業務拡大などを理由に会社の移転を考えたときに賃貸オフィスか自社オフィスを持つかで迷うことがあるでしょう。
賃貸オフィスは初期費用が安いことや、再度オフィスを移転する必要が出てきたときも手続きなどが楽というメリットがありますが、デメリットもあります。賃貸オフィスへの移転を考えているならメリットだけでなくデメリットもよく理解した上で賃貸オフィスへの移転準備をすすめていきましょう。
今回は特に見落としやすい賃貸オフィスのデメリットについてご紹介いたします。
賃貸オフィスは費用負担が少ないと考えてしまいがちですが、実は思っている以上に初期費用が高くなることを心得ておきましょう。
借りる物件の家賃や賃貸条件によっても異なりますが、家賃の約4~15カ月分くらいの費用がかかってくるのです。その内訳は保証金と礼金、前家賃などになります。
保証金は賃貸オフィスの大家さんに預けるお金のことであり、賃貸オフィスから退却するときに原状回復などのために使用されるお金です。原状回復のための工事や償却費などでかかった費用を差し引いた分が返金されますが、場合によっては保証金だけでは不足することもあり退却時に費用を請求されることもあります。
礼金は大家さんに支払う謝礼ですが、礼金0という物件も探せば見つかります。また入居時には前家賃といって家賃1カ月分もしくは1カ月半分を前払いすることが多く、それに合わせた管理費も初期費用に含まれます。
その他にも賃貸オフィスを探してくれた不動産屋さんに仲介手数料、オフィスの火災や事故に備えた損害保険料などを支払う必要が出てきます。さらには場合によって鍵交換手数料や事務手数料などがかかることがあり、予想よりも費用負担が増える可能性も覚えておきましょう。
オフィスを移転してすぐにでも業務をスタートしたいと考える経営者は多いでしょう。
しかし賃物件の状況や大家さんの判断にもよりますが、移転を決めてから業務が開始できるまで約6カ月の期間が最短でもかかると考えておいたほうがよいといえます。それはオフィス探しや契約、工事などに時間がかかってしまうからです。
オフィス移転の際にはまとまった費用がかかりますので頻繁に移転することは難しいため、できるだけ長く借りられる場所を探そうと考えます。
良い物件を探すためにいくつもの物件を比較してよく検討しますので、物件を見つけるまでにそれなりの時間を要してしまう傾向です。物件が無事に決まってからも申し込みや契約手続きがあります。契約が済んだからといってすぐに移転ができないことが多いのです。さらにはより最適なオフィス環境を作るためには、レイアウトの変更や工事が必要となるケースが出てきてしまいます。
工事の内容にもよりますがオフィスに移れるようになるまでに約1~2カ月程の時間がかかります。
以前のオフィスから新しいオフィスに移るときの細かな移転作業は自分たちで行いますが、その作業もそれなりの時間がかかります。オフィスの移転は時間がかかりますので余裕をもって計画および実行を心がけましょう。
オフィスを賃貸にした場合は家賃や共益費、契約内容によっては光熱費も固定費として支払うことになります。
固定費は毎月支払い額が一定であるというメリットがある反面、デメリットもあることを覚えておきましょう。
家賃や共益費などの固定費が毎月の支出に占める割合が大きくなってしまうと、それが利益に大きく影響を与えることがあります。それは固定費で経費を調整することが難しいからです。売り上げが大きく増加しても固定費の割合が大きい分だけ利益も減少します。逆に売り上げが少なくなってしまったときは、固定費を引くと利益がほとんどないか赤字になることもありえます。利益の少ない状態や赤字が長く続くと会社経営の危機ですから、経費の削減を検討することになるでしょう。
一般的に経費削減において費用が毎月変動する変動費から削減を検討していきますが、それだけでは十分な経費削減効果が得られない場合は固定費の削減に着手する必要が出てきます。その際に固定費で大きな割合を占める家賃や共益費を見直すこととなり、最終的に家賃や共益費が安い物件への移転も視野に入れるようになります。再度オフィスの移転を行うと費用もかかりますので固定費は少なくしたほうが賢明です。
建物は年数とともに劣化していきますので、必要に応じて建て替えや修繕が必要になるでしょう。また大震災以降は建物の耐震補強のために補強工事を行う必要性が高まり、それらを理由にオフィスの立ち退きを要求されることがあります。
オフィスを賃貸している場合は建物の工事や建て替えを理由に立ち退きをさせられる可能性も覚えておきましょう。賃貸オフィスを契約した際は契約期限が設けられており、大家さんと借り主が合意すれば契約更新の手続きが取れます。しかし契約更新の際に大家さんが契約を更新しないと通告されてしまえばそれ以上そのオフィスを借りることはできないのです。
契約途中でも契約書に中途解約についての特約がある場合、賃貸契約の解約が認められることもあります。
賃貸オフィスの立ち退きを通告されたときは立ち退き料が支払われるケースがあります。しかし建物の老朽度合いなどによって立ち退き料が変わってきますので、比較的古めの物件を借りているときはそれほど高額な立ち退き料は期待できないでしょう。オフィスを立ち退くことになった場合は早めにつぎの移転先を決めなくてはいけなくなります。
修繕などによる急なオフィス立ち退きを避けるためにも、築年数がかなり経過しているような物件は選ばないほうがいいでしょう。
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