【オフィスメイキングnote.】株式会社ビジュアルアーツ様

(左から順に)
株式会社ビジュアルアーツ 執行役員CTO  山田耕輝
 様
同 執行役員 営業本部 本部長/リーガルオフィサー 一ノ宮知貴
 様
同 代表取締役 天雲玄樹 様
ユニオンテック株式会社 スペースコンストラクション事業部プロジェクトマネジメント3部 チーフコンストラクター 清水隆之
同 ワークスペースプロデュース事業部 プランニング&デザイン部 アライアンスプロデュースG チーフデザイナー 樫尾瑞季

東京支社と大阪本社で違う印象にしたいけど、ベースは地続きのものにしてほしいという思いがあり、その上で「ゲーム会社らしくしてほしい」というオーダーをしました。すごくきれいですし、オンラインでミーティングするときに、もう背景が映え映えです(笑)。だけどそんなにうるさくないというか、気にならず、すごくいいバランスを取ってくれたなと思います。

株式会社ビジュアルアーツ 代表取締役 天雲玄樹 様


“こんな会社にしたい”と思うイメージ、社員の働き方改善など、お客様が思い描くご要望に対し、内装デザインを通してユニオンテックがどのようにお応えしたか? プロジェクトの裏側にある“ストーリー”を覗くことができる「オフィスメイキングnote. 」の第5弾。

今回ご紹介するのは、柔軟な発想力と遊び心を必要とするゲーム会社・株式会社ビジュアルアーツ様。大阪・難波、しかも“大阪のヲタロード・日本橋”の傍らという、ゲーム会社にとって最高の立地に大阪本社の移転を決められ、ユニオンテックに内装を委ねていただきました。その条件は、癒しのスペースとゲーム会社らしさを兼ね備えたオフィス空間。真逆とも思える2つのオーダーを実現化するために、どんな試行錯誤が成されたのか座談会で振り返ります。

 

大阪のサブカルチャーの街・日本橋界隈で刺激を感じるオフィスに!

—— 1991年に大阪で設立されたビジュアルアーツ様。33年の歴史の中で、オフィスの移転は何回目となりますか?(以下、敬称略)

天雲 3回目です。移転理由は、単純に狭くなったというのが一番。移転前は大阪市北区・中津の近くだったのですが、 社員数が増えて分室を借りる状態で、そことのコミュニケーションにも支障が出ていました。

山田 その分室がNU茶屋町の近くで、本社から歩いて15分ほどかかるんです。その15分がちょっと頑張らないと行けない距離感で、「これは良くないよね」という思いが社員の間でもありました。

天雲 前のオフィスは小さめのフロアが各階にたくさんある、縦に長いビルだったんです。私は常に階段を行ったり来たり(笑)。ちょっと体力的にしんどいなということもあって、じゃあ両方合わせ技で「もう引っ越しましょう」ということになりました。

—— 新オフィスをなんばパークスに決めた経緯をお聞かせください。

一ノ宮 去年9月頃に「引っ越しましょう」と決まり、とりあえず物件を見に行くことにしました。結構、いろんなところを紹介してもらいましたね。

天雲 東京支社のオフィスの改装や移転を山田さんが担当していたので、そのツテもあり大阪も探してもらって。

山田 そうでしたね。でもワンフロアで300坪ぐらいという条件に沿ったところがあまりなくて。

天雲 階段で行き来することなく、ワンフロアに全員が集まれて水平移動でみんなと話せることも新オフィスの大事な条件でしたからね。

山田 結局6軒ぐらい上げてもらいました。その中で、ここが1番良かったんです。

一ノ宮 このビルの担当者さんがすっごい乗り気でしたね。南海電鉄さんなのですが、非常に熱心な方で好意的で。

天雲 見学に行った時にパワーポイントで「日本橋をオタクの街に!」「ビジュアルアーツさんに、ぜひ入ってほしいんです」と、かなり熱心なプレゼンテーションをいただいて、そこも決め手として強かったです。 “ヲタロード”と言われるサブカルチャーの街・日本橋がすぐ近くにあることは、我々的に近しいタイプの刺激がかなりあるなと感じました。

—— たしかにオフィスのすぐ眼下に日本橋の街が見えていますね。

天雲 私は眺望も気に入っているんです。開発で煮詰まってくると、景色を見て気分が和むことがあると思っていて。ここは周りに高層ビルがそれほどなくて、南に通天閣、西に大阪湾から大阪南港ATC(アジア太平洋トレードセンター)が見渡せるので、気分転換になるんじゃないかと思っています。

—— 大阪本社の内装は、コンペはせずにユニオンテックに決めていただいたそうですね。

一ノ宮 東京支社の移転でお世話になったご縁があり、ホームページも拝見して、いろんなパターンの企業に対応していただける会社なんだという印象を持っていたので、大阪本社もユニオンテックさんにということになりました。

山田 東京支社の時も密にミーティングをやっていただけたので、話しやすいこともありましたね。

天雲 元々お付き合いがあるところだと「この会社さんだったらこうなるんだ」という想像がつきやすくて、お話もしやすいですから。

山田 実は、東京支社のときはユニオンテックさんを含む3社を見ていたんです。他の2社は、コスト的にリーズナブルな業者さんと勢いを感じる業者さん。それぞれにお話を聞いているうちに、ユニオンテックさんがうちの「落ち着いた感じにしたい」という思いと一番合致したというか。うちが投資している会社、 バイブリーアニメーションスタジオさんもユニオンテックさんが手掛けていたことも調べていたので 「一番上手いことやってくれそうだな」と思いお願いしました。

 

ゲーム会社らしさとリラックスを兼ね備えた空間にしたい

—— では、大阪本社の内装はどのように決めていかれたのでしょう?

天雲 まず前のオフィスで一番足りていなかったのが会議室だったので、「会議室を多くしてほしい」「会議室を簡単に使えるようにしたい」とお願いしました。会議室をいくつか並べるように作って、活気のある議論ができるようにしたかったんです。その場でパッと会議室やミーティングスペースへ行って、話し合って解決する。そんなことができるようにしたいなと。

樫尾 このお話をいただいたので、作業の最初の取っ掛かりは、会議室の配置からでした。デザインより先に「どういう配置にしていきますか?」「どれくらいの人数が入れるようにしますか?」とお伺いして、使い勝手を考えて設計から始めましたね。

—— 実際に出来上がった会議室の使い勝手は、どうでしょうか? 

天雲 非常に使いやすいですね。いざという時にすぐ人と話せるというのがすごく快適ですし、仕事の効率を上げているんじゃないかと思います。

一ノ宮 2〜3人のミーティングだったら、ここ(撮影場所)でできますからね。

天雲 そうですね、ちょっと話したい時にこのスペースは便利ですね。

—— 全体的な内装イメージはどういったものをお持ちだったのでしょうか?

山田 “ナチュラル&グリーン”がコンセプトだった東京支社のデザインが良かったので、「大阪もあんな感じにしよう」がスタートでした。

天雲 東京と大阪で違う印象にしたいけど、ベースは地続きのものにしてほしいという思いはありました。その上で「ゲーム会社らしくしてほしい」というオーダーもしました。

山田 「ここ、本社やし」みたいなところで、ちょっとポップにしてみるのもいいかもという話になりましたね。

——「ゲーム会社らしさ」という点について、樫尾さんはどのように取り組まれたのでしょうか?

樫尾 東京支社の「ナチュラルさ」にプラスで「ゲーム会社らしさ」というご要望だったので、「ゲーム会社らしさ」に対するイメージのすり合わせが大変だったなと個人的には思っています。最初は「どういう方向性ですか?」とお尋ねしながらイメージ写真でお話させていただいていました。

一ノ宮 その後、6点ぐらい作っていただいた記憶があります。

天雲 最初の案にゲーミングマシーンみたいな、黄緑とか赤のネオン管が走っているサイバー系のデザインも提案してくれてましたよね。あれはあれで、面白かったな。

ご提案したゲーム会社イメージの一部抜粋

—— でも、方向性が少し違っていたのでしょうか?

天雲 ここは従業員が疲れた時に、息抜きしてまた仕事に戻る「リラックスできる空間」にしたかったんです。そういう意味で、きつく感じる赤やデザインを外していただく方向で話を進めました。

樫尾 一番悩んだのは、ベースのカラーテーマをどうするかでした。癒し的にグリーンベースで進めていましたが、途中で「コーポレートカラーなのでやはり赤を入れるのはどうですか?」と私の一存で入れさせていただいて。

山田 最初は、天井をスケルトンで真っ赤に塗るアイデアをいただきましたよね。

樫尾 はい。「スケルトンはどうですか?」と、こちらから提案させていただきました。

山田 我々も「スケルトン、めっちゃいいですね」って、最初は言っていたんですよね。

天雲 見栄えはカッコいいですよね。けど、コスト面と実際の施工面を考えると色々ハードルがありました。

山田 だんだん判断軸が現実的になってきて(笑)。

樫尾 そんなときに「もしかしたらスケルトンで赤く塗った状態と天井の面を赤くベタ塗りした状態は、見た目の印象が変わらないんじゃないか」ということに気づいて、「1度、絵にしてみましょうか」と、スケルトンと面のベタ塗りの両方のパースを描かせていただきました。天井を抜くとコストがかかりますが、面を塗れば低予算で収まりますし。

天雲 実際に2つのパースを比較してみると、天井の面を塗ったパースに違和感がなかったんですよね。

樫尾 そもそも天井が低いオフィスではないので、スケルトンでなくても赤がいい感じに映えたんだと思います。

天井のスケルトンver.とベタ塗りver.比較パース

—— 施工管理を担当する清水さんは、ドキドキしていたんじゃないですか?

清水 そうですね、天井をスケルトンで赤く塗っちゃうと、「原状回復してほしい」と言われた時に、戻すのが大変かなというところがあったので、「費用が掛かりますけど、大丈夫ですか?」という懸念はありました。

—— 結果としてスケルトンはやめて、天井を赤く塗ることにされたと?

天雲 はい。ちょうどいいところに収まったということですね(笑)。  

一ノ宮 ずっといるオフィスなので、赤が強いとしんどいんじゃないかという頭があったのですが、いざ赤を入れると「これはこれでいいね」となりましたよね。

天雲 たしかに。先ほど話したように、ベースになる壁の色や木の質感は東京と一緒だけど、受け取る印象は違う形になりました。

山田 家具や机も統一しているので、イメージは近いところにあるんですけどね。

天雲 ナチュラルさに赤のビビッドさがちょうどいい具合に収まって、結果的に東京はシック、大阪はポップなニュアンスの違いができました。

—— カーペットにも赤が入っていますが、ここも最初は違う色で検討されていたのでしょうか?

樫尾 最初はグリーンで進めていました。

天雲 やはりカーペットも赤はきついんじゃないかと思っていたのですが、「天井と合わせて曲線を描いたら、 赤だけが目立ちはしないんじゃないか」と途中でアイデアとしていただいたと思います。

樫尾 天井が赤の方向で確定してきた頃に「ガチャガチャ感が出すぎないようにするために、どうすればいいか」という話になりましたよね。そこで、最初は天井と合わせない床のパターンをいくつかお出しさせていただいたのですが、落ち着きの方向性に持っていくのであれば、天井と合わせた方がいいかなと思って、ご相談させていただきました。

天雲 まだスケルトンだった時のオフィスに来て、実際にカーペットを3、4枚敷いてイメージすることをやっていただきましたよね。

一ノ宮 最初、パースで見たときには結構派手な赤に見えて「これ、ほんとに大丈夫?」って、ちょっと不安があったんです。やはり画像の色だけではわからないところがあるんですよね、こちらには。

樫尾 そうですよね。私としては「たぶん、実物を見ていただくと大丈夫なんじゃないかな」と思っていました。ちょうどB工事さんとの兼ね合いで、この場所でお打ち合わせする機会があったので、実際の日の当たり方と一緒に見ていただくことができたのでよかったです。

天雲 あれは非常にわかりやすかったですね。現場でちゃんと実物を見るのはイメージがつきやすくて、納得感もありました。

—— 天井に吊されたリングも特徴的ですが、施工面で大変だったところはありますか? 

天雲 これ(天井のリングを見上げて)、1個、1個作っているわけですよね? 

清水 作っていますね。パースのイメージと照明器具の参考写真を見ながら、施工性と安全性を考えて。ワイヤーで吊るすとエアコンの風で揺れたり、ここは高層階でもあるのでビルの揺れもあるので、そこを考慮してボルトで吊って安定させることにしました。

—— 当初はワイヤーで吊るす方向だったのでしょうか? 

清水 はい。ですがワイヤーだと本数的にも多くなる問題があったし、ボルトで吊った方が見え方がきれいかなというので、今の形になりました。

天雲 交換するときは、どのようにするんですか? 

清水 LEDなので、基本的にそんなにすぐに切れることはないですね。

天雲 じゃあ、割ともう10年以上持つんでしょうか?

清水 そうですね、今はこういう細い器具のものもあるので、すぐに変えようと思えば変えることができますよ。

—— 実際の仕上がりを見て、いかがですか?

天雲 すごくきれいですし、オンラインでミーティングするときにこのスペースを使うと、もう背景が映え映えです(笑)。天井の映える感じが相手に見えますし、角度によって空間の表情が変わる造りなので「本当に(社内に)いるんですか?」って、相手に聞かれるほど。だけどそんなにうるさくないというか、気にならない。

——「ゲーム会社らしさ」を形にできたということでしょうか?

天雲 そうですね、すごくいいバランスを取ってくれたなと思います。

 

スケジュールを予定どおりに収めてもらって安心しました!

—— ちなみにオフィスは土足禁止にされていますが、これもリラックスへのこだわりでしょうか?

一ノ宮 うちは、創業時からずっと土足禁止なんです。

天雲 たしかに土足禁止のオフィスはあんまりないですよね。昔は制作が大変だったときに床で寝ることがあって、たぶんそこから「なるべく清潔にしよう」という発想で土足禁止にしていたんじゃないかな。

山田 東京オフィス移転のときに「このタイミングで靴にするという手もあるが」とみんなに聞いたことがあるんですが「土足禁止がいいです」って。なぜか全員一致でした(笑)。

一ノ宮 大阪でも土足禁止をどうするかという話が出ましたよ。でも最終的に土足禁止に決まりましたね。

天雲 ガチッとしているより、ちょっとゆったりした方がいいアイデアが出るみたいなところはあるのかもしれません。

—— 足元からのリラックス、開放感でしょうか?

天雲 はい、本当にそれです! 

—— 土足禁止は、設計にどう影響しましたか? 

樫尾 土足禁止のオフィスの設計は初めてでした。最初は知らずに土足設定で進めていたのですが、途中でお話をいただいて。来客が会議室を利用する場合や、社員さんの出入り口が限定されるのは使い勝手的にどうなのか、すごく心配したのですが、社員さんは上履きでビル内を移動されると聞いてからは、神経質にならずに設計を進めることができました

一ノ宮 最終的に玄関のロビーで、履き替えましょうとなりましたね。

天雲 靴を履き替えるフロアをきれいにしたいということで、そこも色々アイデアを出していただきましたよね。玄関からの動線も含めてお願いしたと思います。

—— 今回、ユニオンテックに依頼してみての満足度はいかがでしょうか?

一ノ宮 非常に満足のいく工事をしていただけました。昨年10月に話が上がってから、引っ越しする今年6月24日まで、ずっと掛かり切りで毎週定例会をやっていただいて。いろいろ親身になってお話を聞いていただいたり、面倒なところも色々と汲んで「じゃあこれで」と次々提案をしていただけたりしたのは、非常にありがたかったです。

天雲 我々はゲームを作っているので、常に複数案で検討することが多くて、結果そのやり方をユニオンテックさんにお願いすることになってしまって、いろいろと大変だったんじゃないかなと思います。「この部分はA案がいいけど、こっちはB案がいい。でもC案のここも入れてほしいな」みたいな。

—— 樫尾さんとしては、“いろいろ大変”でしたか?

樫尾 もともと私は店舗設計をやっていて、店舗はそのパターンが多かったんです。なので「あ! こっちのパターンだ」と思ってご提案させていただきました。

天雲 店舗作りに近かったんですね(笑)。

—— そう理解できたら、樫尾さんの経験値が生かせたのではないですか?

樫尾 はい。何パターンか出し始めてからのスピードが早かったんじゃないかと思います。

一ノ宮 素晴らしいと思ったのが、開始当初に出たスケジュールがその通りに終わったことです。

天雲 そうだよね。年明けぐらいは「これ、終わらないんじゃない?」って若干思っていたんですけど(笑)

清水 大体のスケジュールとやることも決まってきて、コストも調整して、僕としてはまあ大丈夫かなとは思っていました。

天雲 ちゃんと予算もスケジュールも予定通りに収まるというのは、なかなか稀じゃないですか? きっとユニオンテックさんは、いつもそうやってらっしゃるんだと思いますが、バシッと収めてもらえたので安心しました。

—— 今後、機会があればユニオンテックへのオーダーはいかがでしょうか。

天雲 ぜひお願いしたいです。もう少し会社が大きくなったら、次は東京オフィスの移転かな。

山田 また、そのうちにご相談のお話を持っていくかもしれません。

樫尾 ぜひ、お待ちしております!

 

 

Photo=Chie Fukami Interview=Naomi Sato

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