感染症の影響により、テレワークが中心だった状況から、今ではオフィスワークやハイブリッドワークへの移行が進んでおり、そのためにオフィスのあり方が再評価されています。特にオフィス移転や新規オフィス開設を検討している企業では、従業員のモチベーションや生産性向上を実現するため、どのようなオフィス環境が最適かについて検討が行われています。今回は、新しいオフィスデザインを構築するための重要な要素として、コンセプト、ゾーニング、レイアウトなどに焦点を当て、詳しくご説明いたします。新たなオフィスづくりの際にぜひご参考にしてください。
オフィス設計とは、オフィス内の空間配分や家具配置などのレイアウトを綿密に計画し、意図的にデザインするプロセスです。この設計プロセスにより、個々の従業員が最大限に力を発揮できる効果的な環境を整えることが可能となります。その結果、従業員一人ひとりの生産性向上が図られ、チーム全体の協力や創造性も高められます。
オフィス設計によって、オフィス環境は単なる作業場所から、企業の文化やブランドを反映する場として活用されます。独自のデザインや特長的な要素を取り入れることで、企業のブランディングに貢献し、従業員の忠誠心を高めたり、外部へのイメージ向上につなげたりすることができます。
特に、新型コロナウイルス感染症の影響により、オフィス環境に対するアプローチが変わっています。伝統的なオフィスレイアウトの見直しや、より安全で働きやすい環境を提供するためのデザインに焦点が当てられており、その重要性が一層浮き彫りになっています。
最適なオフィス設計は企業に多くのメリットをもたらします。中でも、以下3つのメリットについて解説します。
オフィス内の効果的な配置や設計は、従業員が仕事に集中しやすく、効率的に業務を遂行できる環境を創り出します。適切な照明、座席、作業スペースの配置などは、作業効率を高め、生産性を向上させます。中でもゾーニングや共有スペースの設計への取り組みは、チームのコラボレーションとコミュニケーションを向上させます。オープンな環境やミーティングスペースの設置は、アイデアの共有やプロジェクトの協力に貢献します。また、快適なオフィス環境は従業員の幸福度にプラスの影響を及ぼします。適切な照明、エルゴノミックな家具、快適な温度設定などは、従業員の快適さを向上させ、離職率を低減させます。
オフィスは企業のブランドイメージの一部です。カラースキーム、ロゴの配置、デザイン要素などを組み込むことで、従業員や訪問者に企業の文化や価値観を伝え、ブランドの一貫性を確保できます。よく設計されたオフィスは、クライアント、パートナー、お客様など訪問者にも好印象を与えます。プロフェッショナルな環境は信頼感を高め、新たなビジネス機会を生み出すことができます。同時に、魅力的なオフィス環境は、新たな才能を引き寄せ、既存の従業員を留め置くのに役立ちます。特にミレニアル世代やジェネレーションZにとって、働く場所は重要な選択要因の一つとなっています。
最適なオフィス設計にはエネルギー効率や持続可能性の要素を組み込むことができ、企業の社会的責任に対する取り組みを示す機会となります。省エネルギーシステムや廃棄物リサイクルの設計は、企業の環境への貢献を示すものとなります。
初めてオフィスを設計する場合、どのようなステップを踏むべきか分からないことはよくあります。従業員に快適な作業環境を提供するために、適切なオフィス設計が欠かせません。では、オフィス設計の進行手順を詳しく確認していきましょう。
オフィスの経営者や担当者がオフィス設計に取り組むことはありますが、通常、専門業者に依頼されることが一般的です。オフィス設計の業者は、主に4つのタイプ(設計事務所、オフィス内装業者、工務店、オフィス家具販売店)が存在します。各業者は異なる得意分野や特徴を持っており、複数の業者から見積もりを取って比較検討することがおすすめです。これにより、オフィス設計の費用や提供範囲などを評価できます。業者に関する情報は、ウェブサイトや口コミサイトを通じて入手できます。
次に依頼する業者に対し、オフィスのコンセプトを明確に伝える際、希望や条件を伝えてください。オフィス設計のコンセプトは、オフィスの機能や方向性などを言語化するプロセスです。これは、オフィスが持つ経営理念や事業計画を外部に示す重要な手段であり、従業員のモチベーション向上にも寄与します。
オフィス設計のコンセプトを明確にするために、まずはオフィス内での課題を特定しましょう。たとえば、「執務室の動線が複雑で作業効率が低下している」や「従業員数の増加に対応するためのスペースが不足している」といった課題が挙げられます。
企業の理念や事業内容をもとにコンセプトを具体化していくことで、オフィスのコンセプトが明確になっていきます。
ゾーニングはオフィス空間をテーマや用途ごとに区切るプロセスで、レイアウトの基本です。たとえば、オフィス内でエントランス、会議室、応接室、執務室、休憩室、機密文書保管室などのゾーンに分けることができます。設計したコンセプトに従ってゾーニングすることで、無駄なスペースを削減し、従業員の作業効率を向上させることが容易になります。各ゾーンの使用目的と利用者を明確にすることが重要です。
オフィスゾーニングは、以下の5つのスペースに分けることができます。
これらのスペースはオフィス内の効果的なゾーニングを支援し、従業員や訪問者がオフィスを効果的に利用できるようになります
各ゾーンに対して、適切な動線を設計しましょう。動線が不適切だと、高頻度で利用される通路が狭くなったり、関連部署の距離が遠くなる可能性があります。したがって、各ゾーンの業務内容や従業員数を考慮しながら、動線を設計することが重要です。オフィスの管理者や設計担当者だけでなく、従業員の意見や要望を取り入れることも必要です。
各オフィスゾーンの動線設計が完了したら、各部屋や通路などのレイアウトを決定しましょう。オフィスのレイアウトとは、ゾーンごとに内装(壁、天井、ドアなど)の寸法や配置などを計画するプロセスです。
作業スペースが充分でないと、従業員の効率性に悪影響を及ぼすため、快適な環境を提供することが重要です。
ワークスペースのレイアウトについては、後ほど詳しく説明します。
6. 設計図の確認と修正
業者との協力を通じて、コンセプト設計からゾーニング、動線設計、レイアウトまで進行した後、提案された設計図を検討し、必要に応じて修正を行います。理想的なオフィスデザインや要件に基づいて設計図が作成されますが、詳細な調整が必要な場合があります。
オフィス設計には、以下4つのポイントがあります。
オフィス設計の重要な要素の一つは、十分なスペースを確保することです。スペースは従業員の作業環境に大きな影響を与えます。オフィス内の作業スペース、会議室、収納スペースなどを適切に計算することは、快適な環境を作り出す鍵です。過密なオフィスはストレスを増大させ、生産性を低下させる可能性があるため、スペースの使い方を工夫し、必要な広さを提供することが重要です。
オフィス設計は作業効率を向上させるために計画されるべきです。効率的な作業環境は、従業員が仕事に集中でき、生産性を高めるのに役立ちます。座席やデスクの配置、設備、照明、そして収納オプションなどが、従業員の作業効率に影響を与えます。また、デジタルツールや技術の適切な統合も作業効率向上に寄与します。
オフィスはチームのコラボレーションとコミュニケーションを促進する場所であるべきです。コミュニケーションを重視するために、共有スペース、ミーティングルーム、オープンオフィス環境などが設けられます。従業員同士や上司と部下、異なる部門間の円滑なコミュニケーションをサポートする環境を構築することは、アイデアの共有やプロジェクトの成功に不可欠です。
オフィス設計には法律や規制への遵守が欠かせません。建築基準法、消防法、健康安全法、アクセシビリティ法などの法規制はオフィスの設計に影響を与えます。これらの規制を理解し、順守することは、従業員の安全性や法的リスクの回避に関連して重要です。設計フェーズから法的コンプライアンスを確保することが必要です。
これらのポイントは、オフィス設計が従業員の幸福度と生産性向上に貢献するのに役立つポイントです。
オフィスの配置は、働くスタイルやチームのコミュニケーションに影響する大切な要素となります。配置を検討する際、どのような機能や要素がオフィスに求められるかを明確にした上で、それらを効果的に配置することが必要です。
以下では、どんな場面や状況にどのレイアウトが有効か、そのメリットや注意点を交えて詳しく解説します。
対向型レイアウト、または島型レイアウトとも呼ばれるこのレイアウトは、同じ部門のスタッフが向き合って座る形式を取ります。この配置では、向かい合っているため集中作業には向かない可能性がありますが、コミュニケーションが取りやすいため、チームワークが中心の業務には適しています。
背面型配置は、デスクを背中同士で配置し、チームを形成するレイアウトのことを指します。他のチームとのやり取りは少し難しい部分も見受けられますが、メンバー同士が直接向かい合っていないため、個人の作業に集中しやすい環境が作れます。また、コミュニケーションを取りたいときは簡単に振り返ることで対応が可能で、効率的に業務を進めることができます。
同向型配置は、全てのデスクが一定の方向を向く配置方法です。まるで学校の教室のような形です。この方式も並列配置と呼ばれることがあります。チーム間の協力が要される場面では少ないですが、隣同士のコミュニケーションは取りやすいため、顧客応対が主となる不動産会社や銀行などで採用されています。また、個人用のブースを設ける際にもこの方式を採用するケースが増えています。
ブース型配置では、パーティションや壁でデスク周りを囲うことで、一人一人のプライベートな作業スペースを確保します。外部の騒音や視線の影響を受けにくく、集中して作業を進めることが可能です。デザインやクリエイティブ系の業種でよく見られる配置ですが、WEB会議の普及などで幅広い業種での導入が増えてきています。
クロス型レイアウトとは、デスクを縦と横に交互に配置するレイアウト方法です。この配置により、ジグザグとした動線が生まれ、決まった動き方をしないように工夫されています。そうすることで、人々の出会いやコミュニケーションの機会が増えるのです。
ブーメラン型レイアウトは、120°のデスク配置を活用したレイアウト手法です。この方法で、1人あたりのデスクスペースが広く取れ、多くのモニターや文書を広げる作業に適しています。個人作業とチームでのコミュニケーションのバランスも良好に保たれる配置です。
レイアウトについては、以下の記事に詳しくまとめていますので、併せてご覧ください。
スタイリッシュかつ実用的なオフィスレイアウトの魅力: 基本のポイントと具体的事例
オフィス設計にかかる一般的な費用は、通常、工事費用全体の10%から20%に相当します。したがって、もしオフィスの総工事費用が500万円である場合、設計費用は通常、50万円から100万円程度となります(工事費用を除く場合)。
ただし、一部の業者は設計費用と工事費用を合算し、坪単価で計算することもあります。通常、坪単価は10万円から30万円程度が一般的です。例えば、30坪のオフィスを考えた場合、合計費用は通常、300万円から900万円程度となるでしょう(工事費用を含む場合)。
オフィス設計費用を節約する方法の一つは、設計から施工までの一貫したサービスを提供する業者に依頼することです。設計と施工を別々の業者に委託する場合、費用だけでなく、各業者とのコミュニケーションにかかる時間も増加します。
さらに、設計の内容や工事費用を比較検討し、最適な契約を選ぶために、複数の業者から相見積もりを取ることをおすすめします。
心地よいオフィス環境を実現するために、社内の声を取り入れ、必要な調査やコンセプトの策定、自然の要素の取り入れなどのアプローチが不可欠です。さらに、オフィス内の各エリアには特有の設計ポイントがあるため、それらを正確に理解し、実践することが重要です。
途中で疑問や困難に直面した場合、専門の業者とコンサルティングを検討することもおすすめです。この記事を参考にして、計画的にオフィス設計を進め、最高のオフィス環境を実現してください。
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