
(前段左から)
株式会社アクティヴァーチ・コンサルティング 管理部 増田静 様
同 代表取締役 福井康司 様
ガヴェル株式会社 インテリアデザイナー 森貴士 様
(後段左から)
ユニオンテック株式会社 ワークスペースプロデュース事業部 プランニング&デザイン部 プランニングG マネージャー 山本泰輔
同 取締役 兼 ワークスペースプロデュース事業部長 赤枝泰明
めずらしい配色だったので、最初に提案を見たときは「大丈夫かな?」と思ったんです。ですが、任せてくれとのことだったので、おまかせすることにしました。結果的に、この色で良かったと思っています。この会議室にあるガラスブロックの壁もすごく気に入っているんですよ。
株式会社アクティヴァーチ・コンサルティング 代表取締役 福井康司 様
“こんな会社にしたい”と思うイメージ、社員の働き方改善など、お客様が思い描くご要望に対し、内装デザインを通してユニオンテックがどのようにお応えしたか? プロジェクトの裏側にある“ストーリー”を覗くことができる「オフィスメイキングnote.」の第10弾。
今回お話をうかがったのは、アクティヴァーチ・コンサルティング様。2020年11月に設立されたコンサルティングファームです。これまではシェアオフィスで業務を行っていたそうですが、事業の成長と拡大を受けて大手企業が数多く入居する虎ノ門ヒルズに移転。内装をユニオンテックが手掛けることになりました。そこで浮上したとある“難関”とは…?

―― 移転を決意したきっかけを教えてください。(以下、敬称略)
福井 一番は採用です。僕らの業界は今、人材を取り合っている状況で、企業側が採用に力を入れなければ良い人材が集まりません。そこで、最後のマーケティングコストとして、良い場所にオフィスを構えて会社の格を上げれば、採用が強化できるのではないかと考えオフィス移転を決めました。
―― では、物件はどのように決められたのでしょうか?
福井 アクセスが良くてビルのグレードも高い、麻布台ヒルズか虎ノ門ヒルズで考えていました。僕の家からも近いですし(笑)、自ずと候補が絞れましたね。すると次は、そのビルから物件が出るタイミングを“待つ”段階に入ります。僕らのような100〜150坪くらいの物件を求めている企業は、麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズにとってかなり優先順位が低く、最優先にされるのはたくさんのフロアを借りてくれる大企業。僕らは、その大企業が入居したあと“パズル”の余りが出たタイミングを狙うことになるので、選ぶ余裕はなかったです。今入居している虎ノ門ヒルズステーションタワーの39階に空きが出たと連絡をもらい、内見したその場で即決しました。たぶん、あそこで「1週間考えます」と言っていたら、流れてしまっていたでしょうね。
―― 39階からの眺望は抜群です。このフロアが空いたからこそ手に入った景色ですね。
福井 このビューを使ったオフィスにできたら良いなとは思っていました。あとはもちろん、採用に活かせるようなオフィスにしたいというのが僕らの要望で。
赤枝 1回目のヒアリングでお話を伺ったときも、「とにかく採用!」と聞いていました。
福井 採用のための移転ですからね!
―― では、雰囲気や色使いに関して希望はありましたか?
福井 なかったです。僕らが意見を言うより、プロの方にお任せしたほうが良いと思っていたので。実際、任せてくれと言ってくれましたし。
森 そうでしたね。「信じてください!」と言ったのを覚えています。

―― 採用重視のオフィスとのことですが、具体的にどういったデザインを提案したのか教えてください。
森 僕はデザインをするとき、形状やレイアウトではなくこの空間を使う人にどんな“気持ち”になってもらいたいのかを考えるところから始めるんです。今回は採用が肝になるので、面接に来た方に「この会社にしよう」を思ってもらうことはもちろん、実際に働いている方にとっても働きやすい空間であることが一番なので、テーマとしてはありきたりですが“安心感”や“おうち感”があるオフィスにしたいと思っていました。なので、あまり奇抜にしようとは思っていなかったですね。
例えば、このオフィスに来る方々は都会の喧騒のなか電車に乗ってやって来るわけですが、そのザワザワとした気持ちのままオフィスに入るのではなく、入った瞬間に落ち着いた気持ちになってほしい。そう思い、エントランスは厳かな雰囲気をイメージしました。
―― そういった雰囲気を、配色などで表現するのですね。
森 そうですね。とはいえ、落ち着くからといって白壁にグレーの床といったシンプルな配色にすると、個性が伝わりづらくコンペでお客様に選んでいただくことが難しい傾向にありまして。そこで、尖っているわけではないけれど落ち着く配色にしようと思い、赤い壁に緑の床の会議室を提案しました。

ご提案したミーティングルームのパース画像
福井 めずらしい配色だったので、最初に見たときは「大丈夫かな?」と思ったのですが、それこそ任せてくれとのことだったので、お任せすることにしました。結果的に、この色で良かったと思っています。あと、この会議室にあるガラスブロックの壁もすごく気に入っているんですよ。
森 ありがとうございます。僕は、デザインをする前にこちらに足を運ぶことができなかったのですが、山本さんから動画や写真を見せていただいて、外光がすごく入る物件だなと思っていたんです。なので、窓から光がいっぱい入る場所に会議室を作り、窓の反対側をガラスブロックにして。会議室の外にも光が入るようにしました。また、ガラスブロックの向こう側にエントランスがあるので、来客に「39階だし、きっとすごい景色が待ち構えているだろう」と期待させるような効果もあると考えています。

―― ガラスブロックは中の様子が見えない“ぼかし効果”もあるので、一体どのくらいの眺望なのかは分かりませんものね。
森 はい。それに、会議室の中にいる方々のプライバシーを守れますからね。
赤枝 普通のガラスだとオフィスっぽさが強くなってしまいますし、今回のコンセプトの“おうち感”を出すという意味でも、ガラスブロックは良いチョイスだったと思います。福井様にも気に入っていただけてよかったです。
福井 いやぁ、格好いいですよ。

実際に完成したミーティングルーム
―― では、リフレッシュルームはいかがでしょうか?
森 リフレッシュルームは、フリーアドレスという前提のもといろんな“シーン”を作りたいと思っていました。同じ椅子とテーブルが整然と並ぶ均一なレイアウトよりも、飲食店のように「今日はこっちの席を使いたいな」と気分でシーンを選べるようなレイアウトにしたほうが、日々過ごしやすいだろうなと。
あとは、バーカウンターを作らせていただきました。この部屋のコアになるイメージですね。なおかつ、このカウンターの奥にフォンブースを置く予定なので、ブースの目隠しという役割も担っています。
―― こういった提案を受けて、福井様と増田様はどういった印象を持たれましたか?
増田 ナチュラルな雰囲気でいいなあと思いました。緑が映える空間だなと思っていたので、グリーンを置けたらいいなと思っていて。取引先には「移転した際、胡蝶蘭の代わりに観葉植物を欲しい」とお願いしていたくらいなんです。実際に、会議室にもエントランスにも置けてうれしいですね。

福井 僕はやっぱり、会議室が気に入っています。この2色が意外と落ち着くんだなと、今になって感じていますね。実は、コンペで最後まで悩んでいたもう1社さんが、真っ白なオフィスを提案してくださっていたのですが、白いオフィスだったら逆にしんどかったかもしれません。
増田 最終的に、ユニオンテックさんとその会社さんで悩んで、社内投票でユニオンテックさんに決めました。
福井 それに、そちらの会社さんはコストが高かったんです。最初から1億円だったので。
増田 スタイリッシュで格好良いデザインだったんですが、1社だけコストが飛び抜けていました。
福井 そういう意味でも、ユニオンテックさんに決めましたね。

―― 今回のプロジェクトで、一番大変だったのは何でしたか?
福井 それはもう、お金ですよね!
増田 B工事のコストがとにかく高かったです。なので、当初のデザインから変更、変更で。
福井 もともとB工事で4000万円を担う予定でしたが、9000万円になってしまったんでしたっけ?
山本 そうですね。ユニオンテックの工事と森ビルさん側の工事を足すと、さらに金額は上がってしまいました。
福井 一時期は、ユニオンテックと、森ビルと、「高すぎる!」と反発する社内の人間の間に僕が挟まれて、「なんで僕が調整役をやっているんだろう」と思っていました(笑)。
赤枝 修羅場でしたよね…。
山本 そんななかで私は、福井様と優先順位を相談しながらコストを削れる部分を調整していきました。福井様はどんな場面でも意思決定が早く、即決してくださったのでありがたかったです。特にガラスブロックは「残したい」とはっきり言ってくださいました。


コストダウンに向けたVEプラン一部抜粋
福井 一瞬、ガラスブロックの壁を短くする案も出たんです。だけど、それは止めてほしいと言いましたよね。
山本 であれば、別のところで調整しましょうと話を進めることができました。
森 リフレッシュルームの天井も、工夫をしました。本来はスケルトンにして広がりのある空間を演出したかったのですが、コスト面で難しくなってしまいました。最終的に、天井を黒く塗って解放感を出しています。おそらく、このプロジェクトに関わっていない皆さんが想像する金額調整の、100倍くらい大変でした。VE(バリュー・エンジニアリング)こそデザイナーの腕の見せ所だと思っているのですが、その常識をぶっ飛ばすくらい予算と乖離していましたね。なので、今言ったような天井の変更や、最初に提案していた家具類をもう少し現実的な価格帯のものに変更して、コストを下げています。
福井 カウンターの奥に設置する予定だったフォンブースは100万円くらいするものを買う予定だったのですが、「もっと安価なブースがあるだろう」と自力で見つけ出しました。現状はコスト面も考えて置くことができていないのですが、近いうちに設置しないと採用に支障が出かねない。そこは、こだわりつつも早く決断したいですね。山本さんに相談中です。

―― では、完成したオフィスの感触をお伺いしたかったのですが、ひとまずはフォンブースが必要なのですね。
増田 そうですね。ただ、従業員はみんな感動していましたよ。
福井 そう、喜んでいましたしうれしそうでした。ただ、採用面への効果が分かるのはこれからになりそうです。まだ、ここに移転して間もないですから。
増田 とはいえ、外部からの営業の電話は、かけていただくことが多くなりました。郵便番号だけで虎ノ門ヒルズステーションタワーの39階にあるオフィスだと分かるので、「絶景ですか?」「ぜひ一度伺いたいです」と言われますね(笑)。これだけでも、移転の効果が出ているんじゃないかなと感じています。
福井 あと、月に1度懇親会を行っているんですが、この前の懇親会が終わったあと、オフィスに来たことがない人をここまで連れてきて、お酒を飲んだんですよ。
山本 おお、それはいいですね!
森 そういう場に使ってもらえればと思い、バーカウンターを作りましたから。
福井 今後は、19時以降ならお酒を飲んでもいいというルールを作る予定ですが、採用面接はどうしても就業時間後が多くなるので、防音効果もあるフォンブースが直ちに必要なんですよね。何度も言ってしまいますが(笑)。プラス、リフレッシュルームの席数をもっと増やしたいです。弊社は、クライアントとなる会社にコンサルタントを派遣しているので、このオフィスを利用するのは基本的にバックオフィスの社員がメインになるのですが、今は派遣されておらず、テレワークをしているコンサルタントもいます。そういう方々を全員このオフィスに呼んで、ここで働いてもらいたいですね。テレワークだと仕事に身が入らないでしょうし、ここに来れば帰属意識も高まるでしょうから。そのための椅子はひとまず揃えたので、机だけ山本さんにお願いできれば…。ブースと一緒にお願いします。
山本 分かりました! 任せてください。

Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto