフィスの移転が業務の効率化や生産性向上に寄与する場合、このサポートを利用できるかもしれません。大まかに、一般的なタイプ、国際展開を目指すタイプ、新しいビジネスモデルの開発タイプの3つのカテゴリーが考えられます。それぞれのカテゴリーでのサポート内容と上限額は以下の通りです。

 

01. 一般型

革新的な事業計画実行のための設備投資等に対する補助:上限 2,000万円

 

02. グローバル展開型

革新的な事業計画実行のための設備投資等に対する補助:上限 3,000万円

 

03. ビジネスモデル構築型

革新的な事業計画策定のための支援プログラムに対する補助:上限 1億円

 

地方拠点強化税制

地域活性化税制支援は、企業がその主要な機能の一部や全体を地域へ移転する際に、税制上の特典を享受できる制度となっています。この制度は、内閣府地域創生推進事務局が取り組んでおり、移転予定地の自治体が提供する特典とは異なる点を理解してください。この税制支援を受けるためには、都道府県知事の認定が必要となります。業種による制限はありませんが、工場や小売りの場所は適用外として注意してください。

具体的な内容と要件は以下の通りです。

 

【対象企業】
  • 東京23区から、地方への移転を考えている企業
  • 東京23区以外からも、地方への移転を検討している企業

 

【条件】
  • 都道府県知事による計画の承認を受けること
  • 毎年の所得税申告

 

まとめ

オフィス移転の際には、様々な手続きやステップが待ち受けています。移転が正式に決定したら、事前の計画をしっかりと立て、すべての必要手続きを順序良く進めていくことが大切です。責任者を設け、全ての項目を漏れなく確認するためのチェックリストの作成がおすすめです。大企業や多数の従業員を持つ企業では、移転の手続きも複雑になる可能性があります。そのような場合は、オフィス移転の専門家にサポートを依頼することで、より安心して移転のプロセスを進めることができます。

計画的に進め、余裕を持って準備を始めることで、オフィス移転をスムーズに行うことができます。

 

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