【オフィスメイキングnote.】株式会社HAL様

(左から順に)
ユニオンテック株式会社 
プランニング&デザイン部 プランニングG 山本泰輔
株式会社HAL様 管理本部 副本部長 
小森新 様
同 代表取締役 寺西信夫 様
同 人事採用部 副部長 広報部 部長 村松彩香 様
同 管理本部 本部長 宮崎俊介 様
ユニオンテック株式会社 プランニング&デザイン部 デザインG シニアデザイナー 副島嗣正

オフィスのセンスが良いと、広告の価値が上がりますし、働く人の意識も変わりますから。ただの働く場所ではなく、いろんな面からうちの会社に貢献してくれるオフィスになりました。だからこそ、必ず次もユニオンテックさんにお願いしたいですね。

株式会社HAL 代表取締役 寺西信夫 様


“こんな会社にしたい”と思うイメージ、社員の働き方改善など、お客様が思い描くご要望に対し、内装デザインを通してユニオンテックがどのようにお応えしたか? プロジェクトの裏側にある“ストーリー”を覗くことができる「オフィスメイキングnote. 」の第4弾。

今回は、ユニオンテックをご利用いただくのは3度目となる株式会社HAL様に、初回ご利用いただいたオフィス移転の話から、今回の丸の内への移転における内装デザインのご要望、そして完成したオフィスのご感想など、たっぷりとお話を伺いました。

 

立地、広さ、グレード…全てにおいて好条件の物件!

―― 今回は、何度目の移転なのでしょうか?(以下、敬称略)

寺西 4度目です。ユニオンテックさんとは2度目の移転からのお付き合いで、もう3回デザインをお願いしていることになります。

宮崎 今回の移転を決めた理由は、従業員の人数が増えて手狭になったから。物件の更新のタイミングとも重なって、これを機にもっと広いオフィスに移ろうという話になりました。

寺西 前の物件は、どのくらいの広さだっけ?

小森 80坪、240平米くらいです。

寺西 次は、その倍以上の広さを条件に探そうと思っていました。理想は、3倍くらいの広さの物件。で、もともとオフィスを構えていた恵比寿のビルの上の方の階のほかに、汐留、丸の内でも何箇所か見て。全部で10件くらい内覧して、一度は別の物件に決めようかと思っていたんです。そうしたら、小森さんが。

小森 この丸の内パークビルディングに空きがあると知ったんです。実際に内覧してみたら、みんなの反応もすごく良くて。

―― こちらの物件は皆さんにどんなところが刺さったのでしょうか?

村松 私は、「山手線内」という条件を出させてもらっていたので、そこが押さえられているところが大きかったですね。あとは、窓が大きくて開放感があるところも良いなと。他の物件は、窓があっても隣のビルとの感覚が近くて暗い印象を受けたんですが、ここはしっかり光が入ってくるんです。シンプルに日光に当たると元気が出るので、ここも個人的には高ポイントでした。

宮崎 それに、ビル自体のグレードも高いと思うんです。今回の物件選びでいろいろ見た中でも、全然違いました。

寺西 エントランスで言うと、大手町にも良いビルがあったけどね。

宮崎 そうでしたね。あそこは、4階分くらい吹き抜けになっているエントランスが豪華でした。ただ、100坪くらいしかなかったんですよね? なのであのときは、「ここを借りて、移転ではなく拠点を増やす形にしようか」という案まで出ましたが、やはり一点に集約させたほうが良いだろうということで、広さも十分な丸の内パークビルディングになりました。

村松 ビルのグレードが高いからか、設備も整っているんです。従業員専用のおしゃれなラウンジがありますし。

小森 あと、今でこそ需要は低いですが、喫煙所もすごくきれいなんですよ。

宮崎 アンティーク調の家具が置かれていて、ソファまであって。そこで仕事をする人が出てきてもおかしくないくらいですね。

寺西 丸の内パークビルディングに決めると家賃的に無理をすることになるんですが、ここにいる宮崎さん、村松さん、小森さんはみんな「絶対にここが良い!」と。さらには、三菱地所さんも「一番のおすすめ物件です」と太鼓判を押していたので、こちらに決めました。

 

9年前のコンペで出会ったHAL様とユニオンテック

―― ユニオンテックが初めてHAL様のオフィスデザインを手掛けたのは、2015年。広尾から恵比寿のオフィスビルに移転したときですが、このときのコンペでユニオンテックを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

寺西 コンペには4社くらい参加していただいたんですが、ユニオンテックさんはデザインがよかったんです。CGで、完成イメージを見せてくださったじゃないですか?

副島 そうでしたね。

寺西 靴を脱いでくつろげる部屋とか、湾曲した壁といったデザインを提案していただいて、すごく斬新で。見た瞬間、「あ、この会社にお願いしよう」と思いましたね。最終的に、靴を脱ぐ部屋はどうしてもお金がかかりすぎるので作れなかったんですが、ガラス張りの会議室も床の色合いも、バーカウンターもどれもすごく良かった。それからすぐに同じビルの別のフロアに移ることになってしまい、あのオフィスに居られたのはたった3年くらいだったんですが、今振り返ってみても「惜しいことをしたな」という気持ちです。すみませんでしたね。

副島 いえいえ!

寺西 ともあれ、フロアを移ったときもユニオンテックさんにデザインをお願いして。そこもすごく素敵なオフィスにしていただいたんですよ。だから今回も、お願いするならユニオンテックさんしかいないと決めていました。ほかの業者さんには一切連絡していません。次に移転するときも、お願いしますね?

一同 (笑)。

―― 早くも予約が入りましたね!

寺西 だってこんなに素敵なデザインにしていただいて、ありがたいですから!

副島 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします!

 

圧倒的信頼関係のもと始まったプロジェクトで「一回スベッた」

―― 今回のオフィス作りに関して、HAL様からは「斬新なオフィスにしたい」とのリクエストをいただいたかと思います。こういった要望に至った経緯を教えてください。

宮崎 私がオフィス移転に関わるのは今回が初めてなんですが、これまでのユニオンテックさんの仕事ぶりを知っている社長からすると、「全然想像のつかないものを出してくれる」という期待感があって。ざっくりとしたリクエストでも、そこからいろんな意味を汲み取って面白いデザインを作ってくださるだろうと考えて“斬新なオフィス”というリクエストをさせていただきました。とはいえ、「丸の内らしさは付け加えてほしいです」といった要望もいくつかお伝えしました。

副島 そうでしたね。“丸の内らしさ”と、“女性の活躍”、あと“採用強化”といった要素を含めて「斬新なオフィスに」というリクエストでした。ただ、こういった抽象的な言葉のみのリクエストはあまりないんです。

寺西 ほかの案件は、もう少し具体的なんですか?

副島 ご依頼時によくあるのが「スタバっぽくしたい」という感じのご要望があがるなど、ある程度はっきりとした共通のデザインイメージが出来ていく流れが多いですね。「斬新」だと、それよりもっと大きな枠の中で考えることになるので、ハードルが高いです。

宮崎 今回の窓口は私と小森さんがやっていたんですが、社長の「斬新」のイメージが私たちもはっきり理解できていないから、そのままではユニオンテックさんとのお話がしづらい気がしていて。社長には「『斬新』の意味を、もうちょっと具体的にしたい」という話をしたんです。でも「むしろそれがいいんだ」と。変にイメージを伝えてしまうと、それにそったデザインになってしまうという意図でしたね。

副島 僕自身も、それだけ信頼していただけているんだろうと思って臨んでいました。

寺西 ただ、ひとまず図面を見させてもらったときは、よく分からなかったんですよ。斬新さが。

副島 そう、一回スベッたみたいな感じになりましたよね、あのとき(笑)。事前の打ち合わせで、「もともとある会議室は生かしましょう」、「置かれたままになっているデスクも使えそうですね」、「でもこれは要らないですね」といった話をしていて、それを踏まえたうえで図面を作り、お見せしたんです。あくまでも「この配置で機能を満たしていますか?」という確認のためのレイアウト図面だったんですが、「斬新じゃないかも…」という話になって。

―― 図面上ですから、赤とゴールドの壁など、色の情報は伝わりづらいですもんね。

寺西 そうなんです。だから違う気がすると思ってしまったんですよね。後日CGパースを見せていただいたら、配色もちゃんと分かって印象が全然違って。「とっても良いと思います」と即OKをさせてもらいました。

最初にご提案したデザインのCGパース

 

突如スタートしたモニュメント制作計画

―― デザインをする際、どこから固めていったのでしょうか?

副島 それこそ、色から考えていきました。前回、前々回のオフィスはかなりカラフルで華やかなイメージにしていたので、そこをいきなりガラッと変えてしまうと「えっ」となってしまう気がして。ある程度華やかさを残しつつも、少しくすませた色味で構成して丸の内らしい洗練された印象にしました。

寺西 確か、東京駅の要素を入れているんですよね?

副島 はい。駅舎のレンガの色をイメージしています。エイジングをかけながら塗装をしていただいて、味のある風合いにしました。あと、駅舎のアーチにもヒントを得てベンチなどに曲線を使っています。

エントランス

 

―― そういったデザインをCGパースで確認して、着々と準備が進んでいったんですね。またここまでの工程に加え、モニュメントの制作も急遽決まったとか。エントランスから入ってきてすぐに見える“ツリー”がそれですね。

寺西 そうです。小森さんが「ちょっと寂しいかも」という話をして。

小森 会社にいらっしゃった方に、何かしらのインパクトを与えられるようなものが欲しいなと思ったんですよ。

副島 確か、「もう着工しましょう」くらいのタイミングでしたよね?

寺西 (2023年の)年末くらいでしたもんね。あのときは「オブジェ」という言い方をしたと思うんですけど、オブジェと言われても何を作っていいか分からなかったと思うんですよ(笑)。

宮崎 しかも、三菱地所さんも交えての会議の場だった気がします。

山本 そうでしたね! なので、図面を指して「このあたりに新たに作ることになるはずです」という話をした記憶があります。

副島 「これから考えるんですけど」みたいな(笑)。

山本 「今、そういう話になったので」と(笑)。

宮崎 結果、年末年始の宿題みたいな形にしてしまったんですが、年明けすぐにいただいて。

寺西 見た瞬間に「良い!」と思いましたよね?

宮崎 はい。グループチャットを使っていただいた資料を展開していたんですが、ものすごい勢いでみんなが反応して。

寺西 ツリーから垂れ下がったボールも、テーブルがせり上がってトンネルになっているところも、全部の調和が取れていてすごく良いなと思いました。あるのとないのとでは全然違いますよ。

―― モニュメントがこういったデザインになった経緯も伺いたいです。

副島 事前に話をする中で、出てきたワードがツリーだったんです。ただ、だからといって単純に「ツリーを作りました!」では取ってつけたような感じになってしまうし、インパクトにも欠けると思ったので、当初別の場所に置く予定だったビッグテーブルをツリーにくっつけて、サイズを大きく見せつつ「ここで作業できる」という機能性もプラスしました。で、気づいたらテーブルの中央部分がせり上がっていましたね。そうすれば、動線も確保できるので。

宮崎 あのテーブル、実は席ごとにコンセントがあるんですよね。実用性も高い。

副島 ありがとうございます。あとツリーについたボールは、あえて大きさや色の異なるものにしました。

寺西 そう、うちはスキルのあるエンジニアもいればまだそれほどでもないエンジニアもいて、いろんな人が集まって成り立っている会社なんです。それをイメージしたボールだと聞いて、うちの会社に合っているなと改めて思いました。突然の要望にも応えてくださった副島さん、打ち合わせの段取りをうまくまとめてくださった山本さん、本当に優秀ですね。

山本 ありがとうございます。HAL様は決断のスピードがとにかく早くて、何を提案してもすぐに返事をいただけるのでありがたかったです。スケジュールどおりに完工できたのは、HAL様の協力あってこそだと思っています。

―― ちなみに…山本さんはPD(プロデューサー)という立場で今回のプロジェクトに参画していますが、どんな立ち回りをする役職なのでしょうか?

山本 今回のプロジェクトでいうと、HAL様が望まれているデザインになるよう、弊社デザイナーとすり合わせをしてより良い形にしていく仕事です。なおかつ、HAL様とのやり取りをできるだけストレスフリーな環境で行うというステップも重視していますね。
本来は、企画コンセプトの段階から携わらせてもらうことが多くて、映画でいう監督やプロデューサーのような立ち位置で全体を見るような立場なのですが、HAL様はリピートでご連絡いただいていることと、副島さんとの関係がしっかり構築されているので、プロジェクトを主導するというよりは“寄り添う”形だったかと思います。

 

コストではなく“投資”――社内の意識が高まるオフィスに 

―― モニュメントのお話がありましたが、ビッグテーブルの奥の壁に書かれた「FOR ENGINEERS(エンジニアのために)」の文字も気になります。

副島 最初に提案したときは何も書いていなかったんですが、「このオフィスを撮影するとき、あの壁が写るアングルで撮るだろうな」と思いまして。だったら、格好良いグラフィックを入れたいと思い、加えました。「エンジニアのために」は、HAL様のホームページにも大きく書かれている、寺西社長の言葉。こういうワードがバンと入れば、会社説明もしやすいのではないかと考えました。

寺西 色合いもセンスもすごくいいですよね。遠くから見ても目立ちますし。

宮崎 それこそ、現在のホームページには「FOR ENGINEERS」の部分をトップに使わせていただいていますが、モニュメントも含めてやっぱりインパクトがありますね。

―― 本当に満足していただいているんですね。

寺西 本当にもう、大満足です。お世辞じゃないですからね?

副島 ありがとうございます(笑)。

―― そのお気持ちをありがたくいただいたうえで、あえて「ここはちょっと気になるな」と思っているところも聞いてみたいです。

村松 唯一挙げるなら、今座っている会議室の椅子が高いことでしょうか。宮崎さんと小森さんが家具選びに同行してくれたんですけど、2人とも大男だから(笑)。私は身長が155cmなので、厚底を履かないと浮いちゃうんです。そこが気になるくらいかな。

副島 会議室はゆったり座っていただきたく海外製で選定したので、女性には少し大きかったですね。そういったご意見も気兼ねなく言っていただき、大変ありがたいです。

宮崎 でも高級感があるし、僕らだけではここにこの色の椅子を合わせることはできなかったですよ。

寺西 あとはあれかな? このテーブルを囲むようにカーテンがついているんですけど、結構薄い素材なので別の生地でも良かったのかなとは思いました。でも、もう慣れましたけどね。それに、私は嫌だと思ったらその場で嫌だと言いますし、ここまで何の不満もなく進められたのは本当に満足しているからです。

―― こちらに移転されてから1ヶ月半ほど経ったかと思いますが、実際に使ってみていかがですか?

寺西 求人に対する応募者がすごく増えました。この前も良い方がいっぱい来られて、5名も採用が決まりましたから。ホームページに、このオフィスの写真を載せていることが大きいと思いますね。あと、アクセスが良くなったのもあるんですが、全体的に出社率が上がりました。テレワーク可能な営業も、結構出社している気がします。

村松 採用も、コロナ禍以降はオンライン面接で事足りるんですが、内定をご承諾いただいたあとにあえてオフィスに呼んでいます。帰属意識を高めるためなのですが、このオフィスはその意味があると思いますね。

 

―― 現代では、オフィス作りは単なるコストではなく“投資”と考えている方も多いようです。

寺西 私もまさにそうだと思っています。オフィスのセンスが良いと、広告の価値が上がりますし、働く人の意識も変わりますから。ただの働く場所ではなく、いろんな面からうちの会社に貢献してくれるオフィスになりました。だからこそ、必ず次もお願いしたいですね。
実は…移転して早々にもう手狭になりつつあって。このオフィスはそのままに、拠点を増やす計画を立てているんです。といっても、お金がかかるから何年後になるか分かりませんが。例えば、渋谷にここの1.5倍くらいのオフィスを借りて、研修センター兼フリーアドレスのオフィスを作りたいなと思っているので。ぜひお願いします。今回も素晴らしい仕事をしていただきました。

副島 デザイナー冥利に尽きます。ありがとうございました!

 

 

 

Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto

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