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ユニオンテック株式会社 ワークスペースプロデュース事業部 ワークスペースプロデュース1部 シニアデザイナー 田邊敦子
SP総合経営グループ 代表取締役 新谷和宏 様
社会保険労務士法人パーソネルワークス 代表社員 大野雅也 様
株式会社ライヴェックス 渋谷営業所 法人営業1部 営業一課 部長 和田智 様
「ご提案通りのものを作ります」と言い切ってくれたのは大きかったです。 我々も社労士と税理士をやっているのでお客様から依頼を受ける立場ですが、お客様に対して“言い切る”なんて、相当自信がないとできないことなんですよ。それをよく分かっているから、じゃあお願いしようと思いました。
社会保険労務士法人パーソネルワークス 大野雅也 様
コンペは初めてなので、プレゼン自体をお聞きするのも初で。良くも悪くも期待値が高かったんです。ただ、そんな状態で聞いても期待以上のものを提示してくれたのがユニオンテックさんでした。SP総合経営グループ 新谷和宏 様
“こんな会社にしたい”と思うイメージ、社員の働き方改善など、お客様が思い描くご要望に対し、内装デザインを通してユニオンテックがどのようにお応えしたか? プロジェクトの裏側にある“ストーリー”を覗くことができる「オフィスメイキングnote. 」の第3弾。
なんと、今回のクライアントである社会保険労務士法人パーソネルワークスの代表社員 大野様とSP総合経営グループの代表取締役 新谷様は、新卒入社した会社の同期で、長きにわたるご友人。そのお二人が合同オフィスを構えることになった今回の移転計画。お二人の仲の良さから「Buddy Office」というコンセプトを掲げた当プロジェクトについて、中核メンバーの対談を通じ、その裏側を深掘りします。
―― 大野様と新谷様は、新卒入社した会社の同期でお友だち。それが今回の合同オフィス実現につながったそうですね。(以下、敬称略)
大野 はい。パーソネルワークスは、私が代表になってから3回目の移転です。理由は人数が増えたからなんですが、以前のオフィスはコロナ禍に入る直前に契約をして、コロナ禍の真っ只中に入居した物件だったので、その時の経験上すぐに動くのは怖くて。2023年の春くらいまでは一旦様子見をしていたんです。そんな矢先に、新谷も移転を考えていると知ったんですよ。
新谷 SP総合経営グループの以前のオフィスは定借だったので、どちらにせよ出なければいけなかったんです。あと、今5人のスタッフがいるのですが、彼らが入社するときに「社員20人の事務所にするから」と約束して入ってもらっていたのに、事務所には5人分のデスクしか入れられない状態で。もっと広い事務所を構えて「これだけ人数増やせるよ!」と、僕の意志を見てもらわなければいけないと思ったんです。なのでまだ2回目の移転ではあるんですが、あえて大きい事務所にしたいと思いました。
大野 「20人の事務所にする」なんて、今始めて聞いたよ(笑)! それに、私が代表になったときに「売り上げ2億円、スタッフ20人にします」と宣言した話をパクッている気がするんだよなぁ…。
新谷 スタッフにはそういう話をするもんでしょう(笑)!
―― 本当に仲良しでいらっしゃいますね(笑)。とにもかくにも、タイミングがちょうど良かったと。
大野 はい。そこで前回の移転もお願いしていた、ライヴェックスの和田さんに連絡をしてみたら、コロナ禍以降は家賃相場が想定以上に落ちていると知ったんです。
和田 パーソネルワークスさんの前回のオフィスは、ギリギリコロナ禍前だったので価格が上がっていたんですが、今はコロナ禍の影響を受けてグッと下がっているので。探しやすいタイミングだったのは確かですね。
大野 なので移転するなら今かもね、という話になりました。
―― そうして一緒に物件探しへ。NK真和ビルを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
大野 広さも十分で割安で、立地も良かったんです。我々のようなビジネスは、ある意味でアドレスが看板になっているところがあって。弁護士事務所が日比谷や銀座に多いように、社労士や税理士は麹町周辺のエリアが比較的多いいんですよ。実際、彼の事務所はこれまでずっと麹町ですし、うちも前回は麹町でした。そのため、「次も麹町かな」は共通の考えでした。
新谷 今思えば、どこでも良かったんだけどね(笑)。
大野 見栄を張りたかったんだよね。
新谷 あと、「2社で1フロアに入るのはどうですか?」と最初に提案してくれたのは和田さんなんです。
大野 そう、最初は2フロア借りようと思っていたから、「そんなこともできるんだ!」と。ただ、我々2社はグループ会社でもなんでもないんですよ。彼に僕の会社の顧問税理士になってもらっているというつながりこそありますけれど、それ以外のつながりというと僕らが友だちというだけ。しかもうちはプライバシーマークを持っているから、区画をしっかり分けてセキュリティを万全にしないと、オフィスとして成り立たないんです。2フロアならそこは問題ないと思っていたけれど、1フロアでもそれが叶うのかと。例えば、1フロア1社を推奨しているところに2社入ってしまうと、各社に最後まで残っていた人たちが一緒に出ないと、どちらかが閉じ込められてしまうんです。
―― 出入口がいくつもあればそうはならないでしょうけれど、あえて複雑な作りにはしないですもんね。
大野 そこをクリアしないと、僕らが毎日一緒に帰らないといけなくなる。
新谷 さすがにそこまで仲良くないからね(笑)!
大野 そうそう(笑)。ただ、NK真和ビルの物件に関しては1フロアに出入口が3つあって、バラバラに出入りできるようになっているんです。
和田 合同オフィス自体は、10件に1件くらいの割合でお話をいただくので、物件を探す機会はそれなりにありますが、こういった物件は非常に少ないです。ご希望だった麹町で見つけることができたのは、本当に良い巡り合わせでした。しかも、2023年の11月からお渡しできるところもタイミングがばっちりでしたね。
―― では、実際にこのフロアを2社でどのように割ろうと考えましたか?
大野 まず、エントランスや会議室は一緒でいいという話になりました。一緒にすればそれだけ豪華なものにできると思いましたし。
新谷 前の事務所では応接スペースが半分くらいを占めていたんですが、来客がないときでも空き続けていることがもったいないなと、スペース効率の悪さを感じていたんです。だったら一部の会議室・応接室を共有にしてスケジュールをシェアすれば、その分執務室が広く取れるのでは、というアイデアですね。
大野 ビジネスが似てますから、共用にできるところは意外とたくさんあるんですよね。食事をする休憩スペースも共用にして執務室とは離れた場所で食べられるようにしましたし、あとはコロナ禍を通じてお客様とのリモート会議が増えたこともあって、会議室の数を増やしたいなと。お互いに国家資格勉強中のメンバーもいるので、休憩時間や終業後は勉強部屋として開放できるようにとも考えました。
―― そうして共用スペースが定まった状態で、執務室を固めていったのですね。
新谷 大野の趣味は、図面を引くことなんです。だからそのへんは彼が。
大野 そうなんです。素人ですが、移転を何度か経験するうちに覚えてしまって。図面を見て、「この部屋はこのくらいの大きさがいいかな」と考えるのがすっかり楽しくなってしまったんです。なので今回も「この図面でお願いします!」とこちらから提案させてもらったんです。普通、こういうオーダーはしないですよね?
田邊 はい(笑)。
大野 あとで考えたらおかしな話で、普通は図面からプロにお願いするよな、と私自身も思いました(笑)。ただこの物件は、北側が大通りで会議室をそちらの窓側に寄せて配置すると廊下が真ん中でL字になって、そのL字を境界にして割り振るくらいしかパターンがなかったんです。共用スペースも、2社の執務室で挟まないと使いづらいですし。自ずと配置は決まってしまう感じでしたね。そのほかのスペースは、紙を切って図面に貼ってレイアウトを決めて…。
和田 上手に作られるものだなと思いましたよ。
大野 いやいや、レイアウトを考えるのが好きなだけです。素人ですけど「デスクとデスクのあいだはこのくらい空いていないと使いづらい」といったことも分かりますし、「180cm」じゃなくて「1800(mm)」と言っちゃいます(笑)。
大野様が切り貼りされた自作のレイアウト
―― 業者はどのように選びましたか?
大野 和田さんに相談したところ、規模的にちゃんと選んだほうがいいという話になり、初めてコンペを実施させてもらいました。最初は「3社くらい見ようか」と言っていたんですが、結局ユニオンテックさんを含めて2社になりました。理由は、私が図面を作ってしまったから(笑)。何もない状態で渡せば、3〜4社のレイアウトを聞く意味はあると思うんですけど。
和田 いわば、ワンステップ飛び越えてしまった状態なんですよね。
新谷 だから2社とも間取りは同じ。今考えたら、面白くないよねそれ!?
大野 俺も思った(笑)!
新谷 まあまあお金も払っているのにさ、間取りはお前が決めてるんだろ?
大野 俺もそれ思ったね(笑)!
―― ともあれ、デザインに関しては業者にゆだねてくださったのですね。
新谷 デザインはあまり深く考えていなかったですね。
大野 そうだね。ただ先ほども話に出たL字の廊下は、この図面のキモだと私は思っているんです。このクランクがまるでホテルみたいだから「高級ホテルのような雰囲気にしたい」とだけ伝えた覚えはあります。
新谷 あと、僕の会社と彼の会社の執務室は、それぞれのトーンがあるんです。以前から、彼は“白”で僕は“黒”という感じ。特に僕は、自分の事務所を昔ながらの士業事務所っぽくしたくないと思っていて。一見、そう見えないトーンにしたいとも伝えました。
―― そういったイメージを受けて、形にしていくのが田邊さんですね。
田邊 そうですね。ただ話を聞いていくなかで、お二人が思い描いているカラーが微妙に違うと感じていて。木目のパターンをグラデーションで用意して、「どれをイメージしていますか?」とヒアリングしたんです。そうしたら大野さんは赤みのある木目、新谷さんは黒っぽい木目がお好みで、違いがはっきりと見えたんですよ。
予見の整理/木目のカラーグラデーションに関するご提案資料
大野 あれ、すごく分かりやすかったです。複雑な色ってうまく言い表す事ができないですからね。
田邊 ありがとうございます。そうしてイメージを膨らませて、それぞれの執務室はお好みの色味に。共用スペースはお二人の好みのいいところを融合させたようなトーンでまとめて、コンペに臨みました。それが2023年6月ですね。
―― 実際にプレゼンを聞いてみて、大野様と新谷様はどんな印象を受けましたか?
新谷 コンペは初めてなので、プレゼン自体をお聞きするのも初で。良くも悪くも期待値が高かったんです。ただ、そんな状態で聞いても期待以上のものを提示してくれたのがユニオンテックさんでした。もう1社さんの方は、今思えば想定内。「こういう感じだろう」を、ちゃんと出してくれた印象です。 しかもユニオンテックさんは、デザインの意図やストーリーがしっかりしていたし、「隠し扉なんてどうでしょう?」と、遊び心を盛り込んでくれたんですよ。たぶん、話をしてみて僕ら2人の雰囲気を察してくれたんでしょうね。
田邊 その通りです(笑)。
大野 プレゼン資料もそうですよ。『あぶない刑事』のタカとユージがいたんだから!
――「Buddy office」というコンセプトを示すページに、『あぶない刑事』のシルエットがありましたね。
田邊 ヒアリングをさせてもらったとき、「あの2人、仲良しだね」という話になったのでバディをコンセプトにしたんですが、ただ提示するだけでも面白くないので。きっとウケてくれるだろうなという期待を込めて、タカとユージを入れさせてもらいました。
大野 あれは面白かったなあ!
新谷 ユニオンテックさんの社内会議の様子が目に浮かんだよね。
オフィスコンセプトご提案資料
―― 皆さん、総じて今回のオフィス作りを楽しんでいますね。
大野 たぶん個々にオフィスを選んでいたら、こうなっていないはずなんですよ。1人だとふざけられないから。2人で作ることになったから「いいねそれ!」「それも面白いな!」と、ギリギリのキワまで遊べたんじゃないかなと今になって思います。
―― では、ユニオンテックを選んでくださった決め手はデザインやコンセプトでしょうか?
新谷 もちろん、そこも決め手なんですけど…。
大野 なにより、「ご提案通りのものを作ります」と言い切ってくれたのは大きかったです。
新谷 そう、私もそこですね。
大野 我々も社労士と税理士をやっているのでお客様から依頼を受ける立場ですが、お客様に対して言い切るなんて、相当自信がないとできないことなんですよ。それをよく分かっているから、じゃあお願いしようと思いました。
―― 田邊さんは、言い切ってしまって怖くはなかったですか?
田邊 怖くはなかったといいますか…お打ち合わせのとき、3Dモデルを動かして「この角度からだとこう見えます」といろんなアングルでお見せしたんですが、その段階でこの通りに仕上がるだろうなという確信があったんですよ。それはもう、経験に基づいた勘としか言いようがないんですけれど、だから言い切れたのはありますね。
―― 工事が始まってからの期間で、印象に残っている出来事を教えてください。
田邊 個人的には、お二人の会社の“顔”になるエントランスと、お客様に対応する応接室・会議室のクオリティはなんとしてでもお守りしたいと思っていました。予算が合わない場合も、そのスペースのコストはできるだけ下げないようにして。
大野 あと、部材一つとってもこだわりがすごかったです。「ここはこの色ではなかったので変えます」と教えてくれるんですけど、こちらとしては正直どっちでもいいなと思うくらい微妙な差なんですよ。そこまでやってくれるのはありがたかったですね。それに、僕自身の話で言うと、図面を自分で引いた手前気になることが多くて。しょっちゅう工事を見に行っていました。クランクが多いレイアウトにしてしまったけれど、実際に使ってみたら煩わしく思わないだろうかと。見に行ってみて、「あ、これならいけるな。良かった…」と安心するという。
新谷 あとはやっぱり、“代表が友だち”以上のつながりがない会社が2つ入っているフロアだから、セキュリティは何度もチェックしました。どちらかが閉店していても共用設備は使えなければいけないし、片方からしか解錠できないような仕組みが必要な部分もあって。扉に取り付ける鍵一つとっても、ものすごく神経質に見ておかないといけないんです。「ここに鍵をつけると、共用スペースに行けなくなるね」「こっちに鍵があっても、外部の人があっちから入れちゃうよね」とか。特に共用部と執務室のあいだは相当頭を悩ませました。
―― まるでパズルゲームみたいですね。
大野 本当にそうです。それに机上でできたつもりでも、実際に開け閉めしてみるまで不安でした。そういう意味でも、現場にちゃんと行って確認したかったんですよね。
田邊 こちらとしても、動線はシビアに考えていました。お二人が「ここからアクセスできるんだ」「ここから抜けられるんだ!」と楽しんで考えてくださったので、ちゃんと実現させたいという思いはありました。
―― 田邊さんから見ても、動線作りは普段のオフィスよりかなり難しかったでしょうね。
田邊 そうですね。かなり難しかったです。でも、大野さんがすごくアイデアをお持ちなので、「なるほど、そうすればいいんだ!」とハッとする場面がたくさんあって。すごく勉強になりました。いつもなら出入口は一つになるはずなのに、2つ以上作りましたから。今回はお二人のお部屋(代表室)にも、それぞれ2つの出入口がありますし。
―― 執務室だけでなく、エントランスや廊下にそのまま抜けられる出入口もあるんですよね。
新谷 だから僕ら、代表室から誰にも気づかれずに外に出て待ち合わせできるよね?
大野 できる、できる!
一同 ははは(笑) 。
―― 本当に楽しんでオフィスを作られたんですね。
新谷 とはいえ、焦ったこともありますよ。僕らというより、田邊さんたちが苦労された部分だと思うんですけど、正式な図面がなかなか取れなかったんです。
大野 前に入っていたテナントがビル竣工時からいたそうで、昔の古いデータしかなく新しいものがなかったみたいですね。
田邊 そうでしたね。いわゆるCAD図もない状態で、正しい寸法が分からない状態で。とにかく、今ある旧図面の数字を信じるしかないという状態でスタートしました。実際、現場で図ってみたらだいぶ寸法が変わっていたし、窓側は支柱の幅に沿って空調が設置されていて、その分、床面積が狭くなっていて。「どうしよう…」と。だから会議室のサイズは少しずつずらして対応しました。
―― そうして完成したのがこちらのオフィスです。ユニオンテックのデザインと施工は、ご期待を超えることができたでしょうか。満足度を教えてください。
大野 プレゼンで仰った「図面通りのものを作ります」は、その通りだったなと思いました。イメージを形にするのは当然難しいでしょうけど、完成形を思い浮かべて精巧にデザインして行かなければいけない難しさもあるわけだから、その両方を叶えてくれましたね。なので…次の転職は、そちらの世界(内装業界)に決めました(笑)。そのくらい面白い仕事だと実感しましたね。
新谷 僕も、イメージ通りのものが出来上がって良かったという思いはあるんですが、なによりスタッフの反応が嬉しかったですね。僕はあえて、どんな内観になるのかを従業員には一切伝えず、完成してからサプライズ的に見てもらったんです。そうしたら…期待以上の反応をしてくれました。環境的にも「良い」と言ってくれるので安心しました。
お客様も、エントランスに来た時点で驚きとともに褒めてくださって。こういう作りの事務所にしたことで、信頼感にもつながっているのかなと感じています。
お引き渡しの際にプレゼントした、オリジナルの「名前ロゴ入りのれん」前で記念撮影
※株式会社ライヴェックス様のサイトにもインタビューを掲載していただいています。
https://www.livex-inc.com/office_and/relocation-case/interview-20240305/
Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto