
(中央左から順に)
吉田建材株式会社 総務経理部係長 外山恵子 様
同 専務取締役 吉田徹平 様
同 執行役員 経営企画部長 山本晃裕 様
(左・右)
ユニオンテック株式会社 ワークスペースプロデュース事業部 プランニング&デザイン部 プランニングG シニアプロデューサー 木暮仁
同 デザインG チーフデザイナー 里山広忠
最初にこのデザインを見たときは「大胆に変わったな」と思ったのですが、お客様からエントランスの評判がいいんです。ガラス張りで見える執務スペースはスケルトン天井になっていますから、広さを感じますし。もともと、このビルは天井が低めなのですが、それを感じさせない空間にしていただけて良かったなと思っています。(中略)採用につきましても、「このオフィスが決め手になった」という人が出てきています。
吉田建材株式会社 専務取締役 吉田徹平 様
“こんな会社にしたい”と思うイメージ、社員の働き方改善など、お客様が思い描くご要望に対し、内装デザインを通してユニオンテックがどのようにお応えしたか? プロジェクトの裏側にある“ストーリー”を覗くことができる「オフィスメイキングnote.」の第9弾。
今回お話を伺ったのは、吉田建材株式会社様。生コンクリートの製造・販売を行う企業で、2025年に創業75年を迎えた歴史ある会社です。現在のビルには、平成元年(1989年)に入居しており、これまでずっと同ビル6階を利用していましたが、昨年空きが出たという3階も借り、増床。今回の改修プロジェクトでは、この3階の使い道が大きな課題となりました。

―― 改修を決めた経緯から教えてください。(以下、敬称略)
吉田 東京・東陽町にあるこのビルに本社を構えたのが平成元年でして、それから36年ほど経っているのですが、オフィスは一切変えていなかったんです。近年は、きれいなオフィスが主流でもありますし、採用を進めていくうえでもこのままでは良くないと思っていまして、現代の感覚に近いオフィス環境にしたいと改修を決めました。
―― 当時のオフィスは、どういった雰囲気だったのでしょうか?
吉田 ごく一般的なオフィスでした。デスクと書棚が並んでいる、それだけのオフィスですね。会議室は1つしかなく声が執務室に丸聞こえになってしまうので、オフィス内で大事な話もできませんでした。
山本 食事をとる場所やリラックスできるような場所も、まったくなかったですね。
吉田 それに、入居したばかりの頃は室内で喫煙もできるような状況でしたから、壁もヤニで汚れていました。この間にも改装したことはあるのですが、壁や床まで一新するような大規模なものはしていなかったので、今回こそはと。そう思っているときに、このビルの3階がたまたま空きまして、3階と本社のある6階をまとめて改修しようとこのタイミングで踏み切りました。
―― 移転ではなく、改修にした理由もお伺いできますでしょうか。
吉田 当社は歴史だけは非常に長いので、関係先が多く住所変更をするとなると多大な労力が必要なんです。なおかつ、地域貢献も長いあいだ弊社で行っているので、東陽町から離れるという選択肢はありませんでした。このビル自体、駅から徒歩1分と好立地ですし、引っ越しは最初に候補から外れましたね。
―― では、ユニオンテックに声をかけてくださった経緯も教えてください。
山本 ユニオンテックさんにご連絡をする前に、何社かに先行で声をかけていたのですが、当社の現状の課題をうまくコンセプトに落とし込めるような、“提案力”のあるところはほかにもないかなと探していたときに、ユニオンテックさんのホームページを拝見しまして。「ここなら期待しても大丈夫なんじゃないかな」と思ったのがきっかけですね。
―― ホームページに載っている事例を見て、そう感じていただけたのでしょうか?
山本 それもありますし、提案時と実際に完成したときの比較をした資料や、「こんなふうに提案しました」といった案内もあったので、当社の要望を汲んで形にするだけの言語力がありそうだなと感じ、お願いした次第です。実際に、提案していただいたときには一番しっかりとした提案書をいただけた印象ですね。

―― では、ご提案するまでの流れを教えてください。最初にヒアリングでご要望などをお伺いしたと聞いています。
吉田 当社のプロジェクトチームが発足したとき、私がチームメンバーに伝えたのは、“リビングオフィス”というテーマでした。社員の皆さんがアイディアを生みやすい環境は、やはりリビングのような落ち着く空間だと思いまして、それをオフィスに落とし込めないかと考えていました。
外山 ただ、皆さん忙しいのでそんなにリラックスする時間も取れないのが現状だと思っていて。リラックスできる場所と、集中して仕事できる場所を分けたいなと思っていました。それでいて、グリーンがあるような明るいオフィスがいいなと。
里山 そのあたりは、うちから提案した“ビジョナリーセッション”でイメージを膨らませていきましたよね。様々なデザインの写真を300枚くらいテーブルに並べて、プロジェクトチームの皆さんに「いいな」と思ったものをピックアップしていただき、個々がオフィスに求めているものを見つけ出していくという手法なのですが、ここでチームの皆さんのイメージが固まっていったような気がします。

木暮 また、3階の使い道も非常に悩んだところです。「6階だけでは狭くなってきたから借りた」というお話を伺ったのですが、3階と6階をどうやって使い分けるのかは多少不明確で。社員向けにするのか、社外向けにするのか、はたまた貸すのか、どうしようかと。なので、いろいろとご意見を聞きながらパターンを提案していきました。
吉田 ここで、私とそれ以外のプロジェクトメンバー(山本様、外山様ら)の意見が真っ二つに割れました。そもそも、私だけユニオンテックさん以外の会社さんのデザインを推していまして、私以外は全員ユニオンテックさんでしたね。3階に関しても、当初私は3階に受付を置いてお客様を6階に上げないパターンを提案していたんです。お客様との打ち合わせは、すべて3階で終えられたらと考えていました。
山本 なので、最初は6階にエントランスを置く予定はなかったんですよね。
吉田 セキュリティの観点からも、そのほうがいいかなと。ただこれも私とチームメンバーの意見と合わず、摩擦が起きまして、ユニオンテックさんとのミーティングも意見がまとまらないまま終わってしまうようなことがしばらく続きました。
山本 最終的には、ユニオンテックさんにどうにかまとめていただきました(笑)。いろんな方向性を提示していただいて、先導してもらいながら考えた記憶があります。

―― 様々な意見が飛び交ったプロジェクトなのですね。それも踏まえて、里山さんはどんなデザインにしたのでしょうか?
里山 最初に吉田様が仰っていた“リビングオフィス”をテーマに、明るい空間にしようと考えました。加えて、御社のバリューでもある“チャレンジファースト”を強化できるようなオフィスにしたいと思い、勢いが加わるようなデザインにしています。例えば、スケルトン天井にすると解放感が出てリラックスしやすくなりますし、デザイン的にも勢いがでますね。また、エントランスからの動線を斜めにしたところも、勢いを出したいという思いからです。
吉田 当初は3階にエントランスを置く案もあったので、初期のデザイン案では6階にはエントランスがありませんでした。
里山 そうですね。エントランスは、かなり変わった部分かもしれません。

吉田 最初にこのデザインを見たときは「大胆に変わったな」と思ったのですが、お客様からエントランスの評判がいいんです。ガラス張りで見える執務スペースはスケルトン天井になっていますから、広さを感じますし。もともと、このビルは天井が低めなのですが、それを感じさせない空間にしていただけて良かったなと思っています。
里山 ありがとうございます。
―― また、エントランスを抜けてすぐに目に入る、ハンモックやうんていも気になりました。これはどういった経緯で作られたのでしょうか?
外山 チームの中で「ぶら下がりたい」「肩甲骨をほぐしたい」という意見が上がったのがきっかけです。
木暮 ビジョナリーセッションのときですよね。
外山 そうでしたね。当社は“健康経営”を推進しているので、あってもいいなと思いました。
吉田 業界全体を見ると、健康優良企業を取得されている企業が多いのですが、当社ではこれまでそういった試みがなかったんです。なので、リニューアルを期に推進・強調していこうと考え、あのスペースができました。
里山 実は、こういうスペースって「ほしい」と言われたとしても実現することはあまりないんです。人事の方や総務の方から「本当に要るの?」と言われて、なくなってしまうことが多いので。会社全体で「必要」と思っていただけたからこそ、実現できました。
外山 お昼になると、ハンモックでゆらゆら揺られたりしますよ。
山本 うんていも、帰る前にぶら下がっている人はいると思います。太くてつかみづらいという意見もあるようなんですけどね。
木暮 そうなんですね。うんていとして使おうとすると大変でしょうから、せめてぶら下がってストレッチだけでもしてもらえたらうれしいです。

―― 執務スペースの奥にある社長室には、賞状がずらりと飾られていました。ガラス張りだから、目に入りやすいですね。
里山 改修前のオフィスにも、賞状がたくさん飾られていたんです。壁2面を使って、ズラッと並んでいたのが本当に壮観でした。なかには天皇陛下からおくられたものもあったくらいです。最初は、「改修後も飾るべきかどうか」「飾ることで雰囲気が変わってしまうのも…」という議論はあったと思うのですが、これを見せないのはもったいないというのが、僕の意見でした。創業75年という歴史のある会社なので、新しいオフィスになっても格式はちゃんと感じられたほうがいい。なので、オフィスに奥に賞状を置いて、手前では今どきの働き方をする社員がいるというバランスを意識しました。
吉田 もう大満足です。現社長も先代も地域貢献を目指していまして、その証があの賞状に表れていますからね。
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―― このインタビューで使わせていただいている会議室の壁には、年表が貼られています。これも吉田建材様のレガシーを感じるデザインですね。
木暮 そうです。オフィスは新しくなっても、積み上げてきた歴史はちゃんと感じてほしいですから。
山本 エントランスの横にある会議室なので、一番利用頻度が高いです。私たちとしても、当社の歴史を見てもらいたいので、お客様との打ち合わせはなるべくこの部屋で行なっていますね。

―― そして、何度か話題にあがっている3階についても。最初は3階でお客様を迎えるという案があったそうですが、今は会議室をメインにした社員専用のスペースになっていますよね。どんな流れでこの形になったのかお伺いできますでしょうか。
山本 当初から、あまりお金をかけずに当社のコンセプトを感じられる場所として作りたいと考えていました。
外山 でも、チームメンバーはなかなか答えにたどり着けなかったんですよね。
木暮 さきほどお話したとおり、最初は貸す案もあったくらいなので、貸会議室、セットアップオフィス、自社の執務スペースとパターンを提示して、それぞれの収益性や工事のコスト、メリット・デメリットなどをリスト化して検討材料にしていただきました。そのなかで、一番現実的なものに絞っていきました。

いくつかの項目をパターン別に比較(提案資料より)
里山 その結果、6階をメインの執務スペースにして、3階には会議室を作るというパターンになりました。3階で働く人が出てきてしまうと、コミュニケーションが取りづらくなってしまいますからね。なので、会議室以外のフリースペースも設けているのですが、働くことを想定した作りにはしていません。御社の事業内容であるコンクリートをイメージした空間にしました。

吉田 今は事業拡大を進めているので、人数が増えている一方でして。これ以上増えるのであれば、いよいよ3階を執務スペースに変えなければいけないかな、と考えているところなのですが、今の3階の使い方なら比較的変更しやすいでしょうか?
里山 そうですね。フリースペースにおいているコンクリートブロックを移動すれば、席を作れるので変更にも対応しやすいはずです。
吉田 それはよかった。今となってはこの使い方にしてよかったです。

縦横均等に配置したコンクリートブロックを使用
“信頼”と“実績”を体感できる「土台」をテーマとした3Fの空間
―― 改修後のオフィスについて、使い心地はいかがですか?
山本 とてもいいと思います。お客様からの反応もいいですし、さきほど里山さんも仰っていましたがなんとなく勢いを感じるんです。社員の「チャレンジしたい」という思いが、言葉だけでなく雰囲気でも伝わってきている気がしますね。
吉田 採用につきましても、「このオフィスが決め手になった」という人が出てきています。
山本 それに、本当に優秀な人が入ってきているんですよ。
里山 それはよかったです!
木暮 弊社では、デザインを提案するうえで「外からどう見られるか」を意識しているつもりなので、それがちゃんと外部に伝わっているのはうれしいです。
外山 社員の反応もいいですよ。前のオフィスは、部署によって島が分かれていて、間にキャビネットで壁が作られていたので、他部署の方とほとんど話すことがなかったんです。でも今は、みんなで一緒にお昼を食べています。前よりもずいぶん仲良くなった印象です。

山本 総務と営業は、隣に座って仕事をしていますし。以前よりもいろんな話ができるようになっているんじゃないでしょうか。
吉田 それに、この取材を受けるにあたって1年ぶりくらいに当時自分で作ったオフィス改修案の資料を見たのですが、今考えると僕が考えていた案とできあがったものが非常に近いんです。
山本 そうですね、雰囲気がなんとなく。
里山 おそらく、僕たちはその資料を見ていないと思いますが、吉田様が考えた“リビングオフィス”というテーマを共有していただけたから、近いものが出来たのだと思います。
吉田 そうなんでしょうね。なので、当時は揉めましたけど(笑)、なんだかんだ良かったなと思っています。ただ、しいて言うなら、エントランスの空調がないので早急にどうにかしたいですね。エレベーターホールからくる空気が、意外と暑いんです。
木暮 そうでしたか。エントランスの両隣にある執務スペースと会議室から、空調の空気を送るのがいいかもしれませんね。
山本 ぜひそうしましょう。あと先日、このオフィスでCM撮影をさせてもらえないか? といった依頼もいただきました。役者さんやエキストラさんに加え、スタッフさんが40名くらい来るというお話だったので、さすがに入りきらないと申し上げて実現には至らなかったのですが。おそらく、ユニオンテックさんのホームページの事例を見たのだと思いますよ。
木暮 そうなんですね。また何かの撮影に使われることがあったら、ぜひ教えてください!

Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto