世の中の大半の方は花をあまり買ったことがない。
その現実を少しでも変えたいという発想が新業態立ち上げのきっかけです。
2015年2月23日、銀座ファイブの2階にオープンしたエルミタージュドーロは、化粧品の貿易を手がけている弊社が立ち上げた新業態。
花に雑貨をプラスした新しいタイプのフラワーショップです。
町にはフラワーショップはたくさんありますが、利用者は一部に限定されていて、世の中の大半の方は花をあまり買ったことがない。
それが実情ではないでしょうか。買う人は買うけれど、買わない人は花とは縁がない生活を送っていて、後者の方が断然多い。その現実を少しでも変えたいという発想が新業態立ち上げのきっかけです。
しかし、生花だけの販売では、フラワーショップの敷居はいつまでたっても高いままです。
そこで、エルミタージュドーロではプリザーブドフラワーや造花、花瓶などの関連雑貨も充実させました。生花以外の商品をきっかけにして、花のある生活に親しんでもらうためです。
この発想をユニオンテックさんは見事に具現化してくれました。
売り場の中には花と雑貨が無理なく溶け込んでいて、明るく開放的な空間が演出されています。小さな花瓶一つ、一輪の花からでも買いやすい、洗練されたフラワーショップに仕上がったと思います。
設計施工をユニオンテックさんに依頼したのは、ホームページを見たことがきっかけでした。
実は、ほかにも2社にお声がけをしましたが、とにかくユニオンテックさんの対応はずば抜けていましたね。
他社からは具体的なデザイン案の提出はなかったのですが、ユニオンテックさんからは何パターンものデザインをCGで提出していただき、驚きました。
しかもクオリティがいずれも高い。そのスピードと質には圧倒されました。
提出いただいたデザイン案は私のイメージどおり。こちらの要望を的確に汲み取り、ビジュアルに反映させる力の高さを実感しました。
弊社が制作した自前のオリジナル什器とのバランスを取りながら、レイアウトやライティングを巧みに調整してもらったので、最初から備え付けられていたかのように売り場に什器が融合しています。
実をいえば、什器には底板を設けていなかったため、電源を目立たせることなく床に配線するのは大変でしたが、これもユニオンテックさんの創意工夫で解決しました。
舞台裏での苦労をまったく感じさせない仕上がりには大満足です。
店が入っている銀座ファイブの建物自体は古いのですが、完成した店舗には古臭さや安っぽさはゼロ。スタッフも「高級感がある」と喜んでいます。
エルミタージュドーロが入居している銀座ファイブビルのオーナーは道路公団なので、店舗を作り上げていく過程ではさまざまな制約を受けました。
例えば、ビルの上には首都高速道路が走っているため、塗料や床材については車の振動でクラックが入らないような素材を使用する必要があるんですね。
そうした制約の中で、例えば柔らかい素材の床材を使用するなど、どんな材料を選べばいいのかについて、ユニオンテックさんからはいつも的確なアドバイスがありました。
オーナーとの折衝についても迅速にスムーズに進めてくれたのはありがたい限りです。
いま振り返っても、施工を進めていく段階では、いろいろな問題が発生しました。その一つが、天井の電源コードです。
電源コードの数が非常に多く、その数は想定を遥かに超えていましたが、最終的には見た目ではそれとわからないようにうまくまとめてもらいました。
売り場に設置している壁も、最初は薄くて小さなタイプを使用する予定でしたが、ユニオンテックさんからの提案で、重厚感のあるものを採用しました。
もちろん、予算の範囲内での変更です。上品で落ち着いた空間が実現できたので、この選択は大成功でしたね。
売り場で私が一番気に入っているのは、鏡に白いライティングをアレンジした箇所でしょうか。これもユニオンテックさんのアイデアです。
鏡とライティングの妙で、空間に奥行きが出て、実際よりも広く感じられるようになりました。
当初は、入り口部分にはガラスの壁を設置することも考えたのですが、結局、これはやめて、オープンなスペースとしました。
1階からの階段を昇ると、すぐに目の前にエルミタージュドーロの売り場が広がって、お客様が入りやすくなったと思います。コストも下がりましたし、実に適切なアドバイスでした。
銀座店はオープンしてまだ日が浅く、プロモーションなども特にしていないのですが、予想以上にお客様に足を運んでいただいています。
「こんなところに花屋があるとは思わなかった」「今までにない雰囲気の花屋で利用しやすい」という声をかけていただくことが多いですね。
とりわけ好評なのが、六角形のプリザーブドフラワーをアレンジした「ハニカムデザイン」です。女性へのちょっとしたプレゼントやホワイトデーに利用される男性客が目立ちます。とくに、男性にはもっと花に親しんでもらいたいと考えていましたから、非常にうれしい滑り出しです。
エルミタージュドーロでは今後、生活の中でお花との接点を増やしていくため、お花をテーマにした雑貨なども計画しています。
造花のイメージも変えていきたいですね。日本では、造花を単なる「作り物」とみなす傾向が強いのですが、ヨーロッパでは造花は生花同様、ごく普通に親しまれていますし、家具と造花の組み合わせ販売も少なくありません。
弊社でも、いずれは、お花にお酒や化粧品、ワインを合わせて提案する、といったスタイルを取り入れていくつもりです。
店舗数も着々と増やしていく計画です。まもなく吉祥寺の商業施設で2号店を開きますし、4月下旬には錦糸町にも3号店がオープンします。
ナチュラルテイストのデザインを追求する吉祥寺店、ファミリー層が多く異なる雰囲気を演出する錦糸町店、ともに設計施工はユニオンテックさんにお願いしました。
今回の銀座店では、タイトなスケジュールの中、折衝や調整など煩わしいことがたくさん発生しましたが、臨機応変に対応いただき、イメージ通りの店舗が完成させることができました。かかったコストもほぼ予算内。
ユニオンテックさんには、これからもエルミタージュドーロとの伴走をお願いするつもりです。
イメージ通りのかっこいい店が完成して、うれしいと店長の木村さん。スタッフの向田さんとともに、鏡をうまく使って枝をたくさん見せるなど、奥行きを演出するディスプレイに取り組んでいる。