
最終的には“人”で決めました。「あの人たちなら、僕らの思いを受け止めてくれるだろう」「ユニオンテックの方々にかけよう」と、声をかけさせていただきました。
株式会社カーペイディーエム バイスプレジデント 吉田圭 様
“こんな会社にしたい”と思うイメージ、社員の働き方改善など、お客様が思い描くご要望に対し、内装デザインをとおしてユニオンテックがどのようにお応えしたのか? プロジェクトの裏側にある“ストーリー”を覗くことができる「オフィスメイキングnote.」の第21弾。
今回のお客様は、株式会社カーペイディーエム様。日本の中古車を海外に向けて輸出・販売する会社で、2026年5月、渋谷から五反田に移転しました。新オフィスの課題となったのは“コミュニケーション”。ユニオンテックは、どのようにデザインに落とし込んだのでしょうか? その成果も含めて、プロジェクトをたどります。
■インタビュー参加者
株式会社カーペイディーエム 様
・バイスプレジデント吉田圭様
・総務部リーダー小林慶大様
■UT参加者
・ワークスペースプロデュース事業部 プロジェクトマネジメント部 チーフプロジェクトマネージャー 宮内大輔
・ワークスペースプロデュース事業部 プロジェクトマネジメント部 チーフプロジェクトマネージャー 野村俊和
・ワークスペースプロデュース事業部 クリエイティブデザイン部 デザイナー 北川萌
―― はじめに、移転の理由を教えてください。(以下、敬称略)
吉田 端的に言いますと、事業成長に伴い従業員の人数が増えたことが大きな理由です。一度は同じビル内の別のフロアを借りることで解決していたのですが、この3年間で人数が2倍にまで増えており、当時のオフィスがあった渋谷の家賃を考えると「ではもう1フロア借りましょう」と、簡単には言えませんでした。そんなとき、「従業員全員の様子が見渡せる1フロアで仕事をしたい」といった希望が社内から出たため、今回の移転を決断しました。いろいろな兼ね合いからスピード感も求められたので、居抜き物件を優先で探しました。

―― 居抜き物件のほかには、どのような条件で探したのでしょうか?
吉田 細かい条件を挙げるといろいろありますけれど、主な条件をもうひとつ挙げるなら、立地ですね。当社のお客様は100%海外の方なので、正直なところどこにオフィスを構えてもいいのですが、前のオフィスがあった渋谷から離れすぎると離職のリスクが高まるというデータがあったので、渋谷から半径5キロ圏内で探しました。実際に見学に行ったのは5件ほどで、最終的に五反田のこのビルに決めました。親会社が品川からも近いですし、今回候補にあがった物件の中では最も条件が良かったと思います。
小林 僕は、物件選びの段階でここに来ていないのですが、初めて見たときの印象は「明るくて広い」でした。
吉田 前のオフィスは窓がほとんどありませんでしたからね。窓が大きいこのオフィスはずいぶん明るく感じます。また、広さは倍ほどになったのですが、天井が高いので非常に広々とした印象があります。
―― では、その物件をどのようなオフィスにしたいと考えていましたか? 事前に考えていたイメージを聞かせてください。
吉田 色に関しては、社内でアンケートをとりました。やはり従業員の希望はある程度反映したいと思っていましたし、アンケートをとれば従業員の参画意識も高まるでしょうからね。選択肢に関しては北川さんに協力していただき、ボタニカル、インダストリアル、ランドスケープ、カジュアル、ウッディなど、9パターンほどのイメージをまとめていただきました。
―― 今回のプロジェクトはコンペだったそうですが、その前からユニオンテックが参加していた部分があったのですね。
北川 そうなんです。
宮内 各パターンの画像を資料にまとめたのですが、1項目12枚程度の画像を使用したので、全部で100枚くらいになりました。
北川 そのアンケートの結果、ウッディとナチュラルが人気だとわかったので、デザインもそのテイストで考えていきました。
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―― コンペでユニオンテックが提案したデザインについて、詳しく教えてください。
北川 移転前のオフィスが抱えていた「フロアが分かれている」「席が足りない」「リフレッシュスペースがない」といった問題を一旦整理して、“新オフィスではどのように解消するか”を根本のテーマにしました。また、吉田様のお話からは社内のコミュニケーションを大切にされている印象を受けたので、そこを軸にしたいと考えて宮内と“タッチポイントを限界まで作る”をキーワードにしました。コンペで提案する際も、タッチポイントの多さを推しましたね。

―― タッチポイントとは、従業員同士がカジュアルにコミュニケーションを取れるスポットのことですね。実際、前のオフィスではどのくらいコミュニケーションがあったのでしょうか?
吉田 僕個人としては“縦割り”な印象でした。例えば営業は、外国人が多いので英語で会話をしますからね。言語の違いやフロアの違いがあって、部署の垣根を超えたコミュニケーションはそこまで多くなかった気がします。それもあって、今回のオフィスでは「コミュニケーションが増えるように」とお願いしました。
―― 具体的に、どのくらい増やしたのでしょうか?
北川 普通のオフィスは10個くらいあれば十分だと思うのですが、今回は各所にキャビネットを置いて立ち話ができるようなスポットにしたり、窓際に誰でも使えるリフレッシュスペースを作って自由に交流できるようにしたりして、35個のタッチポイントを作っています。カーペイディーエム様の業務の性質上、オークションの画面が設置されているエリアではもともと積極的にコミュニケーションが行われているようだったので、このカルチャーは新オフィスでも保てるように気をつけてレイアウトを組んでいます。

宮内 最初、コミュニケーションの一環で卓球台を入れる案もあがったのですが、「盛り上がりすぎてしまいそう」ということで却下になりました(笑)。ともあれ、そのくらいコミュニケーションを増やそうと意識していましたね。また、フロア全体にバランスよくタッチポイントを作ることも心がけていました。
北川 執務エリアには死角を作りたくなかったので、壁を一箇所壊してひと目で全体を見渡せるようにしています。せっかく1フロアになったので。
小林 コンペを見て、やはり“35個のタッチポイント”の印象が強かったですね。こんなに作れるものなんだと思いました。
―― では、コンペを受けてユニオンテックに決めていただけた理由は何だったのでしょうか?
吉田 最終的には“人”で決めました。提案資料に関しては、他社さんとそこまで大差なかったのですが、「あの人たちなら、僕らの思いを受け止めてくれるだろう」「ユニオンテックの方々にかけよう」と、声をかけさせていただきました。金曜にコンペを行って、社内で議論をして、人事総務の人間が各社のプレゼンに評価をつけ、「こういう結論になったが、この判断基準はあっているか」と経営会議で最終判断を仰ぐという工程を踏んだのですが、翌週の月曜には返答していました。
―― 実際にプロジェクトが始動してから、変更した部分や苦労した部分などがあれば教えてください。
吉田 細かいところも挙げると、山ほどあります。社内で面倒なやり取りがあり、「やっぱり変わってしまいました。ごめんなさい」とお伝えしなければいけないこともいろいろありましたから。
宮内 会議室の名前がそうですよね。
吉田 そうでしたね! いろいろあってガラリと変わりました。あとは居抜きということで、前にこの物件に入っていた会社さんが置いていった家具も。
野村 連携がうまく取れておらず、置いてあると思っていた家具がなかったり、持っていくと思っていたものが置いてあったりしましたよね。それらの家具をどこで使うか整理し直す、という工程が発生しました。
吉田 もともとこのフロアを使っていたのがIT系の会社さんで、今会議室として使っているエリアはスタジオだったんです。なので、モニターが17台も置いてあったのはありがたかったのですが、すべて正常に動くモニターなのか、使うとしたらどこで使うべきか、台まで付いているモニターはどのくらいあるのかは把握できておらず、野村さんが全部調べてくれました。内装業者さんにこんなところまでお願いしていいのかと思いましたが、本当に感謝しています。
それに、我々が前のオフィスで使っていた家具と新たに買わなければいけない家具もあったのですが、全ての家具が新しいオフィスに馴染むようにしてくれたのは北川さんです。
―― どの家具も浮かないよう、色味の調整をしたということでしょうか?
北川 そうです。もともとこのオフィスは、家具も壁も全部黒かったんです。なので、ナチュラルやウッディ系のテイストに合わないものは「止めておきましょう」というお話をすることもあったのですが、使えるものはできる限り使いました。新調した家具でバランスを取ったりして、うまくまとめることができてよかったなとホッとしています。
吉田 おかげで、居抜き家具があるとは思えないくらい一体感のある空間になりました。お客様に「前の会社さんが使っていた家具もあるんです」と言うと、皆さん驚かれますね。今回のようなお願いって、デザイナーさんの哲学を無視するようなオーダーだなと思っていて。本当に心苦しかったのですが、最終的に本当にきれいにしていただきました。もはや、黒い部屋だったとは思えないですね。実は、少し前に件のIT会社さんが来てくださったのですが、「こんなに変わるんですか!!」と笑い転げていました(笑)。北川さんの技ですね。
―― また、エントランスのこだわりも伺いたいです。
北川 移転前のオフィスのエントランスにも鮮やかな赤い壁があったので、「このエッセンスは残したい」と、新オフィスでも赤い壁を採用しました。ナチュラルやウッディと合わせても浮かないよう、グラデーションにして柔らかい印象にしています。最初、「輸送業ならば」とコンテナに使われるガルバリウム鋼板を壁に貼る構想があったのですが、「コンテナは使わないんです」というお返事をいただいて(苦笑)。

吉田 全く使わないわけではないのですが、車を輸出する会社なので船にそのまま載せるんですよね(笑)。エントランスは会社の哲学を象徴する場所なので、今思えばこだわって作っていたような気がします。グラデーションに関しても、いくつか素材の見本をいただいて、それを社内に貼って見比べたりしていました。
―― ちなみに、最初に「スピード感も求められた」とおっしゃっていましたが、スケジュール管理に関してはいかがでしたか?
宮内 受注した2月中旬の時点で、「移転は5月15日」と決まっていたので、3か月ないことはわかっていたんです。ほかのプロジェクトと比較してもかなりタイトではあったので、週1、2回は打ち合わせをして、決められるところから決めていきました。工事が始まってからは野村にバトンタッチするのですが、そちらも1日1日がギリギリの戦いだったと思います。
野村 私は着工前から打ち合わせに入らせていただきました。着工してからは、その日の打ち合わせで決めたいことを資料とともに先に共有しておいて、打ち合わせがスムーズに進むように心がけていました。そのぶん、吉田様と小林様にはご負担をかけてしまったと思うのですが、ご協力いただけて助かりました。
吉田 いやいや、大変だったのは皆さんですから。あと、実は一番焦っていたのは小林なんです。オークションの回線や電話系の回線はなんとしてでも間に合わせなければいけなかったので、ずっとヒヤヒヤしていました。
小林 そうでしたね(笑)
―― 業務の都合上、移転までに回線環境を整えることが最優先事項だったのですね。
吉田 そうです。我々は全国のオークション会場にアクセスして、ネットを通じて車を仕入れているんです。なので、オークション会場から専用回線を引っ張ってもらわなければいけないので、その工事の調整など準備することが多くバタバタでした。無事間に合ってよかったです。

―― 移転から2か月ほど経ちましたが(※取材時)、使い心地はいかがでしょうか?
小林 リフレッシュスペースの使用率が高く、人気です。
吉田 幸か不幸か、このオフィス周辺は昼ごはんの選択肢が少ないので、お弁当を持ってきている人が多くて。昼には、窓際のリフレッシュスペースにお弁当を食べる人が自然と集まるようになりました。
またリフレッシュスペースの端にはゴミ箱があるのですが、この執務エリアにある唯一のゴミ箱なんです。各デスクや部署には置いていないので、ゴミを捨てに行くという作業が発生するんですね。

―― なるほど。それもタッチポイントの一つですね。
吉田 ゴミ箱の近くには電子レンジなども置いているので、そこも意図的に人が集まるスペースになっています。
小林 個人ロッカーもその近くにありますからね。
吉田 ちなみに、“タッチポイント”というワードを一番気に入っているのは産業医の先生なんです。新オフィスに来たとき、35箇所全部確認しようとしていました(笑)。
―― コミュニケーションが増えた印象もありますか?
吉田 増えているように思います。僕の主観ではありますが、「この人たち、接点あったんだ」と驚くくらいの組み合わせは何組か見ましたね。
―― 従業員の皆さまからは、どんな反応がありましたか?
吉田 移転してばかりの頃、若い社員数人が個別に「ありがとうございます」「すごく格好いいオフィスです」と言ってくれました。それが、すごく嬉しかったです。ユニオンテックさんが関わってくれたところで、ネガティブな意見は一切なかったと思います。
小林 ただ、強いて言うなら「会議室の壁は白くしたほうがよかった」と言われたことはあります。

吉田 ああ! 黒い壁の会議室があるんですよ。
北川 壁を貼り替えず、そのまま使っているんですよね。
吉田 打ち合わせの段階では気にしていなかったのですが、白壁の会議室と比べると気持ち的にちょっと沈んでしまうというか…。心理的に良くない影響を受けている気がします。いずれ変えられたらいいなと思っています。せっかくナチュラルやウッディ系でまとめたのなら、木目柄とか緑とかにしたいですね。
小林 あと、会議室は部屋によって絨毯の色が違うので、この前は「緑の絨毯の部屋が好き」という声を聞きました。
吉田 僕は「水色が好き」という声を聞きました。
小林 絨毯の色だけでも、好みがこんなに分かれるものなんですね。
吉田 この色を決める際も従業員に参加してもらったのですが、話し合いにユニオンテックさんが何度か参加してくださったんです。しかも、従業員とも積極的にコミュニケーションをとってくださいました。すごくありがたかったです。
北川 私としては、吉田さんと小林さんがたくさんコミュニケーションをとってくださったおかげで良いオフィスができたと思っています。このプロジェクトを振り返って、私が一番良かったと思うところはそこなんです。
吉田 いやいや、ありがとうございます。
北川 こちらこそ、本当にありがとうございます。
